稚拙な国会運営:与党が圧倒的な立場にいるのになぜ空転するのか

サッカーも中盤になり、ベスト16も決まりつつありますが、進出国は出るべくして出る国のように見えます。日本の野球が強いように欧州や南米はサッカーのカラダへの染みつき方が違うのでしょう。アジア勢が劣勢だった今大会ですが、場外で光ったのが森保監督の韓国チームを率いた洪明甫監督への擁護発言。李大統領を含め国中で批判の対象としてしまった事態に対し「過去最悪ということはない。国のために身を粉にして戦っている。結果を出すための努力は最大限している。全て結果論。やってきたことがダメかと言えば、そうではない。韓国の方々も、ほめる報道をしてあげてください」。素晴らしい発言です。もちろんひねくれて理解する方もいるかもしれませんが、なかなかこういうことは言えません。これぞ人間力であります。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場は夏休み入り、潮目の変化は嗅ぎ取ろう

報道でキオクシアの社員600名程度がストックオプションで10億円以上の含み資産を得ていると報じられています。このところの下落で少し減っているかもしれませんが、それにしてもすごい額です。もちろん売却すれば5割近い税金を持っていかれるので実際に手にできるのはその半額ぐらいですが、日本もそういう国になったのだなと痛感します。北米、特にアメリカではそのような形で億万長者になった方は数十万人いるとされます。海の向こうの文化だと指をくわえていた方もいるでしょうけれどいよいよ日本でもそのような傾向が生まれてくるかもしれません。

さて、そのキオクシアを代表する半導体関連株については先週もつぶやいたように腹一杯の状態でこれから新値を形成するには相当の材料が必要で、個人的には難しい気がします。むしろ買い残が異様に積みあがっていることから悪材料一本で3割4割下げる崩落のリスクがあります。私が見る限り市場では既に潮目の変化がこの10日程度で明白に出てきています。私は日本株は少ししかチェックしていませんが、北米株も日本株も投資家の呼吸は同じなのです。それは「AI関連ではない違う空気を吸いたい」。

では何?と聞かれるとなかなか難しいところにありますが、日本は内需関連などは売られ過ぎでようやく反騰ののろしが上がりそうだし、トヨタなど自動車関連もこの数か月は散々でした。日産もボトムでしょう。あの会社は復活できると思います。北米は夏休みシーズン入りしました。ここで気をつけたいのがプロは「秋の異変」を常に意識している点。この異変は7-8月の2か月間、悪材料に目をつぶるためにギャップが生じて衝撃的なことが起こりやすいためです。特にその衝撃が予見できる場合、年によっては8月中旬から調整入りすることもあります。今年は現状、悪材料は顕在化していませんが、一応、頭の片隅にはおいておくべきでしょう。

稚拙な国会運営

国会運営が空転しています。与党が圧倒的な立場にいるのになぜ空転するのか、ある意味不思議と言うか、運営下手というか、自民党はやっぱり一枚岩ではなかったのでしょうか?議員定数削減や副首都構想の件で怒りまくる維新が秋以降の波乱要因となるか注目されます。何がこんな風にさせたのか、というと高市首相の「タイパ姿勢」だとみています。首相が例の中傷動画問題に関する答弁で「こんなやり取り、時間の無駄、私にはもっとやらねばならないことがある」と言わんばかりのあからさまな姿勢が答弁に出たことが尾を引いていることはあるでしょう。

高市首相 首相官邸HPより

政治家は国民の代表として激論を交わし、妥結させることを業としています。もしも政治をAIに任せたらきっとスムーズにいくでしょう。しかしそれでは人間放棄であり、政治放棄なのです。我々が古代アテネのあの政治の原点からほぼ変わらず今日に至っているのは様々な考えがある中で議論を尽くすことが求められているからなのです。一時、国民民主が与党入りかと報じられた点に関して玉木代表は明白に否定しました。本質的なことが解決していないというわけです。何が本質か、私が見て取る玉木氏の本質とは議論だと思うのです。

