「世論調査」を装うメディアの政治記事

山田 肇

国会の閉幕を機に7月27日に実施された記者会見で、高市早苗総理大臣は世論調査で内閣支持率が下落したことについて質問された。「数字に一喜一憂することなく謙虚に真摯に、国家国民のためにこつこつ仕事をしてまいります」と回答したが、この回答を批判する声もある。

しかし、元になった世論調査が統計学的には「でたらめなこと」にも注意を払うべきだ。

総理府統計局は「標本設計」について、自治体向けの説明を掲載している。説明に沿って計算すると1億人の国民の声について標本数1000人で調査した場合には、賛否が50%で分かれたら、統計誤差は±1.6%と計算できる。

メディアがおよそ1000人規模の世論調査を実施するのはこの計算が根拠なのだが、これは1,000人が単純無作為抽出できた場合に限られる。単純無作為抽出とは、わかりやすく言えば男女比や年齢比が日本全体の分布に近いということで、メディアの世論調査にはこの点に大きな問題がある。

ランダムに電話をかけ出た人に質問するRDDをメディアは採用してきた。人々がランダムに電話に出てくれれば回答者の分布は日本全体の人口分布に近いはずだ、というのがRDD採用の根拠である。かつては固定電話だけを対象にしていたが、今では携帯電話も入れて、誤差を減らす努力をしている。一部のメディアはネット調査も併用する仕組みを入れている。これがメディアの言い分である。

しかし、電話が来たからと、ネットで依頼があったからと協力する人は限られているという問題は解決されていない。そもそも朝日新聞や毎日新聞の調査結果と産経新聞の結果が異なるのは、「朝日新聞の世論調査に協力してください」と告げられた際に協力する人に政治的なバイアスがあるからだ。

協力者の男女比が6:4だったら、女性の回答は1.5倍に扱うといった重み付け補正も行われていない。これも大きな問題で、協力する人の年齢や人口に偏りがあれば誤差は大きくなる。

その他にも、質問が誘導的という問題も繰り返し指摘されてきた。質問設計は統計調査の根幹だが、メディアは記事化を前提に質問を作るため、科学的調査設計になっていない。

内閣支持率が7月期の世論調査で低下したのは事実だろうが、これを「急落」と書くのは意図的すぎる。今の支持率でさえ石破内閣の最高支持率を越えているからだ。統計学的に適切な世論調査手法に切り替えない限り、メディアへの信頼は損なわれていく。そして「オールドメディア」と批判されるようになる。

ましてや、そんな世論調査でさえも3%前後しか支持されていない中道が、もっともらしく政権批判するのは見るに堪えない。

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