共産党田村智子委員長「専従職員はいわゆる労使関係とは異なる」福岡委員会の労働法令違反について

ちゃんと面倒みたてあげろよ

田村智子共産党委員長インスタグラムより

共産党田村智子委員長「専従職員はいわゆる労使関係とは異なる」

共産・田村智子委員長「専従職員の地位はいわゆる労使関係と異なる」 労働法令違反で見解 – 産経ニュース

共産党福岡県委員会の労働法令違反を巡り、田村智子委員長は24日、党機関で働く専従職員の地位は一般の労働者とは異なると主張した。田村氏は国会内で記者団から専従職員の地位について問われ、「いわゆる労使関係というものとは異なると考える」と語った。

日本共産党福岡県委員会が労働基準法で定められた就業規則を労働基準監督署に提出せず労働安全衛生法で義務付けられた労働時間の管理も適切に行っていなかった問題について問われた同党の田村智子委員長が、「専従職員はいわゆる労使関係とは異なる」と答えたと報道されています。

この法律関係について一定の整理をします。

共産党の専従職員は労基法の適用を受ける雇用契約ではないとする判例

名古屋地方裁判所 昭和53年11月20日判決 昭和52(ヨ)1657等 日本共産党員除名処分

二)以上に認定した事実によれば、県勤務員は、自発的献身的に党活動に専従する政党の常任活動家であり、県常任委員の指揮命令を受けるというよりは、県常任委員を補佐し、これに協力して執行機関である県常任委員会を構成し、全県党の指導活動並びに一般党務に従事する者であり、勤務場所、勤務時間の拘束はなく、欠勤控除もないかわりに、時間外割増賃金、有給休暇の定めもないというのであるから、以上のような県勤務員の勤務の実態に即して考えると、県勤務員に対する給与は、党務に専従するための活動費であり、生活補償費の意味合も含まれてはいるが、労務の提供と対価関係にあるとは認められず、従属労働性の度合は稀薄であり、県勤務員と被申請人県委員会との法律関係は、労基法の適用を受ける雇用契約関係にあると目することは困難であって、寧ろ、県常任委員と同様に委任契約ないしこれに類似する法律関係と認めるのが相当である。

昭和の愛知日本共産党愛知県委員会の事案において、「専従職員」の地位の法的性質が判示されています。労基法の適用を受ける雇用契約関係ではなく、委任契約ないしこれに類似する法律関係とされています。

前掲の田村氏の発言は、これを念頭にしたものと言われています。

この訴訟に関しては【仮処分決定と本訴訟】で原告の宮地健一氏本人と思われる者がまとめています。

労働基準法・労働安全衛生法上の「労働者」は実質的な「使用従属関係」を判断

ただし、労働基準法とこれをベースにした労働安全衛生法上の「労働者」は、契約の形式が雇用契約でなく、請負や委任であったとしても、実質的に「使用従属関係」の有無及びその程度について検討すべきとするのが裁判所の累次の判断なので*1*2、前掲の田村氏の発言だけでは何らの回避にはなりません。

とすると問題は、今般の福岡県委員会の事案や他の共産党組織の専従職員の使用関係を具体的に見て規制を受ける「労働者」と言えるのか?ということであり、そのあたりは共産党も以下答えているようです。

「労働者の党」が労働法令違反、職員「革命家」の意識か 共産党福岡県委の是正指導問題 – 産経ニュース

共産党中央委員会の広報部は産経新聞の取材に対し、党福岡県委の労働法令違反について「党機関専従者は党綱領に基づき、国民の切実な要求実現と社会進歩の促進のために自主的自発的に活動している。党機関専従者も労働法制を順守することは必要と考えている」と回答した。

なお、【共産党不当解雇裁判】など、法的地位の不安定さが原因で共産党とトラブルになった者による訴訟提起が複数為されている状況です。

こんなことでは信者も減っていくでしょう。

*1:https://www.mhlw.go.jp/churoi/roushi/dl/R041115-1.pdf
*2:労働者性 – 小西法律事務所


編集部より:この記事は、Nathan(ねーさん)氏のブログ「事実を整える」 2025年1月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「事実を整える」をご覧ください。