元ジャンポケ 斉藤慎二被告に懲役7年求刑は重すぎるのか

テレビ番組のロケバス内で共演女性に性的暴行を加えたとして、不同意性交等などの罪に問われている元「ジャングルポケット」の斉藤慎二被告(43)に対し、検察側は懲役7年を求刑しました。

斉藤被告は「女性も求めていると思った」と述べ、同意があると誤信していたとして無罪を主張しています。東京地裁の判決は11月16日に言い渡される予定であり、現時点で有罪が確定したわけではありません。

それにしても、被害者が成人女性1人の事件で懲役7年という求刑は、長すぎるのではないでしょうか。類似事件と比較すると、そうした疑問には一定の根拠があります。

元ジャンポケ・斉藤慎二被告

検察は「立場を利用した3回の犯行」と主張

斉藤被告は2024年7月、東京・新宿区に駐車していたロケバスの車内で、当時20代だった共演女性に性的な行為をしたとして、不同意性交等などの罪に問われています。

検察側は論告で、斉藤被告と女性が初対面であり、「性的な行為を許容するほど関係が成熟していなかったことは明らかだ」と指摘しました。そのうえで、斉藤被告が芸能人としての立場を利用し、3回にわたって犯行に及んだと主張しています。

斉藤被告は、女性から「トリオの中で斉藤さんが一番好きです」などと言われたため、自分に好意を持っていると思ったと説明しています。しかし検察側は、好意を示す発言と性的行為への同意は別問題であり、同意を誤信する合理的な事情はなかったとみているのでしょう。

検察側はさらに、「反省した態度を示していない」と指摘しました。斉藤被告は最後に女性へ謝罪しながらも、「当時、同意があったと思っていたことは理解してほしい」と無罪主張を維持しています。

法定刑から見れば異常な数字ではない

不同意性交等罪の法定刑は、5年以上の有期刑です。したがって懲役7年は、法定刑の下限に2年を加えた数字にすぎず、法律上は突出した求刑とはいえません。

また、2023年に施行された改正刑法(強制性交等罪が不同意性交等罪に)は、暴行や脅迫だけでなく、「経済的または社会的関係上の地位」による影響力のため、相手が不利益を恐れて拒絶の意思を表明できない場合も処罰対象として明記しました。

検察は今回、芸能界における知名度や出演者間の立場の差そのものを、犯行を可能にした重要な要素として評価しています。

ただし、法定刑の範囲内であることと、他の事件と比べて均衡が取れていることは別問題です。

新井浩文事件は求刑5年だった

比較対象として思い浮かぶのが、元俳優の新井浩文氏の事件です。

新井氏は2018年、自宅で派遣型マッサージ店の女性従業員に性的暴行を加えたとして、強制性交等罪に問われました。新井氏も「女性が同意していると誤信した」と無罪を主張しましたが、一審で懲役5年の実刑判決を受けました。

その後、被害女性に慰謝料300万円を支払って和解が成立したことなどが考慮され、控訴審では懲役4年に減刑され、判決が確定しました。

もちろん、斉藤被告の事件とは行為の態様や証拠、被害女性の受けた影響が異なります。単純に刑期だけを比較することはできません。

それでも、成人女性1人に対する事件であり、「同意があると思った」という主張が争点になった点は共通しています。新井事件の一審判決が5年だったことを考えると、斉藤被告への求刑7年は明らかに重い水準です。

被害者2人の榊英雄事件は懲役8年

一方、映画監督の榊英雄被告の事件では、俳優を目指す女性2人に対する別々の性的暴行について、検察側が懲役10年を求刑し、東京地裁は懲役8年を言い渡しました。

裁判所は、榊被告が監督と俳優という立場の差を悪用し、被害者らの性的自由を大きく侵害したと認定しました。

斉藤被告の求刑7年は、被害者2人、別々の機会に行われた榊事件の判決8年に近い数字です。この比較からも、検察が今回の事件をかなり悪質なものと位置付けていることが分かります。

ただし榊事件は、被害者が2人で、犯行も別々の時期に行われています。報道されている事実だけを見る限り、斉藤被告の事件を同程度に評価できるかには議論の余地があります。

「立場の差」をどこまで重く見るのか

懲役7年となった最大の背景は、検察が本件を単なる男女間の意思疎通の失敗とはみていないことです。

検察の構図は明確です。

斉藤被告と女性は初対面でした。女性の好意を示す発言は性的同意を意味しません。斉藤被告は芸能人としての立場を利用し、女性が仕事への不利益を恐れて拒否しにくい状況で、複数回の性的行為に及んだ――というものです。

この主張が全面的に認められるなら、法定刑の下限より重い7年を求めることにも一定の説明はつきます。

しかし、芸能人と共演者という関係だけで、直ちに強い支配関係が存在したと評価できるわけではありません。実際にどの程度の力関係があり、それが女性の意思形成や意思表示をどの程度困難にしたのかは、具体的な証拠に基づいて慎重に判断される必要があります。

「芸能界には力関係がある」という一般論を、そのまま個別事件の重い量刑に結び付けるべきではありません。

求刑としてはかなり重い

結論として、懲役7年は法定刑から見れば異常な数字ではありません。検察側が主張する3回の行為、立場の利用、被害の大きさ、示談不成立、反省不足などをすべて前提にすれば、求刑として理解できない数字でもありません。

一方で、類似事件と比較すれば、かなり強気な求刑であることも確かです。

新井浩文事件の一審判決は5年でした。被害者2人に対し監督としての立場を利用した榊英雄事件の判決が8年です。その間に位置する7年を、被害者1人の斉藤被告に求めたことには、「重すぎるのではないか」という疑問が残りますが、今までが「軽すぎた」とも言えます。

求刑はあくまで検察側の意見であり、裁判所は拘束されません。

裁判所が検察側の主張を全面的に認めて懲役7年を言い渡すのか、行為の回数や力関係の程度を考慮して刑を下げるのか、あるいは同意の誤信に合理的な疑いがあるとして無罪とするのか。11月16日の判決では、有罪・無罪だけでなく、性犯罪における「立場の差」を量刑にどこまで反映させるのかも注目されます。

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