パンデミック後も続く病院の面会制限:診療報酬で是正へ、問われる正当理由

kato/iStock

令和8年度の診療報酬改定の全容が明らかになった。その中で面会制限について新たな動きがあった。

この厚労省の説明資料によると、「正当な理由なく面会制限を行う」と病院の収入が減額されることを意味する。疑義解釈資料では、正当な理由の一例として「新型コロナウイルス感染症が拡大復は保険医療機関に勤務する多数の職員が新型コロナウイルス感染症等に感染する」と記載されている。

感染症が拡がっている時期に限って一時的に制限するのはやむを得ないとしており、概ね妥当ではないか。

厚生労働省はこれまでも、感染対策に留意しつつ可能な限り面会を可能とするよう、各施設に対し、現場の判断で柔軟に対応することを通知してきた。しかし、現実の医療現場では、いまだに以下のような制限が継続的に課されている。

  • 時間は15分まで
  • 1回につき2人まで
  • 子どもの面会は不可
  • 完全予約制
  • 施設内ではマスク必須

さらに、インフルエンザや新型コロナが流行の兆しを見せると、即座に一律の面会禁止に踏み切る施設も少なくない。こうした過度な制限が「患者の権利侵害」に当たることは、九条丈二氏がアゴラで詳細に論じている通りだ。

「今後感染拡大が懸念される」という理屈のみで、面会制限を継続することは認められないとした厚労省の方針は評価できる。

ここで強調したいのは、「面会制限が感染対策として有効である」という科学的根拠がほとんど存在しないという点だ。極めて乏しい根拠に基づいて、患者と家族の根源的な権利を制限し続けていることこそが、最大の問題ではなかろうか。

筆者が所属する静岡市立静岡病院は、全国で56病院ある第一種感染症指定医療機関である。2009年の新型インフルエンザや2020年の新型コロナウイルスパンデミックの際も、最初期から積極的に患者を受け入れ、診療にあたってきた。その際、私たちは感染対策だけに偏るのではなく、通常医療の継続も重要な責務と考え、適宜対応してきた。

面会についても、得られるメリットと権利侵害のバランスを鑑み、パンデミック中もほぼ通常通りの体制を維持してきた。実際、当院では面会制限やマスクの強制は行わなかったが、県内の同規模の病院群と比較して、新型コロナの患者数や死亡者数が多かったという事実は認められなかった。

この度、当院の「面会指針」を作成した。これまで行ってきたことを改めて文書にしたものだ。

静岡市立静岡病院面会指針

患者の自己決定権、自立の尊重は患者の基本的人権であり、すべての医療者が心得るべき倫理原則と考えている。多くの病院・施設が合理的判断を下される際の一助となればありがたい。

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