ここ最近、日本における外国人の運転免許証取得について注目が集まっています。
現在、日本では第一種・第二種・仮免許の学科試験がなんと20か国語で受験可能です。
対応している言語は以下のとおりです。
英語、スペイン語、ペルシャ語、韓国語、中国語、ポルトガル語、ロシア語、タイ語、タガログ語、ベトナム語、インドネシア語、クメール語、ネパール語、ミャンマー語、モンゴル語、ウクライナ語、シンハラ語、ウルドゥー語、アラビア語、ヒンディー語
さらに、外国免許からの切り替えにはフランス語、トルコ語、ベンガル語、マレー語も加わり、合計24言語に対応するという、きわめて多様な体制が整っています。
警視庁HPより
しかし、他の先進国では自国語以外での運転免許の学科試験が認められていない国も少なくありません。
たとえば、日本の一部の左翼の人々は「日本は多様性がない」「外国人に十分なサービスを提供していない」と主張しますが、実際には日本のほうがよほど先進的といえる状況です。
なにしろ、外国人の数が他の先進国に比べて少ないにもかかわらず、クメール語やシンハラ語といった、世界的にはマイナーな言語にまで対応した試験を提供しているのです。
なぜ、カンボジアやスリランカ、パキスタン、インドといった国々が植民地だったわけでもなく、また在留者もそれほど多くない日本で、彼らの言語にわざわざ合わせた試験が提供されているのか──極めて不可解です。
これに対して、移民がはるかに多いイギリスではどうでしょうか。
イギリスには、インド、パキスタン、スリランカ、トルコ出身者などが日本よりもはるかに多く住んでおり、たとえばインド系住民は190万人にも達します。
しかし、イギリスの運転免許試験は英語とウェールズ語のみで実施されています。
UK Government Theory test: cars
かつてイギリスでは、19か国語に対応した録音音声の提供や、通訳の利用による試験受験が可能でした。しかし以下の理由から、外国語による受験は廃止されました。
- 不正行為の多発
- 英語や交通ルールの理解が不十分な受験者による事故リスクの増加
- 社会の分断懸念
- 外国語対応にかかるコストの削減
2010年ごろからイギリスでは、外国人による運転免許の不正取得が社会問題化し、2013年には外国語試験の廃止が政府の政策議論にのぼりました。
BBCの報道によると、こうした不正は十年以上前から把握されており、イギリス政府は秘密裏に調査を進めていました。
当時、試験に同席する通訳が問題の内容を教えるなどの不正が横行しており、2004年にはエチオピア語の通訳が約600件の不正を行ったとして大きなスキャンダルとなりました。
2010年~2011年には、中国系通訳のピーター・フイが約200件の不正を手助けし、10万ポンド(約1900万円)を稼いだとして懲役12ヶ月の判決を受けています。
不正は通訳によるものにとどまらず、携帯電話を使ったカンニングなど手口は年々巧妙化しており、試験官が外国語を理解できないことで実態把握が困難でした。
また、タクシー運転手の資格試験にも不正が及び、交通や業務ルールを理解しないまま免許を取得し、事故を起こすケースもありました。
さらには、外国免許からの切り替えが認められていない国(インド、パキスタン、ナイジェリア、マレーシア、アメリカ、イスラエル、中国など)の人々が、香港など第三国で不正に免許を取得し、イギリスで書き換えるケースも多発していました。
このような不正取得者の中には、資金洗浄、人身売買、麻薬取引、違法タクシー営業などを行う犯罪組織の構成員もおり、組織が人材確保のために免許取得を手配していた事例も多数あります。
運転免許証は日本と同様に、イギリスでも身分証明書として使用され、銀行口座開設や国内線搭乗などに活用されるため、単なる運転資格にとどまらず、不正利用のリスクが伴います。
こうした経緯から、多くの先進国では外国語試験や外国人による免許取得の不正が深刻な社会問題として認識され、すでに対応が進んでいます。
それにもかかわらず、なぜ日本ではいまだに発展途上国の言語に対応した試験を提供し続けているのでしょうか。
また、セキュリティや不正対策の観点から、外国人の運転免許取得に関する議論がまったく行われていないのは、極めて不自然であり、見直しが急務であると言わざるを得ません。
河野太郎議員のXは話題を呼んだ(編集部)
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