NTTドコモの「赤チャリ」は公共交通では無い

内藤 忍

最寄り駅からの距離が遠く、期待されたBRTの運行頻度が思ったほど多くない晴海フラッグ。仕方なく多くの住人が利用しているのがバイクシェアです。

私は晴海フラッグではバイクシェアを利用した事はありませんが、NTTドコモが提供する通称「赤チャリ」の駐輪場が敷地内のあちこちに設置されています。平日の通勤時間帯になると、スーツを着た人たちが汗だくになってバイクを漕いでいるのを見かけます。

そんな通勤の足として広く使われているドコモのバイクシェアサービスですが、先月末からシステム障害によって利用できない状態が続いています。一部の都市ではサービスを再開したようですが、東京は相変わらず利用できない状態になっているようです。

利用者の不満は高まっていますが、鉄道やバスなどとはメディアの取り扱いがずいぶん違います。今回のシステムトラブルが全国紙で取り上げられたり地上波でニュースになって大々的に報道される事は今のところありません。

もし山手線や都営バスが同じようにシステム障害で全線運休したらどうでしょうか?社会的な大混乱が生じ、運営会社はメディアからの猛烈な批判に晒されるはずです。

鉄道やバスといった公共交通にはサービスを安定的に継続させなければならないという重い社会的責任が課せられています。

同じ移動手段の提供であっても、公共交通としての社会的責任が追及されることがないということは、バイクシェアは少なくとも現時点では一般的に公共交通としては認識されていないということを意味します。

現実問題として「陸の孤島」では赤チャリがラストワンマイルの移動手段としてすっかり生活に溶け込んでいるように見えます。

でもそれは公共交通という位置付けではなくあくまで単なる移動手段の1つである。そんな割り切りが必要だと言うことです。

今回のトラブルによって通勤客が都バスやBRTにシフトすれば混雑が一層激しくなります。そうなれば住民の不満から増便圧力が高まります。

バイクシェアのシステム障害の長期化は困った問題ですが、現状の貧弱な公共交通インフラの改善のきっかけになる。

そんな「災い転じて福となす」を密かに期待しています。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

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