ニューヨークに旅行したとき、どうしても日本のラーメンが食べたくなり、一風堂のウェストサイド店を訪れました。場所はマンハッタンの51丁目です。タイムズスクエアやブロードウェイの劇場街からも近い一等地です。

ここは高級レストランか
店に入ると、まずバーカウンターが目に入ります。その奥には、照明を落とした落ち着いた客席が広がっています。日本の一風堂も十分に洗練されていますが、こちらはラーメン店というより、日本料理を出す高級レストランです。
客もラーメンを急いですすって帰る気配はありません。酒を飲み、前菜をつまみ、会話を楽しみながら、ゆっくりと食事をしています。
日本では、ラーメンは仕事帰りに一人で食べるものです。ニューヨークでは、ワインを飲みながら語り合うものになっていました。ラーメンも海を渡ると出世するようです。
「白丸元味」は立派に日本人
注文したのは、もちろん「白丸元味」です。運ばれてきた丼からは、見慣れた豚骨スープの香りが立ち上ります。細麺、チャーシュー、メンマも、日本で見るものとほとんど変わりません。

スープを一口飲むと、安心しました。おいしいです。海外の日本食には、しばしば大胆な現地化が施されます。寿司にアボカドが入り、照り焼きは砂糖水のように甘くなります。その点、一風堂の白丸元味は、ニューヨークに染まりきってはいませんでした。
豚骨のコクがあり、臭みはなく、麺の硬さも日本の一風堂を思い出させます。「ニューヨークでも、これだけ日本と同じ味が出せるのか」と素直に感動しました。
ただし、日本の店では無料で置かれていることの多い辛もやしやニンニク、ゴマは見当たりませんでした。味は日本のままですが、無料サービスまで日本のままというわけにはいかないようです。
味は同じでも、請求書はニューヨーク
問題は会計でした。白丸元味は20ドル(3140円)で、唐揚げを友人と分け、デザートのミルフィーユも注文しました。ミルフィーユは14ドルです。そこに税金とチップが加わり、支払額は1人36ドルほどになりました。今のレートだと約5600円です。
ラーメンで5600円。日本では味わえない体験でした。日本の一風堂では白丸元味が850円です。単純に比べれば、ニューヨークの白丸元味は日本の3倍以上です。円安の悲しさを体験しました。
日本では、一風堂は気軽に入れる人気ラーメン店ですが、ニューヨークではビジネスパーソンが会食に使い、きちんとした服装の客が前菜や酒とともにラーメンを楽しんでいます。同じ商品でも、市場が変われば肩書まで変わります。
ニューヨークが高すぎるのか、日本が安すぎるのか
ニューヨークのラーメンが高い理由を、円安だけで説明できません。マンハッタンの家賃、人件費、食材費、物流費は、日本とは比べものになりません。さらにチップを前提とした外食文化があり、ラーメン店にもレストラン並みの内装や接客が求められます。
一風堂は日本の価格をドルに換算しているのではなく、ニューヨークの所得や物価に合わせて、ニューヨークの価格を設定しているので、現地では不当に高いわけではありません。日本人にとって高すぎるだけです。
ここで疑問が浮かびます:ニューヨークのラーメンが高すぎるのでしょうか。それとも、日本のラーメンが安すぎるのでしょうか。
豚骨を長時間炊き、麺を仕込み、注文ごとに具を盛りつけ、丁寧に接客して、それを1000円以下で提供する。日本では当たり前ですが、海外から見れば、かなり無理をした価格です。
海外の物価が異常なのではありません。日本だけが、長い間、値札も賃金も止まっていたのです。白丸元味は世界に通用していましたが、日本人の財布は、まだ世界価格に対応していなかったのです。







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