革命国家は燃料で死ぬ:キューバを追い詰める“原油ショック”

原油供給停止で深刻化するキューバの国家危機

キューバの国家指導者たちが最も恐れていたことが遂に起きた。米トランプ大統領がベネズエラからキューバへの原油供給をストップさせたのだ。

キューバのカストロ政治体制は、唯一ベネズエラからの原油に依存していた。それによって、電力、輸送、産業などすべてのインフラを支えている燃料が完全に枯渇することになった。それに伴い停電はさらに深刻化し、国内の輸送機関は完全にストップし、工場の稼働も困難になる。すなわち、キューバという国家そのものが瀕死状態に陥ったことになる。

会見するトランプ大統領と同政権の閣僚たち ホワイトハウスXより

メキシコによる人道的原油支援とその限界

ディアス=カネル評議会議長の政府にとって国家を救う残された手段は、ロシア、中国、イラン、そしてメキシコに原油供給を仰ぐことである。その中でも最も距離的に近いのはメキシコである。

メキシコはロペス・オブラドール前大統領による、同国政治史で初めての左派政権の誕生もあり、キューバへの原油供給を開始した。ところがトランプ氏が大統領に返り咲くと、メキシコへの圧力が年々強化されている。そのような中で、シェインバウム大統領は彼女の師と仰ぐロペス・オブラドール前大統領のキューバ支援を切るわけにいかず、昨年5月から人道的立場を理由にキューバへの原油供給を実施している。

しかし、これもいつまで続けられるかは不明である。何しろトランプ大統領がメキシコへの圧力を強めているからだ。

ソ連崩壊後の空白を埋めたベネズエラ支援

キューバへのベネズエラからの原油供給が開始されたのは1999年。当時のフィデル・カストロ評議会議長とチャベス大統領の間で両国の相互協力が合意されてからである。この時点からベネズエラはキューバにとって最大の原油供給国になった。

2006年から2015年まで日量8万〜10万バレルの原油が供給されていた。しかし2010年頃から供給に陰りを見せるようになり、2018年には日量4万7000バレルまで減少。翌2019年には米国からの制裁とベネズエラ石油会社の生産量が低下したことにより、同国への供給はさらに減少していった。2021年には2万5000バレルにまで下降。

2023年に一時的に5万5000バレルまで回復したが、翌年には3万2000バレルまで減少。そして現在まで日量2万5000〜3万バレルの間を維持してきた。これは2005年から2018年の供給量と比較すれば雲泥の差である(1月8日付「ABC」から引用)。

キューバはベネズエラ原油の一部を自国で精製し輸出することで外貨を稼いでいたが、それも今後は困難になる。

そしてベネズエラが米国の支配下に入ってしまった今、キューバの将来は非常に暗いものになっている。

米国のキューバへの狙いは、カストロ体制を破壊して米国の支配下に置くことである。そして観光産業の伸展を図ることだ。そのためのインフラは既に存在しており、スペインのホテルチェーンも進出している。

仮にキューバに革命が起きず、米国の影響下にあったならば、フロリダは現在ほど発展していなかった。その分、キューバに投資が向けられていたからだ。