1月17日号のNature誌に「RNA molecule rejuvenates ageing mice by restoring old cells」という記事が出ている。20-25か月齢(人の60-70歳に相当するそうだ)のマウスにマイクロRNA‐320bを注射すると老化が遅くなることを示唆した論文を引用した(元論文は1月15日号のCell Metabolism)。
このマイクロRNAは免疫とがんに関係することが報告されていた。生理食塩水を注射したコントロールと比較すると平均4.5か月(人の10年くらい?相当)長生きし、薄くなっていた毛が生えだしたそうだ。握力も強くなったし、免疫に関係する指標も改善したとのことだ。
日本で広がっているアンチエイジングは怪しげなものが多いが、このマイクロRNAは面白そうだ。もちろん、過ぎたるは及ばざるが如しで、人に応用すると過剰なマイクロRNAが引き起こす不都合な出来事が起こるかもしれない。
そして、トランプ政権の大統領令による影響だ。パリ協定からの離脱、WHOからの脱退、カナダとメキシコに対する25%の関税など矢継ぎ早に権力を行使している。NIHの研究費審査のための会合や旅費が延期になり、研究費の配分ができなくなる、あるいは、遅延するリスクが生じたのだ。米国のNIH予算は約7兆円だが、そのうち80%の執行が一時的に?凍結されることになる。
この経費で雇用されているポスドクや研究補助員の給料がどうなるのか心配だ。
こんな世界が激動している中で、わが国の総理は「楽しい日本」と言っている。物価も上がって大変なのに、こんな人を党首に選んだ自民党はどうなっているのだ!
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編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2025年1月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。