登録有形文化財の駅舎を訪ねて:山形鉄道でめぐる木造駅舎の旅

2月13日から15日まで、山形県を旅しました。雪の多い今年ですが、旅した3日間は暖かく、比較的天気に恵まれました。月山などを含む朝日山地の山々も綺麗に見えます。

山の写真を撮っていたら、1両の列車が通り過ぎていきました。こちらが今回のブログの主役、山形鉄道フラワー長井線です。山形新幹線の赤湯駅と、白鷹町の荒砥駅を結ぶローカル線は1913年に長井軽便線として開業、その後国有化されましたが、利用者の減少に悩み、JR東日本に移管された直後の1988年に第三セクターの山形鉄道に移管されました。もとは国鉄であったため、国鉄時代の駅舎がまだ残っている駅があり旅人の郷愁を誘っています。

沿線の長井市内のホテルから20分ほど歩いて一目見たかった木造駅舎にやってきました。こちらは羽前成田駅。1922年に長井線が延伸された際に開業しました。100年以上の歴史のある駅で、その保存の良さから国の登録有形文化財に指定されています。かつてはこのタイプの駅舎が沿線の随所に見られたのですが老朽化が進んで新しく建て替えられました。

味のある木造駅舎。利用したことがないのに懐かしさを感じてしまうのはなぜでしょうか。

羽前成田駅の魅力は、木の扉をくぐった中にもあります。囲炉裏のようなテーブルやチッキ、切符売り場がそのまま残されており、まるで昭和のテーマパークかと思ってしまいます。

驚いたのは切符売り場の上に掲げられた注意書き。

「日本国有鉄道が所有権を取得する」ー40年近く前に役割を失ったはずの看板が今もそのまま掲げられています。

さらに、こちらは国鉄時代の運賃表。近隣の駅や主要駅までの運賃や特急料金、寝台料金の掲示があります。かつて赤湯駅を経由して走っていたエル特急つばさややまばと、寝台特急あけぼのなどの列車に思いを馳せます。

ホームに出てみました。木造の柱がいい味を出しています。着物の女性がSLが来るのを待っていそうな雰囲気です。実際、映画のロケで使われたこともあるらしいですよ。

低すぎるベンチ。こんなところで座って友達としゃべりながら列車を待つ、そんな学生時代を過ごしたかったですね。

わたしは向かい風に向かってペダルをこぐ、自転車通学でした。

夢中になって写真を撮っていたらお迎えが来ました。さっき田んぼの中で見送った列車が折り返してきたようです。

20分ほど列車に揺られ、もうひとつ木造駅舎が残っている駅で下車します。

西大塚駅。1914年に長井軽便線として開業した当時からある駅です。以来修復はしているものの建て替えられることなく今日まで駅舎としての役割を果たし続けています。

この駅も手荷物預かり所や切符売り場などがそのままの姿で残されています。「旅と鉄道」などの鉄道雑誌が置かれていますが、この雑誌にさきほどの羽前成田駅や西大塚駅が掲載されています。実は今回の旅はこの「旅と鉄道」を読んで来てみたいと思って企画したんですよね。

きっぷ売り場の向こうをのぞいてみると、かつて駅員さんが使っていたんでしょうか、畳スペースなどがあります。今日は使われていなかったのですが、一般に開放されている日もあるようです。クリスマスツリーが妙に新しいので何かイベントをしたのかもしれません。

この駅も国の登録有形文化財に指定されていますので、すぐに建て替えられるということはないと思います。古き良き時代を伝える財産だと思いますので、地元の方や山形鉄道さんはぜひ未来も長きにわたって建物を残し続けていってもらいたいと思います。


編集部より:この記事はトラベルライターのミヤコカエデ氏のnote 2026年2月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はミヤコカエデ氏のnoteをご覧ください。