国債発行して国の支出を増やしても消費税下げても景気は全くよくならない

左も右も思い込みすぎの2つ。まずは消費税

よくいわれることですが、

  • 消費税下げたら景気よくなるガー
  • 国債バンバン刷って財政出動したら景気が良くなるガー

というふたつのガーがあります。このふたつは完全な思い込みです。または洗脳。だれも疑わずに信じている(というか税は払いたくないからそれを理由にしているだけ)ようですが、まずは消費税について

所得税、法人税とも景気が良くなるとあがるはずですよね。

消費税の導入やアップの時に縦線を4本入れてみました。

  • 1989年日本ではじめての消費税が導入されました。

法人税は翌年から下がりました。しかし所得税は上がり個人の収入は伸びましたが92年あたりから下がります。この第1回の消費税の時の印象が強すぎて「消費税を上げると景気が悪くなる」と刷り込まれた人が多いんだと思いますが、バブル崩壊が1991年くらいですから「消費税ではなくてバブル崩壊が主たる原因」と考えるのが普通ですよね。

2回目が1997年ですが、このときもバブル崩壊の余波は癒えておらず2002年くらいまで経済はどんどん落ち込みます。しかしバブル崩壊から10年後に経済は復調し、消費税5%にもかかわらず突然、企業も儲かり始め、所得税もドカンと上がりきったと思いきや、

2007年米国サブプライムローン破綻

の煽りで全世界の景気は一気に冷え込みます。そうです。景気はもう一国でどうのこうのではなくてグローバルの話なんです。しかし意外と3年ほどで回復に向かい、企業も儲かり始め、個人所得も増え始めます。おかしいですよね。消費税は5%のままなのに・・・・

  • そして2014年。8%になりました。

景気悪くなってませんよね?

企業は消費税の前年の駆け込み需要があるので翌年は少し落ち込みますがすぐに回復。個人の所得税は伸びっぱなしです。

  • そして2019年。10%になりました。

まったく景気悪くなってませんよね?

消費税が上がろうが、消費者はしばらくすると慣れてしまう。だから消費を控えることはないので経済は落ち込まない。それより景気は他の要因で上下しているというわけです。ですので

消費税を下げても景気はよくなるとは言えません。

税金は誰でも払いたくないので「消費税下げたら景気が良くなる」と言いたい気持ちはわかりますが、下げても九分九厘今の日本ではよくならないです。下がった分で買い物しようにはならず、将来の不安に備えて貯金するだけですね。

国債をバンバン発行して国の支出を拡大しても景気は良くならない

これはグラフを見たらわかります。

れいわや最近では国民民主もこれをいいますが、まったくエビデンスがありません。れいわは個人に撒け、国民民主中小企業に撒けですが、同じです。
証拠がこちら

バブル崩壊以降、国債をばんばん刷ってお金を撒いていまでは税収71兆円で1100兆円の国債残高です。おかげで金利を上げられずアメリカの金利の差が大きく開いて円安が止まりません。したがって輸入品が高騰してインフレです。昔のように「国内だけの経済でインフレになる時代は終わった」のです。

バブル崩壊以降、国債を刷りまくって一般会計支出をどんなに伸ばしても景気(税収)は回復しませんでした。仮に国債をバンバン刷って一般会計を増やせば景気が良くなるならバブル崩壊はすぐ終わったはずですが10年経っても回復せず13年経ったあたりでやっと回復基調です。

ここまでで一般会計の拡大は景気にさほど影響しないことがわかりますが、米国サブプライムローン破綻を喰らった2007年には物凄い額の国債を発行して歳出を拡大したのにさほど効果は無かったように見えます。

あまりにも反応に時間がかかり、そしてたいして景気が良くならない。効率が悪すぎるわけです。はっきり効果があるとは言えないレベルだと思います。

これを「もし国債発行してなかったらもっと回復に時間がかかった」というのは、「コロナで鎖国をしていなかったらもっとたくさん死んでいた」と同じくらいの喩えで、他国はここまでやってないのにもっと早く回復していると言うことを忘れないでくださいね。

