スタバは時間制限よりもダイナミックプライシング導入を

内藤 忍

自宅の近くにあるスターバックスコーヒーにほぼ毎日出かけていますが、困るのは週末です。朝から家族連れが大量に来店し、早い時間から満席になって座る場所がなくなってしまいます。また、パソコンを広げて長時間の作業をする利用者も少なくありません。

諦めて帰ろうにもモバイルオーダーで来店前に注文をしてしまっているので、注文をキャンセルすることもできず、店内で立ったまま空席が出るのを待つしかありません。

混雑問題に対処するため、スターバックスの一部の店舗では利用時間に90分制限を設けているのを見るようになりました。

新橋の駅前のお店では商品を受け取るときに、紙のカードを渡され90分を目安にご利用くださいとお願いされる方式になっています。

時間制限を設けることは、混雑を解消するシンプルな解決策のように思えます。

しかし、店舗側にとっては退店時間を管理し、声かけをするオペレーションの負担が増加します。スタッフと利用者のトラブルのリスクも高まります。

そもそも本来のカフェの価値とは単なるコーヒーという液体そのものだけではなく、空間や時間、心地よい雰囲気といった体験全体に対して支払われています。

一律に時間で縛ってしまうと顧客満足度の低下につながり、ブランド価値を毀損することにもつながりかねません。

私は時間制限による混雑緩和よりも、時間帯によって価格を変動させるダイナミックプライシングの導入こそが本質的な混雑緩和策になると考えます。

ホテルや航空券、テーマパークなどでは、需要が集中する時期や時間帯に価格を上げ、空いている時間に価格を下げるダイナミックプライシングが適用されています。車のコインパーキングでも、曜日や時間帯によって利用価格が変動するのが当たり前になっています。

それらと同じように、例えば週末に混雑する店舗であれば、通常料金に100円あるいは200円と言った追加料金を課すことで需要をコントロールできます。

追加料金に抵抗があるのなら、休日料金を定価にして平日は100円、あるいは200円割引というような料金表示にすれば同じことです。

さばき切れないほどの利用者が来店するという事は、価格設定が間違っていることの裏返しです。低価格で提供して椅子取りゲームのような状態になって利用者の間の不公平感が生じるより、価格に応じて利用したい人が選択できるようにする。これはお店にとっても収益面のメリットがあります。

需要と供給という経済学の基本的なアプローチを用いれば、顧客の利便性と店舗の収益性を両立させるモデルを作ることができます。

全店で一斉導入はリスクだと思いますので、いくつかの店舗で実験的に導入してみてはどうでしょうか。


編集部より:この記事は「内藤忍の公式ブログ」2026年8月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。

コメント投稿をご希望の方は、投稿者登録フォームより登録ください。

コメント