ガバナンス不在の30年、フジテレビが日枝久 取締役相談役の退任を発表

元タレントの中居正広さんによる女性とのトラブルへの対応を巡って批判が高まっていたフジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)は、3月27日、長年経営に関わってきた日枝久取締役相談役(87)の退任を発表しました。

日枝氏は2017年に会長を退任した後も影響力を持ち続けていたものの、今回の問題対応には関与していないとされています。フジサンケイグループ代表の座からも退く意向です。

日枝久氏 Wikipediaより

今回の人事では、フジテレビで16人、FMHで10人の取締役が退任します。これにより経営陣の若返りや企業風土の刷新を図る狙いがあるとみられています。フジテレビとFMHは27日に取締役会を開き、FMHの金光修社長(70)が会長に、フジテレビの清水賢治社長(64)がFMH社長に昇格する人事も発表しました。取締役選任は6月開催の株主総会の承認を前提としています。

中居さんのトラブルは2023年6月に把握されていたにもかかわらず、フジは番組起用を継続するなどの対応をとっており、ガバナンスの甘さや企業風土が問われました。

副会長の遠藤龍之介氏をはじめとした幹部は会見で、日枝氏の影響力の大きさを認めつつも「すべてを決めているわけではない」と説明していました。

日枝氏は1961年にフジテレビ入社後、編成局長や社長を歴任し、同局の黄金期を築きました。92年にはオーナー家の影響を排除する「クーデター」を主導し、2005年にはライブドアとの株争奪戦を収めるなど、長年グループの実力者とされてきました。

今回の退任発表に対して視聴者の反応はさまざまで、「遅すぎる」「今さら感がある」といった冷めた声もある一方で、「若い人に任せて再出発してほしい」といった期待の声も上がっています。FMHの金光社長は「取締役の平均年齢を下げることを目指した総合的な判断」としており、自身も代表権を返上しています。

なお、今回の一連の問題については、第三者委員会が調査報告書を近く公表する予定です。

preload imagepreload image