日本のネットではここ数年、男女共同参画関係の予算の使われ方に疑問を抱く人が増えておりますが、少子高齢化で財政も厳しい日本において本当に必要ではありません。行政の施策は早く見直さなければなりません。

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実は日本の人々のイメージと違って、イギリスをはじめ、欧州の多くの国の自治体では、日本の市役所や県庁がやっているような男女共同参画とか多様性に関するセミナーとか、よくわからないワークショップといったものはあまりありません。
2025年12月9日発売の私の最新書籍である『世界のニュースを日本人は何も知らない7 フェイクだらけの時代に揺らぐ常識』でも指摘していますが、特に自治体の予算の使われ方に大変厳しい目を向けています。イギリスだとそういったイベントはほぼ皆無に等しいです。
例えば男女共同参画に関して、イギリスの大学の教員が講義を行うということはほぼありません。
なぜかといいますと、各自治体は本当に予算が厳しく、そのようなイベントには費用対効果の疑問符がつくからです。
対面でのイベントを行っても、実際に出席できる人の数は限られています。どこの自治体にも日本のような豪華なホールや会議場があるわけではありませんし、ネットで中継するにしても費用がかかります。
しかも日本の実際では、そのようなイベントをなぜかウィークデーにやるのですが、ほとんどの人は働いていますから、そういうイベントに行く暇がありません。
費用対効果が極めて低いイベントだと言えるでしょう。
イギリスの自治体は民間企業と同じく業績評価がありますから、例えばイベントを行って、集客が何人で、どのような効果があったかということをある程度数値で示すことができないと大変な批判を浴びます。
したがって、日本のようなゆるいイベントはあまりできないわけです。しかし、これは納税者の視点からすると当たり前のことでしょう。
さらに日本の自治体にはよくわからない男女共同参画とか福祉系の施設がたくさんあります。
例えば女性なんとかセンターとか、子どものなんとか活動センターといったものが目的別になぜかあるのです。
しかし他の国だと、そういう目的別の公的な施設というのはあまりなくて、市の会議場や図書館や協会などをイベントスペースとして使います。
イギリスの場合は、なんと昭和初期に建てられた公民館を会場に使うこともあります。少しずつ直してそのまま使っています。そのぐらい倹約精神がすごいということです。
もちろん日本のように地震や台風がないからという理由もありますが、何でも新しく建てるというわけではないのです。
日本に行きますと、よくわからない公共の施設が大量にあるので、欧州の人々はとても驚きます。しかも出席者がたった10人とか20人ぐらいのヨガ講座をやっていたり、よくわからない領域講座などをやっているのです。
今は民間でも格安の講座がありますし、ネットで様々なことを学べますから、自治体がそういうイベントをやる必要性はないでしょう。
日本はバブルの頃にたくさんお金があり、全国で様々な不必要な施設やイベントが開催されてきました。
しかし超少子高齢化で経済の先行きも厳しい。
現在でも先送り先送りで、それを全く変えていないのです。大鉈を振って変革しなければ苦しくなるのは私たちです。
日本の状況が普通ではないということを、他の国と比べてよく理解してください。
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