9/27(金)に行われた自民党総裁選の決選投票で石破茂氏が1回目の投票で1位だった高市早苗氏に逆転勝利し、新総裁になる事が決まった。
石破氏は、性格と雰囲気は陰と陽で対極にあるものの、その政策的主張は米大統領選民主党候補のカマラ・ハリス氏と以下に示すようによく似ている。
ハリス氏と石破氏の政策共通点
増税とバラマキ:要は高所得者中心に増税し、低所得者中心にバラ撒く政策である。これによって国民は安心と活力を得て、経済活動が活発となり国が豊かになるという主張だ。
移民推進:ハリス氏については、大統領選で現在多少取り繕っているものの、言うまでもなく米民主党の党是と言ってよい不法移民の促進とその合法移民化の急先鋒である。一方の石破氏も外国人材の受け入れには積極姿勢である。
親中傾向:ハリス氏は幼い頃分かれた父親はマルクス経済学の研究者であったし、自身も若い頃中国共産党系の団体に近付いた時期もあり、現に弁護士である夫や副大統領候補のティム・ウォルツ氏は中国に極めて親密である。石破氏も、中国・韓国・北朝鮮にはこれまでの言動から見ると非常に甘い対応が目立つ。
ウクライナ支援への傾倒:石破氏は、これまでウクライナ支援にはそれ程目立った発言はしていなかったものの、総裁選決戦投票での旧岸田派の全面支援を受け、巨額の経済的負担も伴うウクライナ支援に傾倒せざるを得ない事が方向付けられた。
なお日米地位協定改定等や防災省の創設等、石破氏のオリジナル色が強い政策は、生煮え感が強く現実的な政治日程には上がらないだろう。
こうしてみると、ハリス氏と石破氏の相性はピッタリの感がある。そしてこれらは、決して日米両国の経済・安全を良い方向には導かないだろう。どれをとっても、行き着く先に明るいゴールが見えず、筆者にはシナリオとして破綻しているとしか映らない。
現に、総裁選で石破氏に決まると、株式市場は日経平均先物で一時2200円の売り浴びせで反応した。また対中弱腰市姿勢は、中国の台湾侵攻を誘発するだろう。早くも11月の米大統領選後の混乱を狙って、中国の習近平主席は台湾軍事侵攻若しくは海上封鎖に打って出る可能性すらある。
トランプ政権での反転
中国が台湾で動かなかったとしても、少なくともハリス・石破の日米コンビでは、両国のジリ貧は方向付けられたと筆者は考える。
石破氏は、10月中の解散総選挙を視野に入れたようだ。仮に自民・公明が大敗しても、野党第一党の立憲民主党の野田新代表は、財務省を頂く増税翼賛会のメンバーであり、経済財政政策の考えは石破氏とほぼ変わらず、両党が大連立を組んでも違和感はない。そして、日米双子のジリ貧への道は変わらない。
だが、救いはある。上記はハリス政権下でのシナリオであり、接戦が伝えられる米大統領選でトランプ氏が勝利すればガラリと様相は変わる。大方の予想に反し、筆者はその可能性は7:3でトランプに分があると見る。仮にそうなった場合は、石破氏には申し訳ないが粘着質で優柔不断な故、トランプ氏に面と向かってはスルーされて、間接的には揶揄や罵倒される図が目に浮かぶ。
そして、その際には今回総裁選でキングメーカーの座から滑り落ちた麻生氏の、肌の合うトランプ氏の窓口としての復権が予想される。
石破氏が上手く方向転換出来なかった場合には、総選挙では首が繋がったとしても早期退陣が有り得る。その場合、後継に高市氏の名も挙がるだろう。
高市氏の今回の総裁選敗戦については、裏金議員の推薦人の数、日銀政策への批判発言、群れない性格、岸田氏が卒業旅行のバイデン詣ででネジを巻かれて寝返った事、等々も言われるが、首相としての靖国参拝明言がやはり大きかった感がある。
筆者は、本来堂々と首相として靖国参拝を行い、更にはサンフランシスコ講和体制についても米国に言うべき部分は異議申し立てすべきと考えるが、後者については拡大中国包囲網で中国の牙を抜いてから将来の話との立場を取る。それまでは、米国を過度に刺激するのは少なくとも戦略的には上策ではないだろう。首相参拝についても、たとえトランプ政権の場合であっても米国とよくよく調整の上で行うべきと考える。
高市氏には、対露外交や緊急事態条項も含め、戦略的な柔軟性と従来パラダイムを超えた視野の広さを求めたい。
さて、予想に反しハリス政権が成立した場合には、筆者含め亡国の道を傍観出来ぬと考える者はどうすべきか。その際には自民・公明体制と左翼陣営からハミ出した有志を応援し結び付けるようなレジスタンス活動をするしかないだろう。