自民党ベテラン勢ですら行動を読み切れない高市首相、安定政権をどう模索するか?

夏休みやお盆休みを休みと考えるか、年末までの4か月強の為にエネルギーを蓄え、戦術を練る時と考えるか次第でその過ごし方はすっかり変わります。中国では秋の党運営に向けた人事中心の北戴河会議が非公開で行われていますが、日本でも政権運営の安定化に向けた下地作りは行われているのでしょう。多くの議員は地元に戻り、支援者の声を聞き、永田町という狭い村社会から支援者たちの意見を通じて立ち位置の調整をしたりします。

会見する高市首相 首相官邸HPより

一方、政権幹部、特に高市氏は外遊もせず、ひたすらその作戦を練っていることかと思います。特に目玉である食品消費税1%法案について自民党内で結束を改めてどう固め、国会をどう通すかは一つの大きな山場となります。また円安対策で財務省の介入だけではなく、アメリカ側の協力も得たわけですが、日本は為替相場をどうしたいのか、そしてそれは意図した方向に動くのかも注目材料です。

また高市氏は春先は外交に非常に熱心でしたが、ここにきて外遊もほとんどせず、内政に苦心している様子がうかがえます。「近づきすぎたトランプ氏と離れすぎた習近平氏」という関係の中で日本の外交の行方もこれまた迷路に入ったように感じます。高市政権は安定政権運営にどう立ち向かうのでしょうか?

安定政権のキーの1つは参議院であり、その対策として国民民主党を取り込む方針は1つの作戦でありました。ですが、玉木代表の発言からはその可能性は現時点はゼロに見えます。もちろん、政治家の発言をそのまま鵜呑みにしてはいけないのですが、私にはどうも高市氏の維新へのご贔屓ぶりが目に余るのであります。同じ関西故にウマが合うのでしょうか?

予定される内閣改造では維新の政権入りが取りざたされ、維新も今回はそれを受ける雰囲気があります。馬場元代表は内閣官房長官がいいね、という個人的意見を述べたようです。(実際にはそれはないと思います。)当初の組閣の際は維新は高市政権のお手並み拝見で閣外協力としたのですが、今回入閣すれば当然関係の深化と取られるでしょう。ただ、それは国民民主の嫉妬とも言えるのです。玉木氏はキャスティングボードを何らかの形で握りたいのに維新のしっぽについて行く形は「御免被る」なのでしょう。そこは女性首相を取り巻く男の世界の微妙な関係も無きにしも非ず、かもです。

自民党党内も消費税を巡る問題で割れました。①明白に反対を述べたグループ、②内心反対だが、穏便に済ませようとするグループ、③自らの立場だけを考え、強いものにつく政策レスのグループ、④心底高市氏に同意するグループの4つだろうと思います。その中で秋の内閣改造も控え、絶対に高市氏には寄り添わないグループは別として麻生氏、岸田氏、茂木氏あたりは非常に注意深く対応をしているように見えます。私にはfail safeの計算があるように見えます。つまり「うまく行くように足は引っ張らない」が、何か起きれば瓦解するリスクを回避できるようにしているように感じます。何故か、といえば首相とベテラン勢との会話があまりにも少ないため、ベテラン勢ですら高市氏の行動を読み切れていないように感じるからです。

そこで案外、片山氏が高市氏の心の支えになっている可能性はあります。個人的にはあの2人は考え方はかなり違うのではないかと思うのですが、そこは双方が大人の対応をしていて女性同士の通じ合い方を見ています。また片山氏が実務に長けた仕事人ですので為替問題を含め、表向きの対応は上手にこなしています。ただし、表向きと断ったのは為替の実態はそんなに甘くはないのであります。

為替に関しては一つだけ気になることがあります。それは三村財務官の「今回の協調介入はいわば日米通貨同盟の完成形だ」と発言した件。通貨同盟というのは捉え方次第ではどうにでも取れるのですが基本的にはユーロ通貨のような固い縛りで固定化するぐらいの意味合いです。ただ「完成形だ」と述べたのでそのようなタイトな関係構築目的ではないと思います。例えて言うなら将来的な米ドルと円のペッグ制導入は通貨同盟の方法論としてはあり得ますが、実務面を含め、それが起きることは99.9999%ないでしょう。ならば日米による口先介入とか資金に限度がある介入程度に留まり、円ドルの巨大な為替相場を政府が立ち向かうのは思想的にも物理的にも無理だろうと思います。

私も政治をみるのは嫌いではなく、長年、様々な政局を見て決まましたが、高市政権はかつてないパタンであり、読みづらさはあります。もちろん、政治も改革されていかねばならず、新たなる切り口を作った点では新味がありますが、自民党=安定感という観点から見るとやや不安を感じないわけでもない、というのが私の個人的感想であります。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2026年8月12日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。

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