生活がこれだけ苦しいのに無駄を止めない日本

欧州に住んでいて日本に行きますと、日本はまだまだ豊かだなぁと感じることの1つに、様々なところで配られるチラシや説明書がカラー印刷で質の良い紙であるということがあります。

なんと日本では病院や市役所が配るパンフレットや注意書きまでもがカラー印刷で非常に厚くて、質の良い紙でイラストまで付いているのです。

recep-bg/iStock

2025年12月9日発売の私の最新書籍である『世界のニュースを日本人は何も知らない7 フェイクだらけの時代に揺らぐ常識』でも指摘していますが、欧州はそういうチラシなどが実に質素です。

しかし日本は豪華なチラシやブックレットを配りまくる割には、どこの組織や会社も運用コストが高いとか、一般の人は生活が苦しい苦しいと言っています。

この「紙」に代表されるように、実は日本は収入に見合わない豪華な経費の使い方や消費があふれまくっています。

しかし、それが当たり前になってしまっているので、気がつかない人が多いようです。

例えば、ケチ道を邁進するイギリスの場合ですが、なんと国立病院で配られるパンフレットや次の予約を書いた紙は、再生紙というか、戦前のメモ用紙のような茶色い段ボールのような色をした薄い紙です。インクを節約するために、非常に薄い色で、治療法の注意書きや手術の手段、浣腸のやり方などが書いてあるのです。

私はこれを見て非常に驚きました。そこの病院が異常なのかと思っていましたが、そうではないのです。どこに行ってもそんな調子で、日本のような豪華なチラシやブックレットは一切ありません。

しかも病院の予約を取っても、日本のように豪華な綺麗な紙とかカードで予約票をくれるのではなくて、自分の頭で覚えろと言うのです。

そしてそれは病院だけではなく、警察とか学校も同じで、とにかくどこに行ってもあの戦前のようなわら半紙です。

非常にレトロで不思議な感じがしました。最初はこれはずいぶん失礼だなと思っていたのですが、よく考えたら情報さえ伝われば良いので、そういう紙とか薄い印刷でも全く問題ないのです。

慣れとは面白いものですね。

そして、私が住んでいたイタリアの場合は、これがもっと貧弱です。印刷しません。なんとぼろい紙に殴り書きをしてくることがあります。でもそれで万事OKです。仕事が終わればよいのです。

そして日本では豪華なチラシ、ブックレット、看板、予約表といったものがすぐにゴミになります。ところが日本はゴミ捨てが大変で分類も大変、町中にはゴミ箱もない。

貴重な税金や経費、予算を使って高い紙やインクを使って豪華なチラシやパンフレットを作る。

内容は実に不必要です。

無駄だらけです。

小さな字で担当者が責任を回避することがびっしりと書いてあって、何が言いたいのかわからない。そして意味不明なイラストがたくさん載っています。カラー印刷なので高価です。

そしてそれが大量にあってゴミになり、捨てたり分類するだけで皆がイライラ。残業がなくならない。長時間労働。ゴミを処理するのにまた税金が使われる。保存にも配送にもお金がかかります。倉庫代は安くはありません。ガソリンだって高い。

今は配送する人も足りない。足りないので外国人労働者を入れる。無駄なことをやるために外国人労働者に激安賃金で働かせる。そして日本の標識をよく理解できない外国人労働者は事故を起こす。

日本人はなぜこの無駄なサイクルを考え直さないのか?

なぜ誰もおかしいと言い出さないのか?

なぜおかしいと言うこと、無駄をやめようということをそんなに恐れるのでしょうか?どうして言い出しっぺになりたくない人、責任を取りたくない人、前任者にNOと言いたくない人だらけなのでしょうか?

皆さんそろそろはっきりと無駄は無駄だと大きな声で言いましょう。

これは私たちの為だけではなく、孫や子どもたちのためです。税金や会社の経費、学校の予算は無駄にしてはいけません。無駄なことをやるために外国人労働者を入れなければならない。そして激安賃金でこき使われる外国人労働者も、事故で犠牲になる日本人もどっちも不幸になる。

お金も資源も大事に使い、もっと大事なこと、例えば治療とか道路の穴を直すとか、そういうことに使いましょう。

子どもの給食を良くしましょう。

なぜ皆そのように考えないのですか?

病院のパンフレット、市役所のチラシはそんなに重要なものですか?

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