カルビーが原材料不足への対応として導入した「白黒パッケージ」のポテトチップスが苦戦している。登場直後は大きな話題となり、一時は「最大の勝者はカルビー」とまで評価されたが、販売金額はその後4週連続で減少した。
ただし、販売不振をパッケージの色だけで説明するのは早計だ。近年は値上げや内容量の削減も続いており、「高い」「少ない」という不満に「おいしそうに見えない」が重なった可能性がある。

話題となった白黒のカルビーポテトチップス
ナフサ不足で異例の「白黒ポテチ」
カルビーは5月、中東情勢を背景とする印刷原材料不足への対応として、ポテトチップスなど計14品目を白黒中心のパッケージに切り替えた。
商品の供給を維持しながらインクなどを節約する緊急措置だったが、消費者からは「商品が見つけにくい」「どの味かわからない」といった不満が出た。SNSでは「ポテチの葬式」「食欲がうせる」といった声も上がった。
一時は「最大の勝者」と絶賛された
一方で、白黒化は当初、巧みなマーケティングとしても評価された。
ダイヤモンド・オンラインは「『ポテチの葬式』『食欲うせる』批判も白黒パッケージ〈最大の勝者〉はカルビーと言い切れるワケ」と題する記事を掲載。危機を巨大な話題に変えたとして、カルビーを高く評価した。

実際、日経POSによると、「ポテトチップスうすしお」の1000人当たり販売金額は、白黒パッケージが注目された6月第4週に前週比45%増となった。
ところが、その後は4週連続で減少した。珍しさによる購買効果は長続きしなかったようだ。
「90g100円」から「55g158円」へ
背景には、ポテトチップスそのものを取り巻く厳しい環境もある。現代ビジネスは、カルビーのポテトチップスが1975年の発売当初は90gで100円だったのに対し、現在は55gで想定価格158円になったと紹介している。
約半世紀前との単純比較はできないものの、近年は原材料費、物流費、エネルギー費などの上昇を受け、値上げと内容量の変更が続いている。
カルビーの2026年3月期は売上高が増えた一方、営業利益は減少した。値上げや減量は、利益を増やすというより、収益を守るための防衛策という側面が強い。
「高い・少ない」に「おいしそうに見えない」
しかし、企業側の財務上の合理性と消費者心理は別問題だ。消費者から見れば、価格は上がり、中身は減る。そのうえパッケージまで白黒になれば、「高い」「少ない」に「おいしそうに見えない」が加わる。
食品の包装では、色や商品の写真が購買行動に大きく影響する。消費者は売り場で商品説明を細かく読むのではなく、「いつもの色」などを手掛かりに瞬間的に商品を選んでいる。白黒化は商品の識別性だけでなく、「おいしそう」という印象まで弱めてしまった。
バズと購買は別物だった
カルビーは7月、原材料の調達にめどが立ったとして、一部商品の表面をカラー印刷に戻すことを決めた。白黒化は供給を維持するための合理的な非常措置であり、短期的には販売増と大きな宣伝効果も生んだ。
しかし、その後の販売減は「話題になること」と「継続して買われること」が別物であることを示している。値上げ、減量、そして白黒化。「最大の勝者」とまで持て囃された白黒ポテチの失速は、バズだけでは超えられない壁と、インフレ下の食品メーカーが直面する苦しい現実を映し出している。







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