
9%も違うとさすがに影響は大きそう
ホントに、2027年4月から、飲食料品(酒類を除く)の消費税率が2年間だけ1%になりそうです。
消費税導入から38年、初めての消費税率の引き下げです。
個人的には、ガソリンの補助金などで抑え込んでいても、インフレと円安による物価高で国民が苦しむ中での減税は、火に油を注ぐもので、さらなる物価高を引き起こすようにしか思えない。
それでも、国民の大半がこの消費税減税を歓迎しているのですから、まあ、それは受け入れるしかないでしょう。
とはいえ、飲食料品だけが軽減税率が適用されれば、その周辺の商材とは消費税率が異なり、その区分が求められます。
それは、軽減税率8%が導入された時からのことであり、思ったほど混乱はないようにも思えますが、それは税率の差が2%の時の話ですから。
これが、飲食料品の消費税が1%となれば、その周辺の商品との税率差は9%もあります。
そうなると、多くの人はさすがにその税率差を意識した行動を取るはずであり、その分、現場での混乱が生じることが予想されます。
そこで、今回は、一見軽減税率の対象でありそうなのに、実はそうではないというややこしい事例について、整理をしてみようと思います。
軽減税率の対象となる飲食料品の範囲をもう一度整理
2019年に軽減税率が初めて導入された際に国税庁が出した「消費税の軽減税率制度に関するQ&A」によると、同じような飲食料品であっても、消費税率に大きな違いが生じることがわかります。
氷は、ロックアイスか、保冷用か
かき氷の材料やロックアイスは、飲食料品なので消費税率は1%。
でも、保冷用の氷は、飲食料品ではないので消費税率は10%になります。
みりんは、本みりんか、みりん風調味料か
みりんはどう考えても飲食料品でしょう。しかし、そこからは酒類は除かれます。実は、「本みりん」はアルコール度数が1%以上なので、酒類とされ、消費税の税率は10%です。
しかし、アルコール度数が1%未満である「みりん風調味料」であれば、飲食料品なので、消費税率は1%になるのです。
栄養ドリンクは、清涼飲料水か、医薬部外品か
栄養ドリンクも飲食料品にしか見えません。しかし、医薬部外品は、消費税の軽減税率の対象ではなく、税率は10%です。
具体的な商品名でいうと、アリナミンVやリポビタンDは「医薬部外品」なので10%。オロナミンCやレッドブルは「清涼飲料水」なので1%ということです。
カタログギフトは飲食料品でも10%
カタログの中から好きな商品を選べるカタログギフト。
この選択した商品の中に、飲食料品があり、自宅に配送がされたとしても、「商品を手配するサービス」なので、消費税率は10%です。
外食産業は、今後もテイクアウト中心に?
「外食は原則税率、テイクアウトは軽減税率」
これは、軽減税率導入時からのことですが、両者の差は2%であったものが9%にもなります。
そうなると、テイクアウトしたものやスーパーの惣菜を買ってきて、家で飲むというスタイルが、今よりも流行ることはまず間違いないでしょう。
飲食店は、一緒に飲んでくれるお酒で儲けているお店が多いのですから、仮に多少食材の価格が下がったとしても、売上減少のダメージは相当大きそうです。
その上、それだけ税率が異なれば、店での飲食なのか、テイクアウトなのかという線引でも揉めそうです。
キッチンカーは、テーブルを自分で設置するかどうか
屋台やキッチンカーでの販売については、基本的には、テイクアウトとして、消費税率は1%です。
しかし、自分でお客様のために、テーブルやイスを設置していたら外食扱いで10%になります。
ただし、公園のベンチは公園側が設置したもので、お客さんが勝手にそこで食べているのであれば、消費税率は1%となります。
スーパーやショッピングモールの休憩所で食べるのか、駐車場で勝手に食べるのか
コンビニについても、イートインコーナーがあり、そこでの飲食と持ち帰り時では税率が異なります。
その区別がレジの混乱を生むとして、多くのコンビニでイートインコーナは廃止され、店内飲食禁止の店が増えた。
おかげで、忙しい人が、コンビニで買った飲食料品を駐車場の自分の車の中で食べる姿をよく見るようになりました。
スーパーやショッピングモールも同じです。スーパーが設置した椅子やテーブルでの飲食は、外食扱いでの10%となるのです。
とはいえ、その意思の確認はレジでは求めないでよいとQ&Aでも明記されており、税務署も本気で10%の課税をしようとは思っていないようです。
フードコートは店内飲食か、持ち帰りか
フードコートはさらに厄介です。フードコートスペースでの飲食は外食扱いで10%、持ち帰るといえば飲食料品扱いで1%となります。
これまでも「テイクアウトで」と言いながらそのままフードコートスペースで飲食をする人はいたと思います。
それが、税率が9%も異なるとなれば、持ち帰り可能なものは、「テイクアウトで」と言いながらそのままフードコートスベースで飲食という人が増えるでしょうが、まあ、店も黙認するでしょう。
飲食店での食べきれなかった分の持ち帰りか、テイクアウトとしての注文か
飲食店で注文をしたが食べきれなかった分を持ち帰り用のパックに詰めてもらったとしても、その分は、既に外食分として、10%の消費税がかかっています。
しかし、テイクアウト用として、飲食時に追加注文をした分については、消費税は1%となります。
2%の差ならさすがにないかもしれませんが、9%も差があれば、「テイクアウト用に」と注文した商品をそのまま座席で食べ始める人が出てくるなんてこともあるかもしれません。
ケータリングなのか、出前なのか
飲食料品を自宅やオフィスに運んでくれる、出前やデリバリーサービス。
こちらは、デリバリーの利用料金については、消費税は10%ですが、配達される飲食料品の代金そのものは消費税は1%です。
ただし、配達してきた飲食料品を並べたり、取り分けなどを行うケータリングの場合、サービスの提供として、消費税は10%となります。
ここに記載したのはあくまでも一例です。Q&Aを見ると、軽減税率というものが、なんともバカバカしい制度であることがよくわかります。
これまで、消費税の税率アップのたびに、時の政権は窮地に陥っており、2年後に消費税率を元に戻すのは政治的にはほぼ不可能でしょう。
そうなると、延期を繰り返したうえで、1%ずつ戻すなどという税理士や経理担当にとっては悪夢のようなことが今から容易に想像できます。
人気取りのために税率を引き下げるなんて誰だってできること。その責任まできちんと取っていただきたいものですね。

編集部より:この記事は、税理士の吉澤大氏のブログ「あなたのファイナンス用心棒」(2026年8月18日エントリー)より転載させていただきました







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