冒頭、申し上げますが、先日高市氏に関しての本ブログに私見を述べた際、「高市下げ」というご意見を頂きましたが、それは読み手の解釈の問題で私は高市氏を上げも下げもしません。強みも弱みも自分なりに理解した中で政権運営が詰まらないようにするにはどうすべきかという意見を述べたまでです。過去のすべての首相の手腕は長短さまざまであってそれに対して世論がコメントしてきたわけであり、その一環でしかないのです。その点をお含みおきいただければ幸いです。

高市首相 首相官邸HPより
高市首相には芯があり、ひるまない姿勢が高支持率の背景の一つだと思います。首相にはおおむね2タイプあり、安倍氏や高市氏のような明白なポリシーを掲げてまい進するタイプと岸田氏や石破氏のように調整型のタイプがあります。両者それぞれ長短がありますが、国民受けしやすいのは前者のタイプである一方、絶対的な敵も作りやすい、これが最大の特徴であります。
では高市氏と安倍氏は何が違うのか、私が感じるのは閣僚とブレーンの使い方だとみています。安倍氏は聞くチカラを持っているのですが、高市氏は学究肌で自分で学び既に一定の知識を持っているのでレク(=官僚などが専門分野について首相にレクチャーすること)を補完的作業だと考えているように見えるのです。また安倍氏はゴルフなり、会食なり民間人を含めた相当広い人的交流を維持し、情報源をたくさん持つことに秀でていました。残念ながら高市氏がそれを積極的にしているとは思えません。仮に寝ないで仕事をしているならば夜中に誰かを叩き起こして「これ、どう思う?」とは聞けないでしょう。
とすれば一言でいう安倍氏と高市氏の違いとは要領の良さなのかもしれません。
さて、高市氏の目先の懸念材料とは何か、私が思う項目を以下、掲げます。
1 食品消費税問題
2 円安とインフレ
3 中国外交
4 「高支持率」
このブログを通じて既に上述のいくつかのポイントについては何度かコメントしてきました。
食品消費税についても先週のブログでちらっと触れました。その後「吉野直也のNIKKEI切り抜きニュース」というポッドキャストで財務次官、日銀副総裁を歴任した武藤敏郎氏が出演していて拝聴しました。(このポッドキャストは政財界の大物が毎週のように出ており、個人的には今、一番旬な番組だと思います。)この際に武藤氏が食品消費税政策をぼろくそに言ったのが印象的でした。
高市氏が本件、どう結論付けるのかわかりませんが、私が思うのは仮に1%にしろ0%にしろ強行した場合、高市氏の首相のイスは就任時に私が「4年ぐらいやるかも」といった予想から向こうあと1年-2年程度に縮まると修正します。理由の1つは食品消費税が元の8%には戻るとは思えないからです。戻そうとするときに世論の声を受けた野党は相当勢いづくでしょう。自民党内も異論で分裂紛糾し、「公約であった2年の時限措置」が果たせなくなり、辞任に追い込まれる、というシナリオです。
最近方向感が揺れる「正義のミカタ」の6月27日の放送分は私には驚くほどの方向転換に見えました。特に高市氏を推す高橋洋一氏が食品消費税の2年後の8%への回帰に言葉を濁した点は見落とせません。本件は専門家を中心に「戻すことが現実的ではない」という声が圧倒的になっています。また国民会議も小野寺氏が全くまとめ上げられず、高市氏と会議参加者のアンコになっており、間もなく結論付けるであろう行方に注目が集まります。
円安とインフレについては「責任ある積極財政」というフレーズが気になります。本件についても武藤氏は「訳ワカメ」という趣旨の発言をしています。「わかったようでわからない、何に対して誰が何の責任を負うのかわからない」と言うわけです。財政の考え方は一律ではありません。積極財政と規律ある財政は使い分けなくてはいけません。いつどういう時にどういう目的で積極的にするのか、守りとは何か、ここは上手くやらないいけないと思います。
高市政権で株価が高くなったじゃないか、と言いますがそれは全く違います。韓国や台湾の尋常ではない株価のヒートアップと比較しても今回の東アジアでの高株価は政権とは全く関係ない理由での上昇だと考えてよいでしょう。
中国外交については高市氏が引くに引けない袋小路に入ってしまったとみています。報道では習近平氏の怒りと報じらていますが、それ以上に怒っているのは王毅外相です。氏はメンツをつぶされたと思っており、実務上のトップという立場を利用して高市氏に対する外交政策は絶対に緩めることはないでしょう。日中外交は表面的な薄い交流は続きますが、政治レベルでは少なくとも高市氏の次の代までないと考えるべきです。
これらを踏まえると今の高支持率は何故なのだろう、と思うのです。私の見立てでは国防に関する進展が大きかったと思います。これは小泉防衛大臣も自らが認めていました。「この8か月で様変わりした」と。これは高市氏の信念であったことは大きいし、その間、イラン戦争があり、日本国内の国防意識が高まったことはあります。これは歴史が証明するのですが、戦争リスクや戦争想起が生じた場合、ほぼ確実に保守的思想となります。これが高市氏の高支持率を後ろから支えていたものと考えています。今後、これが剥離しやすくなる点は気をつけるべきでしょう。
高市氏がこれらの懸念材料を克服できるか、と言えば容易ではないでしょう。とすれば私の意見としては「好きなように走ればよい、ただし次の人にバトンをしっかり託す準備をしておくこと」だと思います。幸いにして野党はバラバラで一体感がないので正論で攻めれば足元が揺らぐことはないと思います。ただ、日米関係については高市氏というより日本が長期的にアメリカとどう付き合うか、政策提言団体などの提言を含め、見直す時期に来ていると思います。とりもなおさず、トランプ氏に抱きつくシーンが日本がアメリカに抱き着いているように想起でき、そこはシャンと毅然とした態度で臨んでほしいのであります。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年6月30日の記事より転載させていただきました。







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