「NISA貧乏」という言葉に騙されてはいけない

内藤 忍

最近、ネット上で「NISA貧乏」という言葉をよく目にするようになりました。NISAの毎月の上限枠までしっかり投資しようと無理をして節約して投資資金を捻出した結果、生活費を削りすぎて手元のキャッシュが足りない貧乏生活になってしまう。そんな状態を揶揄した言葉です。

NISAを使ってお金の投資をして「NISA貧乏」になるよりも自分自身のキャリアアップやスキルアップを目指して「自己投資」する。その方が将来にとってプラスという若いうちの投資を否定するような意見を持つインフルエンサーも少なくありません。

資産運用の仕事を長年続けている立場から言わせてもらうと、「NISA貧乏」というネーミングからNISAに対してネガティブで格好悪いイメージを持って「やっぱりNISAなんてやめておこう」「投資よりも自己投資すべきだ」と結論づけてしまうのは大きな間違いです。

確かに生活を限界以上まで切り詰めて、毎日の潤いをなくしてしまうほどの過剰な節約は本末転倒です。

だからといって若いうちに投資をしないリスクは、過剰な節約の何倍も恐ろしい結果を招いてしまうという現実は忘れてはいけません。

これからはインフレが続き、お金の価値が目減りしていく時代になります。預金だけで資産を守ることは不可能です。若いうちから資産運用の知識を蓄えてそれを実際に使ってみることは極めて重要です。お金の知識がなければ気が付かないうちに自分の資産を減らしてしまうことになりかねません。

また私は「自己投資」という言葉にも騙されてはいけないと思います。自己投資という言葉に酔っている「自己陶酔」になっていることが少なくないからです。

NISAで毎月積立するよりも、高額なセミナーやサロンに通ったり、資格を目指して勉強している人がいます。また海外旅行や高級レストランでの贅沢な体験によって自分を成長させられると思っている人もいたりします。

それらが本当に自己投資と言えるかどうかは、将来の収入アップやスキル向上につながっているかどうかによります。

資格の勉強であってもその資格を取得してプラスになるものでなければ自己投資ではなく単なるお勉強に過ぎません。例えば、ソムリエやインテリアコーディネーターの資格を取っても仕事に繋げられる人は極めて稀です。

お金の専門家と言われるファイナンシャルプランナーの資格を持っていても独立できる人は残念ながらほとんどいません。

つまり自己投資と言いながら実際にはただの消費や浪費を心地よい言葉で正当化しているケースが実に多いのです。

投資は時間をかければかけるほど成功の可能性が高くなり、資産も増える確率が高くなります。50代で投資を始めるのでは資産が増えるのに必要な時間が足りません。20代から無理のない範囲で続けることが将来の経済的な不安を解消する大切なポイントです。

やはり若いうちの投資の中心は「自己投資」ではなく「NISA投資」にすべきです。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月7日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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