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この記事では、家計の財産所得のうち、企業の分配所得について国際比較してみます。
1. 企業の分配所得とは?
SNA(国民経済計算)では、付加価値以外の所得の収支として、財産所得が集計されています。
その中でも企業の分配所得(Distributed income of corporations)は、株式投資による配当金など企業から分配される財産所得となります。
近年ではNISAなどが推奨され、家計の受け取る配当金も増えてきたと言われますが、国際的に見てその水準がどの程度なのか、統計データで確認していきましょう。

図1 財産所得 日本 家計
国民経済計算より
図1は日本の家計全体の財産所得をグラフ化したものです。
プラス側が受け取る分、マイナス側が支払う分として見てください。
バブル崩壊までは、受取も支払も利子が非常に大きな割合を占めていましたが、バブル崩壊後は徐々に低下し、近年ではかなり少なくなっています。
一方で、配当は2000年代から増え始め、近年では主要な財産所得の1つとなっていますね。
2024年には8.4兆円と利子の受取(6.1兆円)を上回ります。
2. 1人あたりの推移
ここからは、家計の受け取る配当(企業の分配所得)について国際比較していきましょう。
家計の受け取る企業の分配所得は、配当のみのはずですが、今後企業についても同様の比較をしていきますので、より大きな区分である「企業の分配所得」で国際比較していきます。
企業の分配所得には配当と共に、「準法人企業所得からの引き出し」という項目が加わるのですが、家計の場合はゼロとなっています(日本の場合)。
まずは人口1人あたりのドル換算値からです。

図2 財産所得 企業の分配所得 受取 家計 1人あたり
OECD Data Explorerより
図2は家計の受け取る企業の分配所得について、人口1人あたりのドル換算値(為替レート換算)を計算した推移です。
アメリカやドイツが非常に高い水準に達していて、1人あたり平均で4000ドルを超えています。
日本はフランスと共に低い水準が続き、2023年で507ドル程度となっています。
円高傾向が進み、株式投資も活発だったバブル期でも、それほど高くない水準だったことが確認できますね。
日本の家計は少しずつ配当金の受取が増えてきましたが、国際的に見ればかなり低い水準となります。
あくまでも平均ですので、皆が一様にこれだけの所得があるわけではなく、特に配当の場合は大きな格差があるはずなので、その点はご留意ください。
3. 1人あたりの国際比較
つづいて、最新値について、より広い範囲で国際比較してみましょう。

図3 財産所得 企業の分配所得 受取 家計 1人あたり 2023年
OECD Data Explorerより
図3がOECD各国の、1人あたりの水準を比較したグラフです。
アメリカ、ドイツがニュージーランドやスイスと並んで非常に高い水準ですが、一方で日本はOECD29か国中26番目と、かなり少ない水準となっています。
相対的にみれば、日本の家計の株式投資による配当所得は先進国の中ではかなり少ないと言えそうです。
4. 対GDP比の推移
金額水準だけでなく、対GDP比でも比較していきましょう。
まずは、主要先進国の推移からです。

図4 財産所得 企業の分配所得 受取 家計 対GDP比
OECD Data Explorerより
図4が家計の受け取る企業の分配所得 対GDP比の推移です。
日本はフランスと並んで非常に低い水準が継続しています。
イタリアがかなり高い水準から低下傾向となっていて、逆にアメリカは上昇傾向となっているのが興味深いですね。
アメリカはGDPが拡大しつつも、それ以上に家計の受け取る配当が増えている事になります。
ドイツも高い水準なのが興味深いところです。
5. 対GDP比の国際比較
最後に、対GDP比の最新値についても国際比較してみます。

図5 財産所得 企業の分配所得 受取 家計 対GDP比 2023年
OECD Data Explorerより
図5が家計の受け取る企業の分配所得 対GDP比の2023年の国際比較です。
日本は1.5%でOECD30か国中24位とやはり低い水準ですが、人口1人あたりの金額水準よりは上位となります。
日本より下位に、所得水準の高いノルウェーやアイルランド、ルクセンブルクが入っているのが印象的です。
アイルランドは近年急激に経済水準が高まっている一方で、海外への財産所得が非常に多い国ですね。
逆に上位にはメキシコやニュージーランド、コロンビアなど欧州以外の国が入っているのも特徴的です。
6. 家計による企業の分配所得受取の特徴
この記事では、家計の受け取る企業の分配所得について、国際比較した結果をご紹介しました。
日本の家計では、少しずつ増えてはいますが、国際的に見ればまだまだ非常に低い水準に留まっているようです。
近年では株価も上昇し、株式投資への関心が高まっていますが、まだまだ家計の受け取る配当は増える余地があるのかもしれませんね。
皆さんはどのように考えますか?
編集部より:この記事は株式会社小川製作所 小川製作所ブログ 2026年5月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「小川製作所ブログ:日本の経済統計と転換点」をご覧ください。







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