2026年3月、沖縄県名護市辺野古沖で同志社国際高校の研修旅行中に船2隻が転覆し、高校2年の女子生徒と抗議船「不屈」の船長、金井創氏が死亡した事故をめぐり、新たな指摘がSNS上で浮上している。
同志社大学の小原克博学長が教授だった2020年ごろ、沖縄を訪れた小原ゼミの学生が、事故を起こしたのと同じ抗議船「不屈」に乗船していたのではないかというものだ。当時のものとされる写真などとともにこの情報が急速に拡散している。
ただし、現時点でこの乗船について同志社大学や小原氏が公式に説明した事実は確認できず、SNS上に示された写真の撮影時期や経緯を含め、詳細についてはなお確認が必要だ。

小原克博同志社大学学長(同学長動画チャンネルより)と同志社国際・西田喜久夫校長
6年前にも小原ゼミが辺野古へ?
指摘したXユーザーらによると、2020年2月に小原氏のゼミが沖縄を訪問し、当時のゼミ生の1人が「不屈」に乗船したという。投稿では学生の氏名も挙げられ、金井氏との交流を示すとされる過去の写真なども掲載されている。(Yahoo!検索)
一方、小原氏の公式サイトには、少なくとも2023年2月23~26日に小原ゼミが沖縄旅行を実施した記録が残されている。嘉数高台公園から普天間基地を見学するなど、基地問題に関連する場所も訪れていた。ただ、この2023年の旅行について、公開されているページから辺野古や「不屈」への乗船は確認できない。(小原克博 Online)
したがって、現段階で確認できるのは、小原氏がゼミで沖縄を訪れていたことと、「2020年にゼミ生が不屈に乗船した」とする具体的なSNS投稿が存在することまでである。
高校の「辺野古ボートコース」は2022年度に導入
今回の指摘が注目されるのは、「不屈」が今年3月の死亡事故で突然登場した船ではないためだ。
学校法人同志社が設置した特別調査委員会の報告書によると、同志社国際高校では2022年度から「辺野古ボートコース」が正式に導入された。生徒がボートに乗り、海上から辺野古沿岸部や埋め立て工事区域を見るプログラムだった。2023年度にも継続されている。
さらに報告書によると、「不屈」の船長だった人物は同志社国際高校にボートコースの導入を提案し、2022年度、2023年度、2025年度に実際に生徒を乗せた「不屈」または「平和丸」を操船していた。
3月16日の事故では生徒18人と乗組員3人の計21人が乗った「不屈」と「平和丸」が相次いで転覆。女子生徒と金井船長の2人が死亡した。当時、周辺には波浪注意報が出ていた。(NEWSjp)
文科省は「政治的活動を行う抗議船」と認定
事故後の調査では、安全管理だけではなく、教育内容そのものにも厳しい目が向けられた。
文部科学省は5月、同志社国際高校が「政治的活動のための抗議船」に生徒を乗せていたことや、船について生徒・保護者への十分な事前説明がなかったこと、安全指導や下見が不十分だったことなどを指摘。さらに、特定の立場とは異なる見解を十分に提示していなかったことなどを総合的に判断し、辺野古移設工事に関する学習について教育基本法14条2項に反するとする見解を示した。(衆議院)
7月31日に公表された特別調査委員会の報告書も、学校法人同志社について生徒に対する安全配慮義務違反の責任を免れないと判断している。(QAB 琉球朝日放送)
一方、同報告書の調査対象は、同志社国際高校の沖縄研修旅行の実施プロセスや学校法人の安全配慮義務などが中心で、小原氏の大学ゼミにおける過去の活動との関係は調査対象として明示されていない。
「高校だけの問題だったのか」が新たな焦点に
ここで重要なのは、SNS上の指摘が事実だった場合でも、小原氏のゼミ活動と同志社国際高校のボートコース導入に直接の因果関係があったとまでは言えないことである。
小原氏は2024年4月に同志社大学学長に就任しており、学校法人同志社では大学長として理事を務めている。(同志社女子高等学校)
しかし仮に、学長就任前の小原氏のゼミでも同じ「不屈」を教育活動に利用していたことが確認されれば、問題の見え方は変わる。同志社国際高校だけの独自企画だったのか、それとも同志社の教育関係者の間で、辺野古の抗議船をフィールドワークに利用することが以前から一定程度受け入れられていたのか、という新たな論点が生じるからだ。
第三者委員会は、高校の沖縄研修旅行について、前年度の内容を踏襲する運営が行われていたことも認定している。2025年度についても過去3年分の資料などを参考に旅程が立案され、ボートコースが基本的に前年度までの内容を踏襲する形で了承されていた。
今回浮上した6年前のゼミ活動との関係がどこまであるのかは分からない。だからこそ、小原氏や学校法人同志社には、2020年のゼミ旅行で「不屈」を利用した事実があるのか、誰が企画し、どのような教育目的と安全管理の下で実施したのかを説明することが求められそうだ。
17歳の生徒が命を落とした事故を、「一高校の安全管理ミス」だけで終わらせてよいのか。SNS上の新たな指摘を契機に、同志社全体における辺野古での教育活動と人的なつながりについても、事実に基づいた検証が必要になっている。








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