相場も株価も暗号通貨も大荒れ:このまま円高に向かうの?どうなの?

このまま円高に向かうの? どうなの? をデータから推測して中学生にもわかるように解説してみる


8/1のお昼です。

日経平均は大きく下げ

ドル円は円高に振れて久々の150円を割りました。

ピッとコインをはじめとする暗号通貨は大幅下げ。ドル建てにしても大きく下がってます。

どうしてこんなことが起きたのか。不肖、経済の素人だけど素人ならではの分析でお届けします。

為替のレートは完全に金利差にシンクロする

わたくし、後藤達也さんのnoteの有料読者でして、このブログのグラフなどはそこからお借りしています。

まず為替レートですが、このように完全に金利差と相関関係どころか因果関係があります。誰も反論できないですよね。

金利差大 → 円安
金利差小 → 円高

アメリカの金利が高いと円売ってドルを買ってアメリカの銀行に預けたほうが儲かるってことですが、

金利が高い = 景気が良かったのでインフレ
で、
金利が低い = 景気悪い

です。景気が悪いときは金利を下げて企業がお金を借りやすくする。逆に良すぎてインフレになったら金利を上げて投資ができなくなるようにして景気を犠牲にして物価を下げるってことです。

そしてアメリカの金利はこのようになってきました。

2016頃は景気が悪くて日本と金利が変わらず、2020年からはコロナで大不況ですからほぼゼロ金利になって、2021年のワクチン終わって東京五輪のあたりでコロナ規制解除。そしたら景気が爆発しまして2022年の初頭からインフレ抑制のために金利をどんどん上げました。そのときは賃金も同時に爆上げしています。

2020年のコロナ真っ盛りに賃金が高騰したのは賃金の安い現業職がことごとく解雇されてリモート勤務できるホワイトカラーが残ったからです。で、2021年のワクチンあとから規制解除されて同時に賃金高騰とインフレが重なりました。

で、ドル円レートですが・・・

世界各国がコロナ規制を解除したのに日本だけが延々と鎖国をしていた2022年3月から物凄い円安が見事に始まりました。韓国や台湾もこのときに解除したのに日本はそこから一年以上鎖国しておりました。海外はバカみたいに景気が良いのに日本だけが鎖国して不景気なんですから当然のように円安になります。

どうしてアホみたいなことをしたのかというと、こちらは2022年3月のNHKの世論調査です。

6割の国民が経済より命と鎖国を希望したから

実際にはオミクロンは世界一の感染者数で鎖国の合理的な意味は1ミリも無かったのですが、とにかく安心したいという高齢者の希望が通ったのです。高齢者の人気が欲しい岸田がそれに乗りました。

そんなわけで、どえらく円安になり、輸出企業やグローバル企業は儲かりますけど国内だけのところは瀕死。インフレで食材や輸入品が高騰してインフレ目標の2%は達成したものの、中小零細の賃金が上がらないのでまたまた政府に批判殺到。「経済より命と言った国民が責任取れ」といいたいのですが、むしろそう騒いでた人たちのほうがなんとかしろとうるさい。

7/31の日銀の発表をまとめると

○政策金利を引き上げる
○国債買い入れを減らしていく

という2点です。

これ以上の円安は国民から不満ブーブーになるので金利を上げて円安を冷やす。多少景気が悪くなってもしかたない。

そしてあまりに重い国債買い入れを減らす。こちらは金利を1%にすれば1200兆円の残高があれば12兆円、つまり消費税の半分は金利の支払いにあてないといけなくなる。日銀は国債の半分を所有しており、その金利は国庫に戻るが残りだけでも年間6兆円です。能登の震災の予算の10倍です。

国債を日銀が買い入れるから政府も後先考えずにバカスカ発行してきたし、中には税金なくして全部国債にしろというバカまで沸いてきたが、ゼロ金利ならまだしも金利を上げたら金利の支払いだけで死んでしまう。国債をバカスカ発行したけどGDPは全く伸びず要するに景気には関係なかった。なんとかしないと金利で勝てないという表れだと思います。

さてこれからどうなるか

ここからはわたしの推測です。

まず日銀は金利を0.25%にしますがこれでもほぼゼロみたいなもんです。アメリカは5%越えてます。最終的に金利を1%くらいにしたいのだと思いますがそれでも金利差は大きくコロナ前のような1ドル110円台には戻りようがないと思います。アメリカも利下げをほのめかしていますがあくまでインフレが収まったらの前提なので下げてもわずかでしょう。

ということは1日でかなりの円高になったのは投機的な意味で、仮想通貨がドカンと下がったのは投機筋が仮想通貨を売却してそれで円を買ったのではないかと・・・・・しかしこういう皆さんは円安の気配になった瞬間にドルを買うのでそれほど長続きはしないと思われます。

いままじもんの円高に振れるとすると

・日本が超好景気になる
→ないわー

・世界が超不景気になる
→ ロシアが核ミサイル撃ちまくる

みたいなことしか思い浮かびません。とにかく日本は国債を発行しすぎて金利を上げて対抗することができないのが痛い。計算上2.2%で日銀は債務超過になります。それで破綻はしなくても日銀が債務超過だになれば日本のタンス預金は一斉にドルに換えられてまたまた大暴落です。

つまり本気の円高になる要素は全くなく、もしいまなったら

・インバウンドが激減して消費が恐ろしいほど後退(ざっくり5兆円)
・グローバル企業が法人税の安い国に本社移転(為替リスク回避)

という恐ろしいことになるはずです。

私的には日銀の国債買い入れ減額を歓迎してます。これはつまりという

高齢者の年金と医療費を見直して他のバラマキ減らすよ

という宣言に等しいからです。岸田政権の次の政権はこうした手腕のある人が問題を先送りしないでやらないとならず、高齢者はもちろん地方へのバラマキ、生活保護受給の見直し、補助金の見直しなど、ゆるゆるの放漫財政から、緊縮というより無駄を無くして効果的な投資を行う政府になる事に期待したいですね。


編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2024年8月1日の記事より転載させていただきました。