国の一般会計を拡大すると景気にすぐ反映されるのは過去の話

この、「国が財政支出をすると景気が良くなる」という主張のもともとはいまから100年も前の1930年代にアメリカ合衆国大統領フランクリン・ルーズベルトが世界恐慌を克服するために行った一連の経済政策「ニューディール」です。

当時は大恐慌で失業者が溢れていました。仕事がないのですから消費もできません。そこで国が仕事を与えると労働者のマインドは上がり、消費する。そこで景気も良くなる。それでも実際にはさほど効果は無かったと分析する経済学者もいますが、わたしはマインドを上げる大きな効果があったと信じます。だって食うに困っていたのに明日から仕事があるぞーとなったらテンション上がって当たり前でしょう。

ところが今の日本では失業者はほとんどいない。

2024年2月の需要不足失業率は-0.27%

つまりいまの日本の失業者は

・怪我や病気で働けない
・そもそも働く気がない
・仕事を選んでいる

の3種類しかないわけです。金が無いといいながら綺麗で楽な仕事をしたがる。土木などは30代1000万プレイヤーが普通にいる世界になったのにそういう仕事には就きたくないからやらない。

この状態でさらに円安になるリスクを抱えて国債を大量に発行して撒いたところでほとんど効果は無いと思います。個人に撒いてもコロナの時に14兆円撒いたのにほとんど貯蓄に回ってまったく景気は良くならなかったし、企業に撒いても企業の8割は赤字決算ですからその穴埋めになるだけで賃上げにもつながらない。コロナ時に100兆円撒いて景気が良くなりました???

そう、景気がよくなるっていうのは、

現役のマインドが上がってお金を使う

ということなのです。リスクを取らない高齢者にいくら撒いても貯金するだけ。逆に言えば

マインドさえ上がれば金なんて撒かなくても景気は良くなる

ということ。戦後、凄い勢いで経済発展しましたけど政府はお金撒く余力なんてなかったですよね。
で、最近の例は

コロナ禍あとの世界的超好景気

です。

カネなんて撒かなくなって「2年も続いたコロナ禍から解放された!!」というマインドだけで2022年初頭から世界ではスーパー好景気でスーパー賃上げでスーパーインフレになりました。

日本はその時もずっと鎖国していて「経済より命」と念仏を唱えていてその好景気がわかっていない。韓国は2022年の春には日本より1年も早く開国していまは好景気です。バカみたいにコロナ規制を続けた日本と中国だけが冷えたままなわけですが、日本も超好景気の国で稼げたグローバル企業と超好景気の国からくるインバウンドで好転していますよね。関係無い人は関係無いですが。

現役のマインドを上げるにはどうするか

マインドさえ上がれば金を撒かなくても景気なんて勝手に良くなる。賃金も上がるというのはコロナ禍跡の諸外国を見ていればわかることですが、日本ではどうすれば現役のマインドが上がるのか。高齢者のマインドはどうせ上がらないからほっといて良いのです。

要するに

日本はこれから変わる!!!

という実感を持ってもらえればいいのです。明治維新です。あれだってカネなんか撒いてないですけどめちゃマインド上がって景気よくなったじゃないですか。
日本が変わるという意識を持って貰うためには

  • 高齢者全振りの社会保障制度を刷新
  • 古い規制を撤廃(夫婦強制同姓の廃止、家制度の残滓を撤廃)
  • 出来の良い子どもへの投資(国立大無償化)
  • 高齢者のために、とか高齢者を守れは禁句
  • ありとあらゆる規制は基本的に緩和

そして・・・・

政治や経済から高齢者は早々に退場願う

というのが最重要です。高齢者は政治家であっても企業家でも基本的に現状維持でリスクを取りません。とくに地方自治は高齢者の巣窟です。年齢制限を行うなどしてすぐにでも退場して貰う。これを政策に入れる自治体がほんとうに景気を良くできる政党だと思います。

まあどの政党が反対するかは一目瞭然ですね

最近Amazonで買った中でヒットがこれ。アルファ米ってこんなに旨いのねと驚いた。永江流は溶き卵作ってお椀に入れてそれにこれをいれてお湯です。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年4月4日の記事より転載させていただきました。