自民党総裁選で注目の小林鷹之氏の記者会見を聞いた。得意の経済安全保障については淀みなく答えたが、社会保障改革の話には中身がなく、選択的夫婦別姓ついての答は曖昧だった。
自民党・小林鷹之、自民党総裁選立候補表明記者会見。
選択的夫婦別氏(姓)制度について「実際に不便を感じられている方々がいるのは認識している。既に旧姓の併記が認められている。その制度改正が国民の皆様にまだ理解・周知されていない。周知を徹底する形でニーズに応えていく」 pic.twitter.com/mADKIYdss2— Mi2 (@mi2_yes) August 19, 2024
「旧姓」は海外では意味がわからない
彼はかねてからアンケートなどには選択的夫婦別姓に「反対」と答えているが、今回は賛否を答えなかった。その代わり「不便な人は旧姓併記できると周知徹底する」と述べたが、これは答になっていない。
たとえばパスポートには旧姓が併記できるようになったが、この写真の()の中の名前は海外では意味がわからない。
このごろアメリカのホテルではセキュリティがうるさいので、パスポートの名前がおかしいとチェックインできない。
ホテル「あなたはGAIMUさんですね?」
客「はい」
ホテル「あなたの名刺にはSMITHと書いてありますが、ご本人ですか?」
客「それは旧姓というんです」
ホテル「そんな二重の名前はアメリカの法律で認めていないので、利用はお断りします」
本人確認ができないと、なりすましや犯罪の温床になるので、格式の高いホテルは断るだろう。
二重のIDは経済安全保障の脅威
こういうトラブルは在日韓国人の「通名」でもよく起こるので、外務省は旧姓併記を認めなかったが、「夫婦同姓を強制しても旧姓併記すればいい」という高市早苗氏などの政治家の要請で2020年に認めた。
経済安全保障のエキスパートである小林氏なら、政府が二重のIDを認めることがいかに危険か、わかるはずだ。半導体の分野でも、中国や台湾などと人の往来が増えている。犯罪者が旧姓併記を悪用して別人になりすますと、その追跡は困難になる。
この問題の解決策は簡単である。パスポートやマイナンバーカードや住民票や免許証の旧姓併記を禁止すると同時に、民法と戸籍法を改正して夫婦別姓の選択を認めればいいのだ。公文書には一つの本名だけを書くのが、世界共通のルールである。
小林氏は今のところ選択的夫婦別姓に反対とは明言していないので、「経済安全保障の観点から旧姓併記は好ましくないので、夫婦別姓を認める」と言ってはどうだろうか。