皆様におかれましては素晴らしい年始をお過ごしのことと思います。今年は昨年のような年初2連発の大惨事も起きておらず、むしろお隣韓国の行方が心配なくらいです。私が何人かに充てたEmail賀状のメッセージには民主主義の新たな挑戦、混沌な社会といったキーワードを使わせていただいています。かつては入社試験にも出るとされた日経の元日トップ記事のメッセージ、今年は「逆転の世界、備えよ日本 強まる自国第一 貿易ルール瓦解」と題しています。このタイトルだけで内容は想像できそうです。相当チャレンジングな年になる、私はそう読んでいます。勝ち組、負け組が出やすくなるかもしれませんね。
では今週のつぶやきをお送りいたします。
2025年の相場はどうなる?
そんなことが分かれば苦労しません。ただ、私は年末を含めたこの1週間で6銘柄売り、4銘柄買いました。いわゆるシャッフルです。シャッフルはもう少し続ける予定です。いわゆる銘柄入れ替えというものですが、24年の株式市場が比較的好調だったことで一部の手持ち株で理論上の上限あたりまで来ているものはいったん利食いし、想定以上に下がっている新たなる銘柄に投資をします。これは業としていない投資家でもある程度の頻度でやる必要があると思います。
例えば今回新たに買った銘柄の一つにアメリカのLuminar Technologiesがあります。この会社はレーザー光線でクルマと対象物の距離を測るテクノロジーの会社でSPAC利用の上場で2021年に株価は600㌦を超えたもののつい先日には5ドルを切る水準となりました。1/120以下です。業績がなかなか上向かないためですが、私は今が底とみて買い入れました。株価は心理状態を表すともされ、理論値と実際の株価の偏差が大きくぶれる銘柄は結構あります。当然、上振れと下振れがありますが私は下振れ銘柄を拾うのはその企業に潜在能力がある限り、勝ちパターンになりやすいと思います。日本の銘柄なら例えば大人気株のレーザーテックは24年に株価がピークから1/3になっていて年末は底値圏です。これをどう判断するかが投資のだいご味だと思うのです。
2025年を通して言えるのは経済や企業を取り巻く外部環境が不鮮明であり、内向き志向なのでほったらかしの長期投資より数か月単位の中期で経済や国際環境を見ながらの投資がよさそうです。トランプ氏が何か言えば突如音を立てて崩れるようなそんな相場付きではギャンブルのようなものです。このところ注目されなかったガスや石油、資源はそろそろな気がしますし、金が引き続き代替資産として選択されるでしょう。私は今年はオンス当たり3000㌦はあるとみています。ビットコインもありですが、これはまたの機会に述べましょう。
日鉄の失敗に思うこと
日本製鉄によるUSスチールの買収計画は不成功になるだろうと12月11日付のブログで書かせていただきました。その後、年末になり日鉄側がこれでもかとばかりに「10年保証」までオファーしましたがバイデン大統領が期限を待たずにNOの判断を下しました。かつてドイツのビスマルク首相が「国家は血なり、鉄なり」と述べ、日本では伊藤博文が官営八幡製鉄所の火入れ式で「鉄は国家なり」と述べています。そしてバイデン大統領は今回「USスチールは米国人が所有し、米国人が運営し、そして米国人の組合鉄鋼労働者による世界最高の誇り高き米国企業であり続ける」(日経)と発言しました。
このバイデン氏の言葉には組合を必要以上におもんばかる気持ちが溢れています。その背景には共和党に全部取られた民主党として彼らのハートを掴んでおく必要があるからというのは明白です。一方、トランプ氏も当初から反対一辺倒。まさかUSスチールのティッカーが「X」だから応援しているとは思いませんが、たぶん基幹産業が外国企業に牛耳られることに「プライドが許さない」ということではないかと察しています。つまり2人の大統領は自由経済と市場原理を重視した良きアメリカを否定し、党利党略、「国利国策」(ひろの造語です)を推し進めたとも言えます。日鉄とUSスチールはアメリカ政府を相手に提訴するとしていますが、個人的には覆らないとみています。裁判官も大統領の顔を見るのです。
今回の失敗はMBAレベルでの研究材料として最適だし、それ以上に経済と政治と地政学、地経学を含めた学際分野として学者などの研究がすすむことを期待します。アメリカがコアとするものは何か、そしてそれを神聖化することで企業経営努力を二の次とすることを容認すればその矛盾をどう理解するのか、であります。ラストベルト地域で日本企業が成功した例はブリヂストンによるファイアーストン買収とサントリーのビームしかないと日経は報じています。私は時期的にブリヂストンのケースを間近で見てきたし本社のあるオハイオ州アクロンにも行ったことがあるのですが、あの苦労は尋常ではなかったと思います。それをブリヂストンの現CEO 石橋秀一氏が現地に乗り込み、彼の手腕と血のにじむ努力で大逆転したのです。日鉄の橋本さんもそこまでやる気だったと思います。無念です。
韓国の悲劇
尹錫悦大統領の非常戒厳と内乱容疑、大統領不在の際のNo2である首相も弾劾され、現在の代行者は序列3位の崔相穆経済副首相兼財務大臣。そのさ中に起きた飛行機事故は韓国航空事故史上最悪の犠牲者を出しました。更に高官犯罪捜査庁が尹大統領を逮捕しようにもうまくできません。(そもそも「高官犯罪捜査を『庁』としているお国柄が申し訳ないですが、私には爆笑なのです。)
個人的には逮捕はどちらでもよいと思います。逮捕とは身柄拘束であり、逃げるかもしれない犯人を確保することです。尹大統領の居場所は分かっており、海外出国禁止命令も出ていることから逃亡が出来る状況にはない、とすれば法廷での対決でもよいと私は考えます。(自殺を未然に防ぐという意味では身柄確保もあり得ますが、ご本人は法廷で対決すると述べています。)
今回も韓国の矛盾をさらけ出したような気もします。発端は少数与党で大統領の力が発揮できるのは外交だけで国内は完全分裂状態となったことが発端です。これは百数十年前の朝鮮半島情勢とほとんど同じで何ら進歩もないのです。私も数多くの韓国人や韓国系の方を存じていますが、多くは自己利益追求型を感じます。思想、発想の原点が国家を含めた大所高所に立つ哲学的思想ではなく今夜のご飯の話が多いのです。韓国人には外国に移住する人も多いのですが、多くは経済的成功を目指しています。ではあの国の国家は誰が支えるのか、その高貴な思いが欠如しているからかの国の大統領は有罪になりやすく、高官犯罪調査「庁」があるともいえないでしょうか?
後記
我が母校の青山学院が今年も箱根駅伝で素晴らしい快走ぶりを見せてくれました。ここまでくると勝つのが当たり前になるし、原監督以下、選手らは追われる立場でそのメンタルを維持するのは大変だと思いますが、あの爽やかさには驚かされるばかりで、むしろ他の大学が焦っているようにすら見えます。58歳になる原監督、「遠くないうちに現場から引退」と発言しました。たぶん、60歳あたりを一つの節目にするのでしょう。いわゆる世代交代です。いつかはしなくてはいけないのです。青山の選手たちが原監督に甘える時代から更に強くするにはどうすべきか、自問を続けていくしかないと思います。
では今年はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年1月4日の記事より転載させていただきました。