今回の自民党総裁選挙は、5人の候補者がいずれも米国留学ないし研修の経験を持つ。ただし、林芳正・小林鷹之・茂木敏充はハーバード大学、小泉進次郎はコロンビア大学、高市早苗は議会で研修を受けている。小林は駐米大使館でも勤務した。

総裁選所見発表演説会に臨んだ各候補 自民党HPより
語学力は5人とも問題ない。学歴的に見ると、ケネディ・スクールはいわば外国人向けの特別コースであり、小泉は総理の息子ということで特別扱いを受けて入学したとされる。はっきり言えば裏口入学とまではいわないが、忖度入学のようだ。高市も「調査官」という大胆な翻訳で批判を受けたことがある。海外の学歴や職歴をどう翻訳するかについては、ある程度「盛る」ことが許容される範囲ともいえ、わりに普通のことだ。
日本での学歴は、小泉は関東学院大学をエスカレーター式で卒業した。学生時代は野球ばかりして勉強しなかったという。高市は神戸大学で、早稲田や慶應にも合格したが経済事情から国立を選んだという。京都大学や大阪大学は偏差値的に難しかったということだろう。
小林と林は東京大学法学部、茂木は東京大学経済学部。高校は、小泉は関東学院六浦、髙市は奈良県立畝傍高校、林は下関西高校、小林は開成高校、茂木は足利高校である。
実家をみると、林は名門経済人で世襲政治家、父は通産官僚だった。茂木は兼業農家出身。小泉は元首相の家系。髙市は父がサラリーマン、母が警官。小林は香川県出身の上場企業役員の家庭で育った。
全般的に高レベルだが、支持率でトップの2人は、残る3人に比べて学力、大学での勉学、政治経済の専門知識の点で相対的に明確に劣る。日本はひどいアンチ知性の国だ。異国では宰相は高い知的水準・専門知識・職歴を要求される職業であり、かつての田中角栄や三木武夫は、官僚政治家同士の高度な議論に伍していけるだけの勉強をしていた。しかし、世襲議員主体の青年会議所的サロンと化したいまの政界ではそれは難しい。
ちなみに、野党党首の学歴は、野田佳彦は早稲田大学、玉木雄一郎は東京大学(ハーバード大学)、吉村洋文は九州大学、公明党の斎藤鉄夫は東京工業大学博士(プリンストン大学)、共産党の田村智子は早稲田大学、参政党の神谷宗幣は関西大学、百田尚樹は同志社大学中退、福島瑞穂は東京大学である。
配偶者を見ると、小泉の妻はキャスター(青山学院大学・フランス留学経験あり)、高市は元代議士、小林の妻は弁護士(東京大学卒)、林の妻は山口大学教授(東京大学・MIT卒)、茂木は夫人について公表していない。もっとも、茂木に限らず家族情報を公表しない政治家は増えている。しかし、これでは不正が行われても分からない。また、ファーストレディーの質は宰相にとってかなり重要であるから、こうした風潮は問題だ。
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