上昇する不動産価格にどう対応する?:二極化するこれからの住宅選択

会社で運営している新宿区の賃貸住宅。たまたま何人か契約更新の時期が来て1人は更新、1人は退去、1人は検討中であります。更新する場合の賃料引き上げ率は2.4%。優しい上げ幅です。その賃貸住宅の入居者は全員20代か30代の若い方が多く、更新される方も大学卒業して就職が決まったところなので高額の賃料を払えるわけでもありません。私の当初の事業計画上は今より安い賃料収入に基づき計算されているし、空室率も10%で計算してるので常時満室だと計画をかなり上回ることになり、そこまで無理しなくてもよいのです。

お前は強欲にならないのか、と言われれば「そこそこで結構です」とお答えさせていただきます。一方、事業者としては退去者が出れば新しい賃料はマーケットに合わせます。今回、退去者が出た部屋を家具付き光熱費WiFiオール込みに変える代わりに賃料を18%ぐらい引き上げたのですが、マーケットに出さずに瞬時に決まりました。不動産屋も介入しませんので借り手も不動産仲介料はいりません。18%上げてもコストも大きく増えるので利益増にはならないのですが、不動産事業で大切なのは空室を出さないことにあるのです。空室が1か月あると8%の賃料をミスるのと同じなのです。

2025年度の公示価格が発表されました。うーん、そんなに上がるのか、という数字です。東京圏の全用途は5.7%アップ、住宅地が4.5%で商業地は9.3%です。東京圏とは東京、神奈川、埼玉、千葉です。これが都内の公示価格となると全用途が8.4%、住宅地6.5%、商業地12.2%となります。更にこれが山手線の周辺区で見ると住宅地で概ね12%、商業地で15%超となります。80年代バブルの頃を思い出すほどの騰勢であります。

maroke/iStock

マンションについても2025年の東京23区内の中央値がついに1億1380万円と大台に乗せました。今までは平均が1億円を超えたといって騒がれていたのですが、中央値が2年遅れて平均値に追い付いた状況であります。

億ションが当たり前になった今、一般人が不動産を購入できるか、という問題に差し掛かっています。もちろん、かなり遠隔地に行けば手ごろな金額の物件もあるし、年季の入った中古物件でもよければ見つかるかもしれません。が、若い人たちの感性は自分を落としたくないし、利便性も重要だと考えるでしょう。そうすると「俺たちずっと賃貸派」が今後、更に増えるとみています。

例えば私の経営する女性専用シェアハウスも全く空きが出ないのですが、その理由はかつては外国人の方が多く、入れ替えがあったのにいつの間にかほとんどの部屋が日本人で占拠され、彼女たちは安住の地を見つけたがごとく5年も6年も前から居住頂き、全く引っ越しする気配がないのです。家賃支払いの遅れもないし、苦情の一つも出てこないのです。

不動産から見るに若者の住宅選択の二極化が起こりうるかもしれません。私は今更「賃貸派VS所有派」の議論はしませんが、今後はこれが議論ではなく、選択の余地が狭まってくるとみています。更に日本の不動産評価の仕組み上、減価償却による物件の上物の価値が時間軸と共に減価し、住宅ローンが希望額に達しなかったり、返済期間が短くなるケースも生じます。つまり安い物件があっても十分借りられないこともあり得るわけです。また勤務先も若い人は転職も多く、ローンが組みにくい方も増えるでしょう。

そこから類推すると賃貸住宅の需要は極めて強い状態が続くというのが私の読みであります。そしてもう1つ求められるのが引っ越しの面倒を考えなくてよい物件であります。私が家具付き、光熱費、WiFi込みのビジネスモデルを展開しているのはスーツケース一つで引っ越してきて、その日から普通の暮らしができるので圧倒的に便利だからです。

引っ越しピーク時には引っ越し屋はなかなか来ません。光熱費の口座設定に自動引き落としの手続きも面倒ですが、最大の難点はWiFi。家にWiFiがない方はいまだに多いと理解していますが、それがないのは圧倒的に不利な時代が来ます。そしてWiFiは一定期間の契約方式が多く、工事も2週間ぐらい先になるでしょう。これら借り手の手間を全部取り除いた賃貸住宅経営が勝者になるはずです。ただし、大家には様々な負担が多くなり、やる気を持ってやれる人ではないと対応できないと思います。

不動産に対する人々の見方も今後、時代と共に変わっていくと思います。その感性の10年、20年先を見て不動産とどう向き合うか考える必要ありそうです。私の感性は「不動産は様々な付加価値がある利用するもの」になると思っています。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月18日の記事より転載させていただきました。

アバター画像
会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント