この戦争の制御能力をほぼ失ったトランプ大統領

イランとの和平交渉は決裂し、ヴァンス副大統領は肩を落としながら帰国しました。では専門家はこの交渉をどう期待していたのでしょうか?まさか1回で妥結すると予想した人はほとんどいなかったのではないかと思います。私も和平交渉は数か月単位になるだろうし、当事者間では解決できないだろうとも思っておりました。正に水と油の関係である両国をパキスタンが仲介するのは荷が重いのであります。これは以前このブログで意見させていただきました。

ただ、その後のトランプ氏の行動が私には解せないのです。「アメリカによるホルムズ海峡封鎖」の記事が出た際に私は寝ぼけているのか、と思い、4つぐらいのニュースソースを全部チェックし、その意味を理解しました。ははーん、イランの原油輸出を止めるために他の船舶も全部止めるというのだな、と。つまりアメリカは自国では原油が出るから価格上昇だけの問題で金さえ払えばどうにかなるけれどアジアで枯渇しつつある原油は知らんぷりだな、と。

トランプ大統領 ホワイトハウスHPより

トランプ氏はこの戦争の制御能力をほぼ失ったとみています。そしてその矢先にトランプ氏にとってもう一つ嫌なニュースが入ってきました。ハンガリーの総選挙でガチガチの保守であったオルバン政権が倒れ、中道右派のティサ党のマジャル ペーテル氏が勝利したのです。オルバン政権は極右に近い右であり、ロシア及びアメリカの双方から支援を受けていました。特に選挙戦ではヴァンス副大統領が現地入りし、応援し、他国の選挙に表立って介入をしたものの結成わずか6年のティサ党が圧勝したのであります。

これはヴァンス氏にとってもっと堪えた結果でありましょう。氏の今回のハンガリー、パキスタンへの出張の成果はゼロであったからです。もともとヴァンス氏は私の見た目では人を蹴落とするいわゆる「いやな奴」的な性格でアメリカ国内でも煙たがられています。よってまだ判断を下すには早すぎますが、個人的にはバンス氏の次期大統領候補の芽は摘みそうな気がします。

当然、トランプ氏としては右腕あるいは「先鋒」として自分のクローン的な期待もしていただけに内心、相当苦戦しているとみています。また、ネタニヤフ首相を全く押さえられず、イスラエルはヒズボラを攻める理由でレバノンを締め上げる手を全く緩めていません。イスラエル世論もネタニヤフ氏の強気の姿勢を約8割の層が支持し、イスラエル国民が暗示にかけられたような状態になっています。当然ながらネタニヤフ号という暴走列車はトランプ氏でさえ止めることはできないのです。

戦争というのは不思議なもので交戦を反対する層も戦争が一定程度進み、自国が勝ち続けると反対層も自国応援に回り、戦争支持が国内で圧倒します。これはスポーツでも同様でWCBのように日本代表が活躍し、勝利を重ねれば普段野球を見ない人も応援するようになるのと同じ心理状態であります。この場合、気をつけなくてはいけないのはそれが敗れた時、極めて大きな反動が起こり、時として暴徒化する可能性もある点でしょう。私が暗示にかけられているというのはそういう意味であります。

ところでトランプ氏のホルムズ海峡封鎖作戦に手を貸そうという国が全く現れません。英国とフランスは独自の別の方策でホルムズ海峡の平和的開放を画策しています。今回の戦争で最大の着目点は欧州が初めからそっぽを向いている点でしょう。かつての中東絡みの戦争は必ずと言ってよいほど英国やフランスが共同戦線を張ったものです。欧州はアメリカの孤立化作戦にあるとみてます。その理由が心底にはアメリカとイスラエルの共同戦線に対する世論受けの悪さだとみています。

以前にも本ブログで述べたことがあるのですが、ユダヤ人は決して好かれた存在ではないのです。むしろ煙たい存在です。欧州でもロシアから英国までユダヤ系の資本や事業、政治への関与はもちろんあります。ロスチャイルド、ラザード、シャネル、エルメス、マークス&スペンサー…ですが、ガザ侵攻以降、欧州におけるユダヤ系の方々は自分の立場を隠すなど非常に苦労しているとされます。基本的には欧州のトランプ氏への姿勢は反ユダヤ的背景は当然あるとみています。ただ、表立って言えないだけの話だと思います。

トランプ氏のこの戦争の終結のさせ方次第ではアメリカ世論がざわつく公算があると思います。内政が手つかずの状態で経済問題も放置のまま戦争にのめり込んだ現政権は戦争の結果がどうであれ、決して支持が広がることはないだろうと考えています。当然、それは中間選挙の結果にもなるでしょう。仮にトランプ氏にとって不利な中間選挙の結果となれば残り2年の任期中のアメリカは身動きができないともいえ、世界の勢力地図に変化が起きるかもしれません。

私はトランプ氏を傍で見ていてこれほどお手つきを繰り返し、傷だらけになりながらも放言を繰り返し、強気一辺倒の氏がある意味、道化師の様でこれぞ本当の裸の王様ではないかという気すらするのです。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月14日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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