「今だけ、金だけ」の政治のツケ:外国人労働者なしでは日本がもたない

つい先の5月、有名パティシエの鎧塚俊彦氏が、特定技能外国人労働者の受け入れ再開をFacebookで訴えた。

高市自民党政権は、ネトウヨの外国人ヘイトの声に忖度してか、あるいは自身もレイシスト(人種差別主義者)なのか、労働力不足にもかかわらず特定技能外国人の受け入れを停止したが、実に不見識だ。国と政権は外国人労働者の受け入れを再開し、介護を含むエッセンシャルワーカーの労働力の確保を図るべきだ。

団塊の世代が後期高齢者となり、いよいよ超高齢化が本番を迎えている。にもかかわらず、これまでの社会や国、政治の無策が招いた低待遇により、介護職が減少し始め、介護職養成校でも定員割れや廃校が相次いでいる。このままでは介護崩壊は確実だ。すでに地方では、訪問介護ヘルパー事業所の倒産や廃業が続いている。

そもそも少子化が進むうえに、若者が汗を流す仕事を嫌がり、忌避するようになっている。農林水産業から飲食・土建業、さらに介護まで、わが国の社会基盤が、慢性的な人材不足によってエッセンシャルワーカーという支えを失いつつある。何しろ、国のトップである為政者からして「今だけ、金だけ、自分だけ」なのだから、若者が「楽をして、いい思いをしたい」というチート思想に溺れ、志など失うのも当然である。

一方で、アベノミクスの失敗から続く異次元の円安のため、かつてほどの人気はないようだが、依然として東南アジア諸国から、わが国での就労や日本語、技術の習得を目指す外国人は少なくないようだ。

実際に地方では、不足する介護職をアジア系外国人で補充し、現場を持ちこたえさせているところも出てきている。介護資格は制度的には中卒、いや、小卒ですら取得できるが、アジア系労働者は時に現地の大卒であり、帰国すればエリート人材である。言葉や習慣、文化の問題さえ解決すれば、十分すぎるほど有能だ。認知症が進行すると会話も困難になるが、笑顔や優しさは伝わる。必ずしも日本語が流暢でなくてもよい。

筆者もベトナム難民やフィリピンからの労働者と働いた経験があるが、皆、優しく、向学心が高く、熱心だった。居酒屋やコンビニで働く外国人たちも親切だ。以前行きつけだった、アジア系外国人を多く雇用しているチェーン居酒屋で、ある時、「いつもありがとうございます」と声をかけられた。珍しく職場の後輩たちを連れて行ったところ、寿司盛りを出してくれたことまであった。外国人であってもなじみになれる。人の心は、姿や言葉にかかわらず同じなのだ。

外国人が犯罪を犯すとか、外国人居住区で迷惑行為があるとかいった理由から、外国人ヘイトがある。しかし、外国人による犯罪は日本人による犯罪より少ないし、教えなければ、わが国の習慣や道徳を理解できるはずがない。わが国だって、昭和まではタバコや空き缶のポイ捨てが当然だった。それを何十年もかけて正してきたところだ。

むしろ、悪徳事業者が志ある外国人を劣悪な条件で働かせ、逃げ出しても行き場がなく、犯罪グループに取り込まれることもあるという。ブローカーが存在し、多額の借金を負わせるともいう。ならば、外国人労働者を犯罪に追い込む悪い日本人を取り締まるほうが先だ。

とにかく、介護職不足は全く解決の見込みが立たない。現在30万人、今後は50万人が不足するとされる。日本人だけで足りるはずがない。待遇を少しくらい改善しても、もっとよい条件の仕事があればそちらに流れるし、現役世代の労働者自体が足りない。介護してほしいなら、外国人労働者を受け入れるしか道はない。

さて、筆者が関わる神奈川県大和市には、かつてインドシナ難民の受け入れ・定住促進センターがあった。そのためか、今もアジア系外国人が多く、日常的に接する。

国の管理下で外国人労働者受け入れの拠点を各地に整備し、民間に委託してもよいので、日本語や習慣の教育を施し、就職後もモニタリングすれば、来る側も受け入れる側も安心だ。

政権はヘイトに忖度するのではなく、砂上の楼閣になりつつあるわが国の社会インフラを支えるため、外国人労働者の受け入れを真摯に考えるべきだ。

【参考】

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント