50年前に電子新聞の記事が?どんな社会にするのを想定したビジョンを!

どうも突発的な呼吸困難は収まらない。

カタールでは薬を服用していなくても何ともなかったが、関西空港に到着直後に呼吸困難症状が出たので、空気に含まれる何かが問題のはずだが、血液検査結果ではアレルギーに関連するIgE抗体は正常値であり、検査した範囲ではアレルギーを示す結果はなかった。

アレルギー患者の10%ではIgE抗体が高くないそうだが、息苦しくて熟睡できない状態が続いている。そろそろ引退か、という思いが浮かんでは消えるが、辛いものは辛いのだ。

最新号のNatureに1974年5月10日号のNatureの記事が紹介されていた。タイトルは「The electric newspaper in view?」であり、「電子新聞が視野に?」となる。もちろん現在のようなインターネットニュースではなく、テレビのボタン一つでニュースを見ることができるかも?という内容だ。イギリスで試験的に行った実験で、ニュースを見ることができたというのだ。

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「宇宙大作戦」「スタートレック」は1966年に始まったが、22-24世紀の地球を想定したと言われている。スタートレックで見た宇宙船と球体上での連絡に使われているのは、まさしく携帯電話だ。それがスマートフォンとなり、今や、いつでもどこでもニュースを見たり、知りたい情報を検索することができる。

こんなものがあれば、こんなことができればと考えるところから発明は生まれる。国の医療施策も、数十年後を見据えたうえで、計画していくことが肝要だ。しかし、ゲノム医療に象徴されるように、ストライクとコールされてから、バットを振り始めるような後手後手が顕著だ。いつでもハーフスイングが精一杯だ。

マイナンバーカードと保険証を紐づけると言うが、それで国民や患者にどのような利点があるのかの説明は全くない。「保険証を持ち歩かなくてもいいですよ」など、話にならない説明だ。知的レベルが低すぎる。高齢者にすれば、今のまま、紙の保険証でも慣れ親しんだもので、いいに決まっている。

医療DXというが、出てくる声は、「研究が進む」「製薬企業が利用できて新薬開発ができる」など、大学・企業目線で、ほとんど国民や患者の直接的な利益が説明されない。こんな視点で政治をしているから、国民は政治に期待できず、投票率は低下の一方だ。

データベース化していれば、「出張時や旅行時に急病になっても、それまでの治療歴を見ることができる」「セカンドオピニオンを求める際に主治医の顔色を伺わなくで済む」「地震などの災害があっても治療の継続ができる」「個別化医療につながる」「医療機関がランサムウエアで乗っ取られても、バックアップデータを利用でき、医療機関の診療継続が可能となる」など、大きなメリットがある。

バックアップを取る際にお金がかかるというが、電子カルテの更新でバカ高いお金を5年おきくらいにむしり取られることを考えれば安いものだ。ただし、大手のIT企業はこのバックアップを取る作業でもとんでもない価格を吹っかけてくる。

電子カルテの統一化というが、今はそんな時代ではない。こんなカビの生えた施策をしているから日本は後進国化しているのだ。医療は間違いなく、未来への投資だ。それを理解しない人たちが、政策を練り、予算案を作る。

もっと真摯に勉強して将来の医療のビジョンを描き、政策に盛り込んで欲しいものだ。


編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年5月13日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。