席次で分かれた広島と長崎:台湾代表の欠席に思うこと

まず、81年前に広島と長崎で亡くなられたすべての方々に、心から哀悼の意を表します。ご遺族と、今も後障害に苦しまれている被爆者の皆さまにお見舞いを申し上げます。

そのうえで、今年の長崎の式典をめぐって残念なニュースが出ていますので、筆を執りたいと思います。

台北駐日経済文化代表処の李逸洋代表は、座席が「外交団エリア外」に配置されたことに抗議し、式典への出席を見送りました。

式典には駐福岡弁事処長が代理で出席しています。国会議員などを通じた申し入れがあったにもかかわらず、こうした結果になったことは残念です。 Yahoo!ニュース

burdem/iStock

多くの人が思い浮かべる疑問は、なぜ広島と長崎で対応が分かれたのかです。

李代表は6日の広島市の式典には出席しており、各国の大使たちと同様の扱いだったとしています。同じ被爆地の式典でも、待遇に明確な違いがあります。 Nikkei

長崎市側の言い分も、公平に見ておきます。

鈴木史朗市長は5月の会見で、日本と正式な外交関係がなく国連に代表部もない台湾は招請状の送付対象ではないとしつつ、参列の要望があれば「お断りする理由はない」と述べていました。

市の説明では、今年の着席場所は「海外席」のうち各国大使の後、国際機関と同列だったとされています。 Yahoo!ニュース

昨年はNGOエリアの席に案内され、台湾側が抗議声明を出していました。それと比べれば、位置づけは一歩前に進んではいます。 Focustaiwan

つまり長崎市は、外交関係の有無という形式基準を機械的に当てはめた、という整理なのだと思われます。

それでも、疑問は残ります。

広島市は同じ形式基準の下で、大使と同列の扱いを実現しています。ということは、これは「外交関係がないからできない」という話ではないはずです。

判断の余地があったのに、なぜその判断をしなかったのか。基準は何だったのか。

台湾は東日本大震災をはじめ、日本が困難に直面するたびに真っ先に手を差し伸べてくれたパートナーです。長崎の原爆でも台湾出身の犠牲者が出ています。

慰霊と平和祈念という式典の本旨に立ち返れば、席の線引きで友好関係に影を落とすのは、誰にとっても得のない話です。

長崎市および鈴木市長には、どのような判断基準だったのか、より丁寧な説明を求めたいと思います。

来年もまた8月は来ます。同じことを繰り返さないために、今年のうちに整理しておくべき論点ではないでしょうか。


編集部より:この記事は、前参議院議員・音喜多駿氏のブログ2026年8月9日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。

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