2026年産米の価格が大幅に下落している。JA全農にいがたが18日に決めた一般コシヒカリの集荷価格は、玄米60kgあたり1万8500円。前年から4割安となり、業界団体が示す生産コスト2万535円も下回った。
最大の要因は記録的なコメ余りだ。農林水産省によると、2026年6月末の民間在庫は243万トン。2026年産の主食用米も732万トンが見込まれ、需要見通しの上限711万トンを上回る。豊作が重なれば、2027年6月末の在庫は最大281万トンまで膨らむ可能性がある。

鈴木憲和農水相Xより
新潟のコシヒカリが一気に4割安
値下がりは新潟だけではない。早場米でも鹿児島県は前年比2割安、宮崎県は4割安となった。最大産地でプライスリーダーの新潟が4割安となったことで、東北などでも大幅な下落が広がる可能性がある。
店頭では、新潟県産コシヒカリが精米5kgで3000円台前半になるとの見方もある。昨秋の5000円前後から2000円近く下がる計算だ。
消費者には朗報だが、農家には深刻である。肥料や農業資材が値上がりするなか、集荷価格はすでに生産コストを割っている。離農が加速する懸念もある。
記録的なコメ余りは豊作だけが原因ではない
今回のコメ余りを単なる「作りすぎ」と見ることはできない。2024年から2025年にかけての異常な価格高騰によって、消費者の「コメ離れ」が進んだからだ。
5kg5000円前後まで上がれば、消費者が購入量を減らし、パンや麺類に切り替えるのは当然である。外食や中食でも外国産米への切り替えが進んだ。
その結果、高値の2025年産米が流通段階に滞留した。そこへ政府備蓄米の大量放出と2026年産の増産が重なり、在庫が一気に膨らんだ。
農水省・農協・卸が高値を増幅
農水省は「令和のコメ騒動」で需給の把握が後手に回り、備蓄米の放出も遅れた。不足への不安が強まるなか、農協や民間集荷業者はコメを確保するため買い取り価格を引き上げ、卸も高値で仕入れた。
農家に高く支払うこと自体が問題なのではない。しかし、その価格が卸、小売を通じて消費者に転嫁され、コメ離れを招く水準まで上昇したことは重大だ。
高値で需要を減らしておきながら、今度は在庫過剰で新米価格が暴落する。農水省、農協、卸がそれぞれの段階で価格高騰を増幅した結果、需給の振れ幅をさらに大きくした面は否定できない。
高値のツケが農家に回る
昨年は消費者が高すぎるコメに苦しみ、今年は農家がコスト割れに苦しむ。卸も高値で仕入れた2025年産米を抱えたまま、安い新米との競争を迫られている。
「コメ不足」からわずか1年で「記録的なコメ余り」に転じたのは、豊作だけが原因ではない。コメを高くしすぎて消費者を逃がしたことが、現在の供給過剰を深刻にしている。
高値で需要を壊し、その直後に農家がコスト割れする。この極端な価格変動は、日本のコメ政策と流通システムの機能不全を象徴している。







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