民主社会主義者オカシオ=コルテスは大統領になれるか:2008年民主党の賭け

2028年の米大統領選挙はまだ2年以上先だが、民主党ではすでに後継候補をめぐる動きが始まっている。カリフォルニア州知事のニューサム、元運輸長官のブティジェッジ、ジョージア州選出のオソフ上院議員など名前は多い。

その中で、最近になって急速に存在感を高めているのが、ニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員、通称AOCである。まだ36歳。民主社会主義者を自称する彼女が、人気投票でトップに立った。

ニューハンプシャーではAOCが首位

7月にニューハンプシャー大学が行った2028年民主党予備選の世論調査では、AOCが候補者の中で首位に立った。AOCの支持率は22%で、ブティジェッジの21%をわずかに上回った。大学側によれば、AOCはとくに「社会主義者」や「進歩派」を自認する有権者から強い支持を受けている。

全国調査ではまだトップではない。エマーソン大学が7月に行った調査では、ブティジェッジ19%、ニューサム17%に対し、AOCはオソフと並ぶ13%だった。それでも36歳の下院議員が、元副大統領のカマラ・ハリスらを上回っていることは無視できない。

AOC本人は出馬を表明していない。しかし、「大統領選に出ない」とも言っていない。最近は全米各地で民主党候補の応援に入り、事実上の全国ツアーともいえる活動を続けている。ロイターも、AOCをサンダースが築いた左派運動の「最も有力な後継者」と位置づけている。これは偶然とは思えない。

AOC最大の武器は「政治家に見えない」こと

AOCが2018年に初当選したとき、ほとんどの米国人は彼女の名前を知らなかった。当時28歳だった元バーテンダーのAOCは、ニューヨークの民主党予備選で、10期務めた党重鎮ジョー・クロウリーを破った。巨大な組織も資金もない新人が民主党の実力者を倒した事件は、民主党版「トランプ現象」ともいえるものだった。

彼女の最大の強みは政策そのものより、コミュニケーション能力にある。インスタグラムだけでも約1000万人のフォロワーを持ち、長い政策文書を読まない若者にも政治を伝える能力では、現在の民主党政治家の中で突出している。

民主党には有能な知事や上院議員は多い。しかしニューサムやブティジェッジを見て、「この人に自分の人生を変えてほしい」と熱狂する若者がどれほどいるだろうか。AOCにはそれがある。その点では、政策的には正反対ながら、彼女はトランプに似ている。

ところがAOCが突然「中道化」し始めた

もっと興味深いのは最近のAOCの変化だ。かつて彼女は警察予算削減を強く主張し、国境の不法越境を非犯罪化する法案にも加わった。刑務所制度の廃止に言及したこともある。

これらは民主党左派では支持されたが、大統領選の一般有権者、特に中間層を相手にするとき弱点になる。ところが最近のABCテレビのインタビューで、2020年前後の過激なwoke文化について、AOCは「Woke 1はクレージーだった」とまで語った。

さらに、警察や刑務所の廃止、国防総省予算の廃止、すべての不法移民への恩赦といった民主社会主義者の一部の主張には賛成しないと明言している。Axiosはこれを、将来の大統領選を意識した「文化的中道への転換」と分析している。

これが単なる信念の変更なのか、それとも2028年に向けた戦略なのかはわからない。しかし政治家としては合理的だ。予備選では左から票を取り、本選では中央へ移動する。これは米大統領選の古典的な戦略である。

「民主社会主義者」が全米で勝てるか

ただしAOCが民主党候補になれることと、大統領になれることはまったく別問題だ。最大の壁はdemocratic socialistという肩書である。

民主党予備選では、富裕層増税、国民皆保険、大学授業料負担の軽減といった政策は人気を得られる。しかし共和党はAOCが候補になった瞬間、「社会主義者がホワイトハウスを奪おうとしている」という巨大なキャンペーンを展開するだろう。

そしてもう一つの問題が黒人有権者である。民主党左派は若者や高学歴の白人には強いが、南部の黒人有権者には必ずしも強くない。民主党の大統領候補指名を勝ち抜くには、この層を無視できない。

民主党関係者からも、AOCの過去の文化左派的な発言は、社会的にはより穏健な黒人有権者にとって障害になるとの指摘が出ている。ここを突破できるかが最大の試験になる。

民主党にとっては最大の賭け

民主党には二つの道がある。一つはニューサムやブティジェッジ、ジョシュ・シャピロのような比較的「安全」に見える候補を選ぶことだ。もう一つは、AOCという政治的爆発物に賭けることである。

後者は危険だ。共和党にとってAOCほど攻撃しやすい民主党候補はいない。しかし同時に、民主党には2016年のヒラリー・クリントンや2024年のカマラ・ハリスのような「無難な候補」で負けた記憶もある。

トランプが2016年に共和党候補になると予想した専門家はほとんどいなかった。彼が出馬した当初の共和党内支持率は約1%にすぎなかった。米国政治では、ときどき「最も大統領らしくない人物」が大統領になる。

36歳の元バーテンダーで民主社会主義者の女性が、アメリカ大統領に就任する。今は荒唐無稽に聞こえるが、トランプ時代のアメリカを見てきた者なら「そんなことは絶対に起きない」とは断言できないだろう。

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