なぜ自民党はこれほど形成有利なのに苦戦するのでしょうか?私には以前から変わらない巨体である自民党がバラバラだからだと思うのです。正に同床異夢。小渕優子氏が税制調査会のインナーの役職を降りたのは好例で、小野寺氏と合わなかったとされます。麻生氏が立ち上げた国力研究会。その立ち上げの思惑はいろいろあると思いますが、1つには自民党の結束力を再度強化したかったからでしょう。とりもなおさず、内部がバラバラだということを公言しているようなものだったとも言えます。とすれば高市首相ではなく、高市総裁に一度立ち戻り議論を尽くす方が先決な気がします。

羽田から成田への移動

たぶん、日本の方はこの意味が分かりにくいと思います。羽田から成田に移動する方は地方空港から羽田経由成田発で飛ぶ人ぐらいではないかと思います。ところがこの羽田‐成田の移動路線は大幹線路線になりつつあります。と言うのは国際空港としての羽田が強化され、アジアなど近距離便は羽田が主力になりつつある中、北米などからの乗り継ぎフライトの関係で両空港間を移動せざるを得ない人が爆発的に増えているのです。これには当然、アジアでの熾烈なハブ空港争いが背景にあります。

この移動、アクセスライナーという京成と地下鉄と京急を経由する追加料金なしの電車が直行運転しているのですが正直、一般の人は乗りづらいと思います。スーツケースを持った外国人でぎゅう詰めなのです。移動時間は約1時間30-40分。この件はこのブログで過去に何度か指摘させていただきましたね。今般、京成が新型車両の羽田-成田直行の有料特急を運行すると発表しました。ちなみにJRも羽田アクセス線臨海ルートを2031年までに開通させますが、これを成田と直結させる話はまだありませんが蘇我駅経由で物理的には線路は繋がります。

今回の見直しには成田の輸送のネックとされた成田空港エリアの単線区間も複線化することが盛り込まれ、成田から羽田のみならず、都心へのアクセスは飛躍的に改善しそうで、外国人天国化はさらに拍車がかかりそうです。個人的には京成が京成上野という実に中途半端な終点駅となっているのがもったいないと思います。西武新宿線と同じ悩みで、京成は日暮里、西武は高田馬場が実質的な終点駅のような形になっています。大都会となってしまった以上、これ以上の延伸は難しいのでしょうね。

後記
常連の方には怒られるかもしれませんが、EVではない車を買いました。車種はトヨタ グランド ハイランダー。日本にはないというより規格外の大きさで、全長5116mm、全幅1989mmです。ハイブリッド車です。会社の車なので私の我儘は通用せず。笑 理由は荷物を大量に積んで移動することがしばしばあるからで絶対的信頼と下取りの価値からトヨタ車となり、その中で最も積載キャパがある車で消去法で購入しました。中古なのに新車価格より高かったですけどね。乗っていて楽しい車ではなく、まだ必死に運転する感じです。カナダの道は狭いので幹線道路で対向でトラックやバスが結構中央分離帯からはみ出してくることもあるので慣れないと怖いです。でも個人的にはEV購入は諦めたわけではないです。BC州はEVのインフラ整備が充実しているので街中はEVだらけであります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年7月4日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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コメント

  1. 早川蒼真 より:

    国会運営の稚拙さ、その根本原因を鋭く突いた記事だと感じつつ拝読しました。与党が圧倒的な数を持ちながら空転しているという違和感、そして自民党が「同床異夢」でバラバラになっているという分析には、多くの国民が頷くところでしょう。小渕優子氏の税調インナー辞任や麻生氏の「国力研究会」立ち上げを例に党内の結束力低下を指摘するプロセスも、非常に説得力があります。今の自民党が、かつての「一枚岩の巨大政党」ではなく、個々の議員や小グループがそれぞれの思惑で動く寄り合い所帯になっているのは、紛れもない事実だと思います。

