2014年以来、ロシアが併合してきたクリミア半島でロシア当局は26日、非常事態を宣言した。ウクライナ軍による度重なるドローン攻撃は、これまでロシアの補給路、エネルギーインフラ、軍用車両などを破壊してきた。クリミアでは停電が頻繁に発生しており、燃料の販売も大部分が停止している。

ウクライナ復興会議の参加国代表らとの記念写真(前列中央がウクライナのスビリデンコ首相、ポーランドのグダニスクで、ウクライナ政府公式サイトから、2026年6月25日
セルゲイ・アクショーノフ知事は26日、「クリミアでの非常事態宣言は経済的な問題への対処を容易にするためのものだ」と述べた。ウクライナは5月以来、エネルギー不足を引き起こす狙いで、クリミアへの供給を担うインフラや燃料輸送車を攻撃し続けている。同知事は「ロシア軍が半島を完全に防衛することは不可能だ」と述べた。
同知事によれば、非常事態宣言という法的枠組みにより、「あらゆる重要部門の業務維持に関わる問題を、可能な限り迅速に解決することが可能になる」という。この措置は追加資金の拠出を円滑にすることを意図しており、理論上は地元住民に対する制限措置を課すことも可能にするものだ。
ちなみに、ロシア国防省によると、26日未明にかけて、クリミアやモスクワ地域などの標的に向かっていたウクライナのドローン660機をロシアの防空部隊が撃墜した。
現地からの情報によると、クリミアでは、ウクライナ軍の攻撃で停電が発生している。最近では、個人や社用車向けの燃料販売が停止された。それは、ロシアからの観光客で街やビーチが賑わうはずの休暇シーズンの真っ只中でのことだ。価格は高騰し、日常生活に深刻な支障が出ている。
アクショーノフ氏は「クリミアは困難な時期に直面しており、燃料問題が最も深刻な課題だ。これがいつまで続くか正確には言えない。具体的な対応計画を公表することもできない。しかし、我々は対策を講じている」と指摘している。
近隣のミコライウ州にあるキンブルン半島をめぐる状況も同様だ。全長約40キロメートルに及ぶこの半島は、黒海に注ぐドニエプル川の河口に向かって突き出している。ウクライナ軍は数週間にわたり、同地のロシア軍への攻撃を続けてきた。通信社ウクルインフォルムによると、2週間前にはパルチザン(抵抗運動組織)が、ロシア軍の連隊を撃退した。そして25日、戦略的に重要なこの半島にウクライナ国旗が掲げられている様子を捉えた画像がソーシャルメディア上で拡散された。
報道によると、ロシアのヴォルゴグラード州のアンドレイ・ボチャロフ知事は27日、ロシアの主要都市ヴォルゴグラードに対し、夜間にウクライナによる攻撃があったことを認めた。同知事はテレグラムへの投稿で、少なくとも10人が負傷し、工場の生産施設が損傷したと述べた。ロシアおよびウクライナのメディアの未確認情報では、ウクライナの巡行ミサイルが兵器工場「チタン・バリリカディ(Titan-Barrikady)」を攻撃したという。
ロシア軍は現在、前線でほとんど進展を見せていないが、プーチン大統領は戦争の目的を放棄するつもりはないという。ゼレンスキー大統領によると、ウクライナはロシアを交渉のテーブルに着かせるための努力を続けており、「プーチン氏の側近らに対し、首脳会談の実現や戦争の終結は可能であると伝えてきた」という。具体的な詳細については明らかにされていない。ベラルーシのルカシェンコ大統領は先般、ゼレンスキー大統領の特使らとの会談について報告している。外交面において、ルカシェンコ氏はプーチン氏の最も親密なパートナーだ。

プーチン大統領 クレムリンHPより
ロシアとウクライナの代表団は、米国による仲介の下、2月にアラブ首長国連邦(UAE)で戦争終結に向けた交渉を行ったが、具体的な成果はなかった。その後、イランとの戦闘もあって、米国はウクライナ紛争に関する仲介の取り組みを大幅に縮小した。
ゼレンスキー氏は演説の中で、最近行われた捕虜交換を評価し、さらなる捕虜交換への期待を示すとともに、戦争の早期終結を改めて求めた。また、ロシア領内深部の標的を狙ったドローン攻撃については、モスクワが引き起こした戦争に対する正当な対応であると述べた。
なお、ポーランド北部グダニスクで25日、ウクライナの復興支援に向けた国際会議が2日間の日程で開催された。エネルギーインフラの強靱化や投資の呼び込み、防衛産業の協力が議題。ゼレンスキー大統領に代わってウクライナから会議に参加したスビリデンコ首相が発表したところによると、ウクライナ復興を協議する「ウクライナ復興会議」で、各国代表らが総額100億ユーロ(約1兆8400億円)を超える計160件の合意文書に署名したという。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年6月28日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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