
朝、ヤフーニュースをみると、どこかの路線で鉄道人身事故が起き、列車の運休、乗客が足止めされているとの記事が流れている日が多い。夜のテレビ報道でも帰宅時間に人身事故が起き、駅で乗客が足止めされているとのニュースフラッシュがよく流れてくる。
電車で外出すれば、駅の電光掲示板に「〇〇線が人身事故で止まっています」とのお知らせによく出くわします。
その多くが自殺なのでしょう。鉄道会社、メディアは自殺の誘発を防ぐこともあって、「線路内に人が立ち入った影響で……」とか、ぼかした表現にしています。一般の報道では踏み込まない話なので、全体像をネット検索などを使って調べてみました。
金融資産もなく、正規雇用でない貧困層の拡大
その鉄道人身事故が以前より、かなり増えている気がします。その大きな理由は経済格差の拡大による貧困層の増加ではないか。個人金融資産は26年3月時点で2385兆円で過去最高となりました。株価その他の有価証券を持つ富裕層の資産はマネー市場を通じて働かずして増える。大企業の勤労者は賃上げにより、物価上昇分を取り戻せる。
金融資産もなく、正規雇用でないため賃上げの恩恵も受けず、ひたすら物価上昇、インフレに苦しむ貧困層は増えています。特に一人親世帯(主に母子家庭)の貧困率は44.7%で、2世帯に1世帯が該当します。単身者であれば、年収127万円未満が貧困層にあたります。
経済社会の歪みがここにある
消費税の減税も、こうした階層を対象にすればいいのに、高市政権は富裕層を含めた国民全体を対象に飲食料品減税(8%→1%)を決めました。所得格差の拡大に物価高が加わり、生活苦に追い込まれている層は多いでしょう。鉄道人身事故の多発は、そうした社会経済の歪みを反映しているに違いない。
最近の人身事故の事例をネット検索で調べてみました。8月12日だけで「JR山手線原宿駅、人身事故で全線運転見合わせ」、「JR中央線国分寺駅―西国分寺駅間で線路内に人が立ち入り、東京―高尾間の運転見合わせ」、「東武東上線の鶴瀬駅で男子中学生が電車にはねられ、上下54本が運休」です。
自殺報道に関するWHOのガイドライン
WHOの「自殺報道のガイドライン」というものがあります。「自殺の場所、方法を詳しく報道しない」、「自殺をセンセーショナルに扱わない」、「写真や映像を大きく扱わない」などです。
日本のメディアは厳しく守っているようで、自殺という言葉を避け「人身事故」、「線路内に立ち入り」などにしています。ですから「所得格差の拡大と物価高が重なり、鉄道自殺が目立つ」という記事が書けません。「鉄道会社は事故防止のために、駅でホームドアをつけ、防止柵を講じている」、「駅構内にSOS相談窓口のポスターを貼る努力をしている」などの記事をみかける程度です。
グーグル検索で「どこの路線に事故が多いか。上位5路線を知りたい」と聞くと、「①中央線②小田急線③東武東上線④京浜東北線⑤常磐線」との回答です。この種の情報は、WHOのガイドラインに沿ったメディアの報道自粛や、鉄道会社にとっても不名誉なので公表を控えるため、ネット検索で拾うことになります。
同じネット検索によると、「自殺、ホーム転落、線路内立ち入りは年間1000~1100件、その半数が自殺と推定。1件当たり1時間~1時間半の電車運休は年間数万本、影響を受けた乗客は年間で数千万人」でした。通勤できない、帰宅できないとなると、社会経済的な損害も大きいと言えましょう。
編集部より:この記事は中村仁氏のnote(2026年8月14日の記事)を転載させていただきました。オリジナルをお読みになりたい方は中村仁氏のnoteをご覧ください。







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