アップルのティム・クック氏がCEOを降り、ジョン・ターナス氏にバトンタッチします。予定では9月1日です。クック氏はジョブズ氏の後を継ぎ、同社を10倍規模にし、不動の大企業に育てました。私から見ればジョブズ氏がカリスマ性と独特の想像力を持った天才肌であったのに対してクック氏は実務派で企業経営に特化したと思います。そしてアップルの中でもサプライチェーンに強みを持っていたクック氏は流通など商品の流れをよくするタイプである意味、日本人的な経営姿勢だったと思います。

ジョン・ターナス氏 アップルHPより
一方でアップルが遅れたとされるAI機能搭載や爆発的ヒットがでないアップルの数々の新製品を見ると成功と失敗、光と影ともいえるかもしれません。私も長年iPhoneは使っていますが、関連商品であるiPodもマックもタブレットもウォッチも持っていません。ウォッチだけは欲しい気もしますが、その場合、左手に通常の時計、右手にアップルウォッチをつけるのでしょうか?
私が時々話題を振るトニー・ロビンス氏は何時も両腕に腕時計をしています。氏が両腕にしているのは出張が多いことによるためとされ、1つは現地時間、1つは自宅の時間を表示するとともに講演などトークを生業としているだけに時間に対する意識を高めるためだとされます。前者の理由はともかく、なるほど、自己啓発家は時間に管理されるというわけでしょうか。私がアップルウォッチに興味があるのは身体の動的管理や健康状態のリアルタイムの管理、現状のデジタル的把握をスマホを見ることなく瞬時に確認できる点でしょうか。
なぜおまえはもう一つの普通の腕時計を外そうという考えがないのか、と言われると時計は結構見る癖があるし、スマホをいつも手元に置いているわけではないことが一つ、もう1つは時計という形をした貴金属の装飾品という考え方です。特に機械式の時計は愛着があって体の一部のようなものなのです。
さて、アップルの話に戻すと次期CEOのジョン・ターナス氏はハードウェア畑が長い人でAIとハードウェアの融合を目指すとみています。もどかしかったアップルのこの7-8年の状況を打破すべくチャレンジをするのでしょう。
現在のアップルラインアップからはスマートグラスが今年出るかどうか、卓上ロボットは来年出るかどうか、という感じでその他新型AirPods、ペンダント型デバイス、Siriの見直しなどが見込まれています。
では質問。あなたはこれ以上、テックデバイスを身につけたいでしょうか?正直、答えは割れると思いますが、案外、スマホだけでよいと答える人が多いのではないでしょうか?人間がテクノロジーに支配されるか、人間がテクノロジーを支配するのか、その端境期にあるように感じるのです。
多く方はスマホとは別にパソコンやタブレットを含め、複数のITガジェットは既にお持ちのはずです。それらがハードとソフトの両面で急激な進化を遂げる中、人々の生活そのものも急変するもなんら抵抗を感じることなく、人々はそれらを受け入れているのがある意味怖い気がするのです。
あくまでも使うのは人間だという点を考えれば人間の表面的な生活改善にAI搭載ガジェットが絶対必要か、と言えば「あれば便利、なくても気にしなかったけど一度知ると止められない」ではないかと思うのです。
例えば自動車の自動運転。絶対に必要か、と言われればこの100年、人間が運転することで何ら文句はありませんでした。むしろ運転することに一種の生活リズムの変化や刺激となったりしたのです。あえて問題といえばトラック運転手の長時間勤務ぐらいで、あとは運転する技術を人間が習得し、世界どこに行っても一定の交通ルールのもとでクルマ社会が機能してきたのです。とすれば自動運転によりせっかく育んだ100年にわたる人間が持つ運転能力と運転のルール意識を機械に譲り渡すということになり、それはそれでどうなの、と私は思うわけです。
アンソロピックのAIがソフトウェアやSaaSに大打撃を与えるだろうとされています。AIそのものがいくつもの派閥の中でそれぞれが進化し、賢い人は複数のAIに物事を聞き、それから判断するという時代にあります。当然、そこには人間が考えるというプロセスが抜けており、結果だけを知るという時代に変化したわけです。
ターナス氏は極めて優秀なアップル社の中で高い評価を得て選ばれた次期CEOだけにもちろん、戦略をお持ちなのでしょう。私がその戦略の手玉に乗るかどうかは私の感性にどこまで訴えるか、そして年齢的に受諾できるレベルかどうか、であります。技術がここまで進化すると最新のテクノロジーについてきている人とすでに落ちこぼれてしまっている人がいるわけで、私は落ちこぼれている人のほうがはるかに多いと思うのです。よってハイテク大好きの世代にどれだけ受けても全世代に衝撃を起こすほどのヒット作は切り口を完全に変えない限りだんだん出てこなくなるだろうと思うのです。
その意味からは期待せずに待ってみたいと思います。新風を巻き起こすならばそれは素晴らしいけれど今や競合各社ほとんど同一ライン上でつば競り合いだけに差別化はかなり難しいのではないかと思います。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年4月23日の記事より転載させていただきました。






コメント