日本の雇用負担は重い? 雇用者報酬に対する雇主の社会負担

この記事では、GDPの分配のうち、労働の対価として雇用者が受け取る雇用者報酬と、その内訳項目である雇主の社会負担の割合について国際比較をご紹介します。

Feodora Chiosea/iStock

1. 雇用者報酬と雇主の社会負担

雇主の社会負担(Employer’s social contributions)は、社会保険料の企業側負担分など、雇用者に直接支払われる賃金・俸給(Wages and salaries)以外に企業側が負担する雇用費用です。

賃金・俸給に雇主の社会負担を加えたものが雇用者報酬(Compensation of employees)と呼ばれ、企業側から見た人件費に相当します。

生み出されたGDP(付加価値の合計)から、労働力を提供した労働者(雇用者)に分配される分が雇用者報酬とされます。

図1 雇用者報酬 日本
国民経済計算より

図1は日本の雇用者報酬と、その内訳項目である賃金・俸給雇主の社会負担を表したグラフです。

雇用者報酬も賃金・俸給も1997年をピークにしていったん減少するのですが、雇主の社会負担は緩やかに増え続けたことがわかります。

1990年代と比べると、雇用者報酬に占める雇主の社会負担の割合は少しずつ拡大してきたようです。

2024年には15%を超えていて、労働者1人の雇用に対して15%の追加コストを企業側が負担している事になります。

企業からすると、雇用者に直接支払う賃金・俸給以外に支払う雇用負担が増えてきたことになります。

2. 雇主の社会負担割合の推移

ここからは、日本の雇主の社会負担の割合が国際的に見て高いのか、統計データから確認してみましょう。

図2 雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合
OECD Data Explorerより

図2が雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合を計算した推移グラフです。

日本は韓国やカナダと共に主要先進国の中で相対的に低い水準が継続しています。

ドイツ、アメリカはOECD平均値と同程度で、イギリスは低めの水準からやや上昇して近年ではドイツ、アメリカと同じくらいです。

フランス、イタリアは高い水準が継続しています。ただし、やや低下傾向ではあるようです。

フランスやイタリアは、企業側の雇用に対する負担がかなり大きい事がわかりますね。

アメリカもOECD平均値を上回り、比較的企業側の負担が重い環境と言えそうです。

3. 雇主の社会負担割合の国際比較

最後に、雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合について国際比較してみましょう。

図3 雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合 2023年
OECD Data Explorerより

図3が2023年のOECD各国の雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合について国際比較したグラフです。

日本は15.4%で、OECD35か国中24番目、G7で6番目と、先進国の中では低い方になります。

イタリア、フランスはOECDの中でも最も高い水準である事が確認できます。

4. 雇主の社会負担の特徴

この記事では、GDPの分配のうち雇用者報酬に対する雇主の社会負担の割合についてご紹介しました。

先進国の中で見ると、日本の企業側の雇用負担はやや少ない方となります。

雇主の社会負担は、労働者として働いているとあまり意識しませんが、企業側からすれば大きな負担です。

失業率の低い日本では相対的に少なく、失業率の高いイタリア、フランスでは多いのも非常に示唆的な気がします。

日本の再分配が弱いという指摘も良く聞きますが、この傾向が後の再分配でどのように影響していくのか、少しずつ統計データでも確認していきたいと思います。

皆さんはどのように考えますか?


編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年3月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。

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