ウクライナは13日夜、ウラル山脈に近いロシアのバシコルトスタン共和国にある製油所を攻撃した。同共和国のラディ・ハビロフ首長はテレグラムで、サラヴァトの工業地帯が大規模な攻撃を受けたことを認め、「ドローンの残骸の落下により、数カ所で煙が上がっている」と報告した。報道によると、石油処理施設で火災が発生した。サラヴァトは前線から1,400キロメートル以上離れた場所に位置している。石油会社ガスプロム・ネフチが所有するこの製油所は、年間700万トン以上の原油処理能力を有している。

ロシア連邦大統領府の執務室で中国代表団との会談が行われた,2026年7月8日、クレムリン公式サイトから
その直後、ロシア南部クラスノダール地方の危機管理チームは、アフィプスキー集落近郊にある石油精製所が再び攻撃を受けたと報告した。同チームはテレグラムのチャンネルで、施設で火災が発生したことを明らかにした。
ここ数ヶ月、ウクライナはロシア国内の石油関連施設への攻撃を強化している。その影響は顕著に表れており、石油の処理量は過去20年以上で最低の水準にまで落ち込んでいる。多くのガソリンスタンドでは在庫が尽き、燃料の供給を制限しているところもある。ドライバーは給油のために長い列に並ばざるを得ない状況という。
オーストリア国防省のマルクス・ライスナー大佐は13日、ドイツ民間放送ニュース専門局ntvとのインタビューで「ウクライナ軍がここ数週間から数ヶ月の間に戦果を挙げている。特に中・長距離ドローンによる攻撃での成功が顕著だ。これには米国企業のAI技術やCIA(中央情報局)の偵察データが活用されている」という。
トランプ大統領は先週、ロシアのプーチン氏と電話会談を行い、その内容を「非常に良かった」と評していたが、カリーニングラードに配備されたロシアのミサイルの脅威に対抗するため、ドイツが米国の巡航ミサイル「トマホーク」を導入することに同意するなど、硬軟取り混ぜた政策を駆使している。
トランプ氏はウクライナの最近の軍事攻勢を受け、プーチン氏が停戦交渉に応じる可能性が出てきたと考えているのかもしれない。マルコ・ルビオ米国務長官は、アンカラでのNATO首脳会議において、「管理されたエスカレーション(段階的緊張激化)」と表現している。米国は、遅くとも年内にはロシアを交渉のテーブルに着かせることを目指し、ロシアに圧力をかけているわけだ。それが功を奏するかどうかは今後の展開次第だろう。
いずれにしても、ウクライナ軍の成果は測定可能であり、ロシアの燃料産業が被っている打撃は甚大だ。石油生産施設や埋蔵地は、修復不可能な被害を次々と受けている。プーチン大統領自身が先月28日、危機管理会議の招集を余儀なくされ、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官も、突如としてこの紛争を「戦争」と呼ぶようになった。ロシア側が追い詰められていることは明らかだ(「ロシア、燃料不足解消のため備蓄を放出」2026年7月2日参考)。
ただし、ロシアの戦力が尽きた、ということはない。空爆の破壊力は依然として衰えておらず、オデッサが巡航ミサイルで攻撃されたばかりだ。ウクライナ側は現在、こうした攻撃の迎撃に極めて苦慮している。「パトリオット」ミサイルの弾薬が深刻に不足しているため、首都キーウの防衛体制も危うい状況にある。
ところで、独週刊誌シュピーゲルなどの国際的なメディアによる調査から、中国とロシアの軍事・情報分野における協力関係が、これまで知られていた水準をはるかに超えて深化していることが確認された。これらの事実は、合同フォーラムから流出した文書に基づくものであり、中国側が積極的に関与している実態を明らかにしている。中国政府はこれまでロシアとウクライナ間の戦争では建前上は中立的な立場という姿勢をとり続けてきた。
文書から判明した主な内容は、①宇宙空間を利用したインターネット網への標的化:中国の防衛専門家らは、ウクライナ軍にとって不可欠な衛星インフラである「スターリンク」を無力化するための具体的な計画や対抗策について議論してきた。こうした対抗策には、サイバー攻撃やネットワークの妨害などが含まれる。②秘密裏の軍事訓練:欧州の諜報機関による分析では、中国が自国の施設において、ドローン技術や電子戦に関するロシア兵への訓練を具体的に行っている。③軍民両用(デュアルユース)製品の輸出:中国は、ドローン用など軍民双方の用途を持つ重要な構成部品をロシアに継続的に供給している。
ライスナー大佐によると、ロシアと中国は軍事的なパートナーシップを構築しており、その関係は、両国が認めている以上に緊密なものという。中国は、ロシアが戦争で敗北するのを防ぐために、ハイテク技術や能力をロシアに提供する一方、中国は、ロシアが新型兵器システムで得た経験を自国の軍の近代化に活用している。
なお、中国の王毅外相は昨年、EUの外交政策責任者であるカヤ・カッラス氏に対し、ロシアがウクライナ戦争に敗北することは望まないと直接伝えている。ロシアの敗北は、米国が再び中国へと関心を向けるきっかけになるからだ。
ちなみに、エストニアのマルグス・ツァフナ外相(49)はドイツのメディアネットワーク「RND」とのインタビューで、「プーチン氏は交渉のテーブルに着くのか、それとも劇的な最期を迎えるのか、現時点ではそのどちらのシナリオもあり得る。ロシア大統領への圧力が強まっており、プーチン氏の側近の間でさえウクライナ戦争に対する疑念が広がっている。オリガルヒ(新興財閥)の間でさえ、プーチン氏の戦争に疑問を抱く人が増えている。わずか1年前には多くの人が勝利を信じていたものの、現在は状況が一変している」と指摘している。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2026年7月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。







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