ホンダとソニーが合弁で開発している「アフィーラ」を買ってみようと思い、販売案内を見たのですが、カナダでは購入予約の受付がされず、断念したのは1年以上前だったでしょうか?EVという観点よりホンダとソニーという北米で最も知名度が高い日本の会社の組み合わせはマーケティング効果が絶大であり、差別化しにくいEV販売市場において面白い存在になる、そう考えていたのです。

アフィーラ公式サイトより
今回「開発中止、合弁会社は清算かも」という報に接した時、「やっぱりそうなったか」という結末は至極残念であります。
私は以前からBEVは賛成派であります。今起きている販売低迷状態はあくまでも長いBEVの市場黎明期から今日に至るまでの一幕であり、市場が無くなったわけでも何でもないのです。世界各国がBEVの夢に踊らされ、当時流行ったSDG’s、環境重視、脱炭素化…の枠組みにおいてEVがセンターステージに上げられ、各国政府や地方自治体がこぞって2030年、35年、50年といった仕切り目に向かって内燃機関の自動車をなくすぞというテーゼを掲げたのであります。
5年ぐらい前に私が駐車場運営事業者としてバンクーバー市主催のEVチャージャーの事業所内敷設推進会議に何度か参加させられた際も役所側は結論ありきで「この方針は市議会で審議され通過する」とほぼ一方通行で「何が何でもEV推進」という理由なき強引さが目立っていました。結局、私もそれなりの投資を行い、EVチャージャーを10台、EVのインフラ(配線だけ行い、いつでも端末のチャージャーだけ設置すればよい状態に仕上げておくこと)を80台分導入したのであります。
結果はもちろん冴えない話なのですが、ここブリティッシュコロンビア州は北米で最もBEVが売れる州であり、販売比率は長く20%を超えています。私の投資したチャージャーの利益はどうなっているかと言えば売り上げは確実に上昇しています。導入して2年で2-3割ぐらいは増えています。チャージャーシステムへの投資に対するリターンという意味では数%ですが利益は出そうです。
当地でのBEV販売はやはりテスラが圧倒的に強いのですが、次いでヒョンデ(現代自動車)が市場シェア10%程度で、評判のよくないVWもそこそこ売れています。日本勢はほとんどないに等しいと思います。
個人的にはBEVはゆっくりとながらも着実に市場に浸透していくはずでその普及があと5年とか10年といった当初期待されたスピードでの転換にならないだけの話であります。ところがホンダは急速に市場変化が起きると判断し、一気に舵を切ったわけです。カナダのオンタリオ州に数兆円の投資をして北米のBEVの発信基地にするというぶち上げ話も実にお恥ずかしい話になりました。これは想像ですが、三部敏宏氏の性格、「夢とは実現不可能なものを可能にすることに最大の価値がある」という熱い思いが逆手になったともいえるし、内燃機関の自動車でホンダがこのところ、今一つ花が咲かなかったのでBEVで逆転を狙った可能性もあるのでしょう。
もちろん三部社長を責めるつもりはありません。勇気ある経営判断とその失敗であって判断しない社長が多い中、失敗をことさら追求する必要もないと思います。

実は私は案外、トヨタが上手に展開するような気がしてきています。ご存じの方もいらっしゃると思いますが、レクサスのセダンのリーディングモデルとなるESシリーズが今年から販売になっていますが、BEVの方がHVより価格が安いのです。これはトヨタの戦略だとされます。今までEVが普及しなかった理由の一つに価格差があったのですが、これを解消させた点で業界では驚きとなっています。実際にはカナダでは既にレクサスのSUVはHVのRS350とBEVのRZ350ではEVの方が若干安くなっています。
アメリカの大手自動車メーカーなどがEVで多額の損失を計上し、今回ホンダも諦め、ためらいがある中、トヨタが圧倒的戦略で市場参入すれば一気にトヨタが市場制覇する公算も出てくるのです。
このタイミングでカナダ政府はEVへの補助金も復活させ、EVはより一層買いやすくなっています。日本では政府の政策的意向が働いた差別化でトヨタのBEVが中国のBEVより95万円の補助金差をつけたと話題になっています。
ホンダはやりすぎたことへの反省で逆にEV市場が再度上向く可能性があるタイミングにその芽を摘むところにいます。ましてや日本のEVの本命だった日産もどこに行ったのか、という感があり、この勝負、トヨタが最後、笑うのではないかという気がしてなりません。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年3月26日の記事より転載させていただきました。







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