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前回の拙稿で、アベノミクスとは何だったのか?について、再考してみた。
じゃあ、アベノミクスは終わったの? それともアベノミクスを完遂するために足らざるを補うとしたら何なの? と言う点について、触れてみたい。
2013年以後、約10年にわたり、日本は大規模金融緩和というかつていかなる国もなし得なかった政策を打ち出し、実際にそれを行なってきた。
これを壮大な実験と見るか、日本再生に向けての切り札と見るか、その評価は分かれるところだけど、安倍晋三以後、誰がどのような形でアベノミクスを引き継ぐのか?或いは、全く新しい政策に踏み込むのか?が、大きな焦点だった。
私は、安倍晋三の宿敵であり、互いに嫌いあっていた石破茂が、その道を引き継いでいると感じる。
本当?
政治資金不記載問題で窮地にある自民党が、支持率回復の為に選択したのが石破茂だが、自民党支持者の多くは、総裁選の決選投票で石破茂に票を投じた国会議員を蛇蝎の如く罵っただろう。石破茂こそが、党内野党であり安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の路線を継承することはないだろうと考えた。
ところが、石破茂の頭は、安倍政権で地方創生大臣を引き受けて以後、地方創生こそが日本復権の鍵を握ると考えていたのだろう。自らの政策の柱に『地方創生2.0』を据えた。これには相当、力を注ぐ覚悟だろうか、デジタル担当大臣平将明、総理大臣補佐官木原稔、福田達夫の布陣を見れば石破茂の本気度がある程度伝わってくる。いずれも政策通として知られ、正に総理の知恵袋だ。
地方分権と地方創生の具体案
私としては石破茂批判は変えるつもりはない。拙稿では、政策論を踏まえつつ、経済学的な視点でアベノミクス以後の日本について考えてみたい。ちなみに制度経済学という考え方をベースにしてみた。
日本経済の閉塞感の根っこには、硬直化した制度や中央集権的な意思決定が横たわってると考える。制度経済学研究によると、経済成長には「包摂的な制度」(多くの人が参加でき、利益を共有できる仕組み)が不可欠だと教えてくれる。日本は技術力や人材はあるのに、地方の声が届きにくかったり、大企業偏重の政策が続いたりで、潜在力が発揮しきれていない。また、歴史的データから「制度が停滞を招くパターン」を明確に示してる。
【制度経済学】
ダロン・アセモグル(Daron Acemoglu)、サイモン・ジョンソン(Simon Johnson)、ジェームズ・ロビンソン(James A. Robinson)
良い制度(民主主義、財産権の保護)が経済成長を促す一方、搾取的な制度は停滞を招くと主張。歴史的データで裏付けた。
地方分権の重要性
中央が全てを決めるんじゃなく、地方が自立的に資源を管理・活用できる制度が成長を促す。
搾取的制度の打破:
一部の既得権益(大企業や官僚)が利益を独占する構造を改め、競争とイノベーションを活性化させる。
長期視点
短期的な経済対策じゃなく、50年後を見据えた制度改革が必要。
これらは、アベノミクスの中で、最後に欠けていたピースを補う一つの手法じゃないだろうか?
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以降、続きはnoteにて(倉沢良弦の「ニュースの裏側」)。