東京株式市場で、ソフトバンクグループ(SBG)の株価が急反落を記録した。出資先であり、生成AIブームの牽引役である米OpenAIが、新規株式公開(IPO)を2027年まで先送りする可能性が浮上したためだ。
孫正義社長主導のもと、巨額の資金をAI関連企業へ集中させてきた同社の「AIシフト戦略」は、早くも市場の期待と現実のギャップという大きな壁に直面している。

Bloomberg
13%の株価急落:市場に走った衝撃
26日の東京株式市場で、SBG株は前日比13%安の6226円という大暴落で取引を終えた。この下落率は、日本株相場全体が歴史的な急落を見せた2024年8月5日以来の規模であり、市場が受けた衝撃の大きさを物語っている。
同社株は、対話型AIサービス「ChatGPT」の爆発的な普及と、それに伴うOpenAIのIPO計画を追い風に、ここ数ヶ月にわたり強い上昇トレンドを維持していた。今年6月には一時、時価総額でトヨタ自動車を上回り国内首位に躍り出たが、今回の報道は一瞬にして投資家心理を冷やす結果となった。
SpaceX株の暴落で個人投資家が警戒
NYタイムズの報道によると、OpenAIのIPO計画で助言を行う銀行団は、上場を2027年まで先送りするようアドバイスしているという。その背景には、近年のテクノロジー株の激しいボラティリティ(値動きの荒さ)がある。
銀行団は、イーロン・マスク氏率いるSpaceXが過去最大規模のIPOを実施した際、上場後に株価が暴落した事例を挙げて警戒を呼びかけている。これがIPOに対する個人投資家の投資意欲を冷え込ませ、慎重な市場環境の見極めが必要だと判断した模様だ。
孫氏の「AI専業化」の賭けの不透明な出口戦略
SBGは現在、孫社長の強力なビジョンのもとでAI専業投資会社への脱皮を急いでいる。OpenAIに約650億ドル(約10兆5000億円)の出資を約束しているほか、足元ではスイスの重電大手ABBのロボティクス部門買収に合意するなど、AIとロボティクスが融合する未来への布石を次々と打ってきた。
市場が期待していたのは、OpenAIの上場による「資産価値の可視化」と「莫大な含み益の現実化」だったが、今回のIPO延期は、そうした期待を大きく後退させる内容だった。りそなホールディングスの武居大暉ストラテジストはこうコメントしている。
市場はOpenAIの上場により、SBGのポートフォリオにどれほどの市場価値があるのかをより明確に評価できるようになると期待していた。IPO延期の報道は、そうした期待を後退させる内容だったと言わざるを得ない。
再び拡大するNAVディスカウントと赤字リスク
今回の延期報道は、単に時期が後ろ倒しになったというだけでなく、OpenAIが抱える根本的な課題にも再びスポットライトを当てることとなった。
この結果、SBGの株価が保有純資産価値(NAV)に対してどれだけ割り引かれて評価されているかを示すNAVディスカウント率が、再び拡大に転じた。ブルームバーグのカーク・ブードリー氏はリポートの中で、次のように分析している。
ここ数週間、OpenAIの巨額営業赤字と競争激化への懸念から、純資産価値(NAV)に対する株価のディスカウント率は再び拡大した。一方、OpenAIのIPO実現に向けた具体的な進展があれば、それらの懸念を打ち消す材料になるだろう。
OpenAIのIPOが2027年まで先送りされると、金利負担もかさみ、SBGは今後少なくとも1年以上にわたり、含み益の可視化がないまま、巨額の投資資金と出資先の営業赤字リスクを抱え続けることになる。孫氏の描く「AI革命」の正当性が証明されるまでには、市場が想定していた以上の時間と忍耐が必要とされそうだ。







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