    ただ、なぜここまでバラバラになってしまったのか。記事は主因を高市首相の「タイパ姿勢」に置いていますが、私はこの点に一歩踏み込んだ反論を加えたいのです。一言で言えば――**「だって、派閥をつぶしちゃったから」**。これに尽きるのではないでしょうか。

    裏金問題を受けて派閥が「金とポストの温床」として叩かれ、解体に追い込まれた流れそのものは、時代の要請として理解できます。悪しき慣習を断つ必要はあった。ここは異論ありません。しかし冷静に振り返れば、派閥は自民党という巨大すぎる寄り合い所帯を統べる「強固なガバナンス機構」でもありました。面倒な利害調整は領袖同士が水面下で行い、若手は選挙やポストの面倒を見てもらう互恵関係の中で育てられ、派閥同士の切磋琢磨が党内に擬似的な緊張感とバランスを生んでいた。つまり派閥とは、党内の意見を集約し決定を全員に守らせるための「調整弁」であり「防波堤」だったわけです。

    その防波堤を全廃したのですから、党内がバラバラになりコントロールが効かなくなるのは、組織論として当然の帰結です。麻生氏が「国力研究会」を立ち上げざるを得なかったのも、単なる仲良しグループ結成ではなく、失われたガバナンス構造を別の形で補完しようとする必死の抵抗と読むべきでしょう。

    そう考えると、高市首相の「タイパ姿勢」も、首相個人の慢心や対話軽視で片付けるのは酷だと思うのです。かつての総裁なら、強力な派閥のバックアップを受け、党内の根回しや国対交渉をベテランが裏で完璧にお膳立てしてくれた。首相は整えられた舞台の上で答弁に集中すればよかった。しかし今の高市首相には、その後ろ盾がありません。いつ身内から撃たれるかわからない流動的なパワーバランスの中で、党内調整に膨大なエネルギーを割かれている。裏方の調整機能が壊れているからこそ、前線に立つ首相自身に余裕がなくなり、答弁に焦りや苛立ちが滲む――これが問題の構造的な真実ではないでしょうか。首相を支えるべき「組織のインフラ」が破壊されていることこそが、悲劇の本質なのです。

    野党から見れば、今の自民党は「誰と話せば物事が決まるのか」がわからない組織になっている。かつては幹事長や派閥のドンと握れば通った話が、今は誰に通しても党全体がまとまらない。これでは真面目に妥協点を探るインセンティブも湧かないでしょう。

    ただ、ここでもう一点だけ反論を。議論を尽くすことは大事ですが、議論は無限に続ければよいものではありません。物価、賃金、社会保障、防衛と、決めるべき課題は山積しています。与党には政策を前に進める責任もある。だから問題は「議論を避けたこと」だけでなく、「議論を終わらせる技術を持っていないこと」でもある。そしてその技術の担い手こそ、かつては派閥だったわけです。

    精神論として「議論しろ」と唱えるだけでは足りません。何度も言うように、議論を集約し決定を守らせる仕組みそのものを自ら壊してしまったのですから。広場に全員を集めて「さあ議論せよ」と言っても、選挙目当てのスタンドプレーが乱立し、カオスが深まるだけです。総裁に求められているのは、派閥に代わる「新しい時代の意思決定のルールと統治の仕組み」を再構築することに他なりません。

    結局のところ、今の空転は高市首相という一人のリーダーが起こした一時的なアクシデントではなく、古いガバナンスを壊したのに新しいものを確立できないまま走り出した、自民党という組織全体の「構造転換の産みの苦しみ」そのものです。悪しき配管を撤去したのはよい。しかし新しい配管を敷かなければ水は流れません。「だって派閥つぶしちゃったもん」――この一言で全部説明できてしまうのが、なんとも皮肉な話です。改革には必ず副作用がある、という教訓なのでしょう。「派閥なき時代の新しい政党の形」を高市総裁が提示できるかどうかに、秋以降の政局はかかっているように思います。