転売は本当に悪いのか?Amazon攻略法とせどりのツボ

ChayTee/iStock

「転売」や「せどり」は昔から存在する商慣習ですが、そんなに悪いことなのでしょうか。この疑問を解決するために、「転売」や「せどり」に詳しいクラスター長谷川さんに話を伺いました。近著に「Amazonせどり確実に稼ぐツボ 51」(ソシム)があります。

資金ゼロ & 今日からはじめられる Amazon せどり 確実に稼ぐツボ 51」(クラスター長谷川 著)ソシム

[本書の評価]★★★★(80点)

【評価のレべリング】※ 標準点(合格点)を60点に設定。
★★★★★「レベル5!家宝として置いておきたい本」90点~100点
★★★★ 「レベル4!期待を大きく上回った本」80点~90点未満
★★★  「レベル3!期待を裏切らない本」70点~80点未満
★★   「レベル2!読んでも損は無い本」60点~70点未満
★    「レベル1!評価が難しい本」50点~60点未満

「転売」や「せどり」って何?

「転売」は人気商品を買い占めて、定価以上で売ることをいいます。「せどり(競取り、背取り)」は元々、古書店で相場よりも安く売られている本を買い付けて、ほかの古書店に高く売り、差額で利益を出す商いのことをいいます。ひと言で言うならば、安く仕入れて、利益を乗せて売るのが「せどり」ということになります。

現在、販売形態はオンラインが主流です。商品も広範囲に及んでいます。販売先はAmazon、楽天ショップ、Yahoo!ショッピングのようなネットから、ヤフオク、楽天オークション、イーベイといったオークション、スマホアプリのメルカリ、ラクマなどへ拡大しています。

「せどり業界では『せどりはもう飽和してしまった』といったことがネット上にたくさん書き込まれています。私は一度たりとも『稼ぐのが難しくなってきた』と感じたことはありません。現在は稼げるツールもあふれ返っているので、昔とは比べものにならないくらい稼ぎやすくなっています」(長谷川さん)

「地方で稼いでいる人に聞くと『地方はライバルが少ないので、せどりをするにはおいしいですよ』なんて言われます。北海道でも沖縄でも数百万円を稼いでいる人がいます。正しくせどりをすれば、日本全国で稼ぐことが可能です」(同)

稼げる人はどのような環境にいても稼ぐことがうまいようです。さらに、販売するならば、Amazonが効果的だと長谷川さんは指摘します。

稼ぐ肝はAmazon攻略

「Amazonでは毎月、数千万人以上の人が買い物をするので回転率がいいと言われています。また、フィフィルメントという、Amazonが商品の保管や注文処理、出荷、配送、決済、返品なども全てやってくれるサービスが存在します。これを提供しているのはAmazonのみです」(長谷川さん)

「仕入れ商品をAmazon倉庫に送りさえすれば、あとは、お客さまが欲しい商品を勝手に買っていってくれます。2週間ごとに、売れた商品のお金が振り込まれるのを待つだけです。このサービスを使わずに全ての作業を自分でやるとなると、毎日、発送業務に追われて、利益を生み出すための仕入れの時間がつくれなくなります」

結局は、転売を憎んでいる人たちは、買えなかった商品が高く売られてるのが面白くないだけなのでしょう。頑張れなくて買えなかったんだから、頑張って買った人からマージン払って買うのって、普通ではないかとも思います。

マニアは「転売を許さない」と思っているのでしょうか。手法自体は商品を高く打って、利ざやを稼ぐもので、昔から存在する商慣習です。ダフ屋などもありますが、チケット不正転売禁止法が成立したのでダフ行為はできなくなりました。

経済活動の中で、安く買って高く売るのは当然のことです。総合商社だってある意味、転売です。高い価格で購入するということは、顧客が価値を感じているということにほかなりません。転売が嫌ならば、メーカー側が安定供給する必要があります。もともと、レア商品であれば、高額になることは自明の理だったはずです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

2年振りに22冊目の本を出版しました。

読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)