出口理佐です。
先週末から、音楽祭を聴きに、スイス・ルツェルンに3泊しました。

8月15日のルツェルン音楽祭、バイオリニスト、ハーデリヒのカーテンコール。
泊まったホテル ピックウィック アンド パブ ビュー ウィズ ザ ルームは街の中心、カペル橋にも近くて便利、スイスにしては格安なのですが、朝食はありません。1階はパブで、キッチンが開くのは昼から。「朝食はほかで探してください」という、なんとも潔い方針です。

ルツェルンの観光名所、カペル橋とピラトゥス山が、今回の格安ホテルの部屋からも見えました。
そこで初日の朝、すぐ隣にある、ホテル デ アルぺのレストランへ行きました。

朝食のRosti(ロシュティ)が美味しい、ホテルDES ALPESの1階レストラン。
実はこのホテルには昨年泊まっています。その時も朝食を食べましたが、屋内の席でした。今年初めてテラス席に座ってみると、目の前にはロイス川とカペル橋、その向こうにはピラトゥス山。こんなに気持ちのよい朝食の場所だったのかと、改めて気づきました。

初日のRostiと目玉焼き、カリカリベーコンとガラスの器にピクルス。
注文したのは、Rösti(ロシュティ)に目玉焼きとベーコンを添えた一皿です。
Röstiは、じゃがいもを粗く削り、ハッシュドポテトのように丸く焼いたスイスの郷土料理です。外側には香ばしくカリカリに焼けた部分がある一方、内側はしっとりと柔らか。作り置きしたものを温め直した感じではなく、今、厨房で焼き上げたばかりのような素朴なおいしさがあります。
そこに半熟の目玉焼きの黄身を崩して絡め、ベーコンと一緒に食べます。

目玉焼きをカットして、Rostiに黄身を流したところ。
黄身がソースとなって、Rostiと一体化すると更に美味しい!
すっかり気に入って、給仕してくれた女性スタッフに、
「I like this hash potato!」
と伝えました。この時の私は、まだこの料理の名前を知りませんでしたが、その後、これがスイスの郷土料理、Röstiだと知りました。

2日目は雷を伴う雨。雷の音が大きすぎて、びっくり。
テーブルからお皿を落としそうになりました。
翌朝も同じレストランへ行きました。ところが、この日は朝からザーザー降りの雨。雷まで鳴っています。もちろんテラスには座れず、窓の外の雨を眺めながら屋内の席につきました。

二日目、エッグベネディクトとオランデーズソース、すぐ下には、ほうれん草炒め、そしてその下に、よく見えませんが、お目当てのRosti。
メニューを見ると、エッグベネディクトにRöstiが添えられているのを見つけました。昨日とは違う卵料理も食べてみたい。でも、Röstiは今日も食べたい。それなら、これしかありません。こうして2日目、Röstiの上にのったエッグベネディクトを選びました。
そして3日目。ルツェルンを発つ日の朝、私はまた同じレストランへ向かいました。
雨は上がり、再びテラス席へ。カペル橋の向こうには、雲をまとったピラトゥス山も見えます。最後の朝は迷わず、初日に食べたRöstiと目玉焼き、ベーコンをもう一度注文しました。

三日目のRostiと目玉焼き。ベーコンは少し柔らか目。ベーコンは、こちらの焼き加減のほうが、好みです。
旅先では、せっかくなのだから毎日違うものを食べてみたいと思います。それなのに、ルツェルンでは3日続けてRöstiを食べました。最初の日は偶然でした。でも2日目からは、Röstiを食べたくてこの店に。
会計のあと、初日にも給仕してくれた女性スタッフに、今度はちゃんと名前を覚えて、
「This Rösti is excellent!」
と伝えました。
すると彼女は私の顔を見ながら、「昨日も来ていました?」と聞かれました。初日に「I like this hash potato!」と言ったことが、少し印象に残っていたのかもしれません。
「Yes」と答えました。
確かに昨日も来ていました。ただし、昨日は彼女はいなかったのですが。
たった3泊でも、同じ店に毎朝通っていると、少しだけ「いつもの店」のような気分になります。そもそもの始まりは、泊まったホテルが朝食を出してくれなかったことでした。
晴れた朝、ザーザー降りの朝、そしてルツェルンを発つ朝。毎朝そこにはRösti。
旅の思い出は、名所やコンサートだけではありません。
「あの街では、毎朝あれを食べたな」
そんな小さな記憶が、あとになって意外なほど鮮明に蘇ることがあります。

火曜日の朝、ホテル前のロイス川沿いの道は野菜の市場が立ちます。
色とりどりの野菜を見ているだけでも楽しいです。
来年は別のホテルに泊まったとしても、朝食にはまたここまでRöstiを食べに来るような気がしています。

ルツェルン、カペル橋。
bloodua/iStock







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