9月第一週のレーバーホリディは北米では夏の終わりを告げる最後の3連休。当然、街中のイベントも多いのですが、恒例の日系秋祭りがあったので覗いてみました。私もイベントには数多く出店しているのですが、このイベントだけは出店を考えたことがないのは7月から8月にかけてイベントの嵐で出店が続き、来客も多い中、カラダが持たないのでこれだけは勘弁させてもらっているのです。
覗いてびっくりしたのは出店者の大半が飲食店だったことです。もちろん来場者も多いのですが、なぜこれほどまでに飲食店が集まるのか、ふと考えさせられました。道路にはフードトラックがずらり、敷地内の前庭にはテント設営の飲食店、建物内には出来合いの飲食を売る店…。みなさんそれなりに購入されているようですが、私は申し訳ないですが素通りしました。
日本で縁日やお祭りに行くと焼きそばやフランクフルトソーセージがおいしいと感じたのは屋外で食べるからで、別に縁日のフードの味が特別旨いわけではありません。私は携帯型BBQがあるので車のトランクに積んでおけばいつでもどこでもさっとBBQができるのですが、確かにBBQがうまいのは調理する際、BBQの蓋をすることで独特の風味が出ることもありますが、やはり外で食べる快感なのでしょう。
「外で食べる」とか「立って食べる」というのは一種の「非日常的行為」であり、それゆえに日本人にも外国人にも受けるのだと考えればなるほど、浅草浅草寺の屋台にしても福岡の中州の屋台にしても、丸の内のオフィス街のフードトラックも基本は買って外で食べることでうまさを感じているのでしょう。
通常の店舗店が味にこだわり、サービスにこだわる戦いであるのに対して外で販売する飲食店は短時間集中型でサービスよりもいかに手早く捌くかにかかっています。決して定期的に食べたいわけではなく、雰囲気に押されながら時々食べるからよいのでしょう。飲食の一断面ともいえますが、あまりこんなことを述べる人もいないかもしれません。
では店舗店ではどんな変化があるのかといえばアルコール摂取量が明らかに減っている点です。つまり飲まない客ばかりということです。先日も人気の韓国居酒屋に行きましたが、フルハウス(満席)状態の中、席を見渡すとアルコールを頼んでいる席はぽつぽつ程度。あとはコーラとか水だけの人も多く見受けられました。これは日系の居酒屋でも同様だし、寿司屋でもビールや日本酒を飲む人は限られています。つまり飲む文化が若い人を中心に明らかに減退している、そう見えます。
日本では2001年から2021年までの20年間で成人一人当たりのアルコール摂取量が22%も減っています。我々中高年者が一定量の消費を支えているわけです。ある調査によると20代の若者で定常的に飲酒するのは20年間で半減したとあります。また20代女性で飲酒が習慣化しているのは3%という調査もあります。つまり友達とでかければ飲むこともあるけど、それ以外は飲まないというわけです。
何故飲まないのか、これは私なりに解明しているのですが、時間が惜しいのです。飲むとその後、自分のことができないというわけです。私が麻雀をやらなかったのもゴルフを止めたのも時間が惜しいからでした。同様に今の人は酒でその日を潰したくない、ということなのでしょう。
飲食系ユーチューバーでうまそうに酒を飲む方を何人かフォローしていますが、よくよく考えれば時代の逆行なのかもしれません。
もしも飲食店から酒が無くなったら私は外食をしなくなる、これはほぼ断言できます。なぜなら酒も家飲みと外飲みの違いは屋台飯と同様に雰囲気を楽しんでいるからです。事実、家でベロベロに酔うことなどまずありません。私は「飲みに行く」けど「飯を食いに行く」というケースは案外少ないのでアルコールが禁止されているイスラム系の国に住んだら健康的になるだろうなとつくづく思うのであります。
最後、余談ですが、あまり外で飯を食わない私ですが、最近美味いと思うのは韓国のフライドチキンと台湾小皿。あとは時々食べるマレーシアカレーとかタイ料理などエスニック系もうまいと思います。日本の居酒屋はほとんど行かなくなりました。あと決して甘党ではないのですが、1年に一度、この時期になると月餅が店先に並びます。これは毎年一つは頂きますね。アヒルの卵の黄身が2つぐらい入っているのが良いのですが、最近は高くて饅頭一つ2000円近くするので今年は黄身なしでした。中秋の名月も物価に勝てず、ということでしょうか。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年9月5日の記事より転載させていただきました。