老後の豊かな生活という夢の実現のための資産形成

元本保証されている預金は、価格下落の危険がなく、不時の支出に備えるには最適な資産である。おそらくは、高齢者層において預金の保有が多いのは、そうした背景があるからである。しかし、様々な不測の事態を考えたとしても、なお支出される可能性のない資金は、投資に振り向けられ得る。もっとも、支出可能性がなければ投資目的がなく、単に利益を得ることが目的となれば投機になるから、何らかの夢の実現という目的は必要なのである。

実は、使途の決まった資金でも、支出までに時間があれば、投資に振り向け得る。例えば、住宅を購入しようとして、ローンの頭金を用意しているときなど、預金に滞留させておくのが普通だろうが、支出の時期が遠ければ、投資に振り向け得るはずである。また、使途も様々で、旅行などの夢の実現のための資金は、投資によって変動しても、大きな害はないと思われる。いうなれば、夢を確実に実現するのが預金なら、夢を膨らませるのが投資なのである。

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資産形成とは、勤労期間中に、老後の豊かな生活のための原資を計画的に積み立て、積み立てた資産を長期の視点で運用することである。つまり、資産形成においては、豊かな老後生活という夢の実現が投資目的なのであって、資産の増殖とともに、夢も膨らんでいくことが理想なのである。

実際に老後に至れば、投資目的は、資産価値の保全と、計画的な取り崩しになる。老後生活は、実は、非常に長いのだから、資産価値の保全とはいっても、全てが預金に置かれるわけではないであろう。では、どのような資産運用があるのか。また、計画的な取り崩しとはいっても、自分の余命はわからないなかで、どのような計画の立て方があるのか。

更には、資産形成から資産保全へと、突然に、投資目的が変わるわけではなくて、一定の時間をかけて、徐々に投資方針を変化させるべきだが、その投資方針の段階的変化は、いかにしてなされるべきか。実は、資産形成には、多くの難しい問題が未解決に残されているのである。

森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
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