高市首相の意味不明な長文Xは何を言いたいのか

高市早苗首相が8月21日、自身のXに約1200字に及ぶ長文を投稿した。テーマは、これまで国会でも追及されてきた「中傷動画」と暗号資産「サナエトークン」をめぐる疑惑である。

だが投稿はマーガレット・サッチャー元英首相の言葉から始まり、『論語』へ飛び、そこから週刊誌報道への反論に移る。読んでも「結局、何を言いたいのか」が非常に分かりにくい。

サッチャーから『論語』、そして週刊誌へ

投稿の冒頭で高市首相は、サッチャーの「好かれることを目的にしたら、取るべき決断が取れなくなる」という言葉を引用した。これは政治家は人気取りではなく、必要な政策を実行すべきだという意味だろう。

ところが、直後に今度は『論語』の「民、信無くんば立たず」を持ち出す。「国民の信頼が無ければ、国や政治は成り立ちません」と説明し、そこから突然、週刊誌が報じた「中傷動画」「サナエトークン」の話へ移る。

一見すると支離滅裂だが、好意的に翻訳すれば「政策で嫌われることは構わない。しかし疑惑によって信用を失うのは困る。だからもう一度説明しておきたい」ということだろうか。

「やっていないことを証明しろ」が問題なのか

高市首相は今回、「やっていない事を証明しろと求められた」と国会での追及を振り返った。確かに「中傷動画の作成を依頼していないことを証明せよ」と言われれば、典型的な「悪魔の証明」になりかねない。

しかし、国会で問われていたのはそれだけではない。高市事務所の公設第一秘書は、中傷動画の作成に関与したと報じられた人物とオンライン会議を行ったこと自体は認めている。秘書が7月に提出した陳述書でも、総裁選のころにオンライン会議をしたことを認めながら、動画作成を依頼したことはないと説明している。

つまり問われているのは単純な「やった、やっていない」だけではない。「事務所と相手側には、具体的にどのような接触があり、何が話し合われたのか」も重要な論点なのである。

「サナエトークン」でも残る疑問

サナエトークンについても同じ構図がある。高市首相は「3月2日までその言葉を聞いたこともない」「暗号資産として発行され、取引されることを承認したこともない」と繰り返している。これは今回のXでも改めて強調された。

一方、公設第一秘書は昨年12月、サナエトークンの発行に関わったとされる企業とオンライン会議を行っている。そこで「アプリ内でポイントを付与するアイデア」が紹介された記憶があることも認めている。ただし、それを暗号資産だとは認識していなかったという説明だ。

この2つは必ずしも矛盾しない。「ポイントの話は聞いたが、それがサナエトークンという暗号資産になるとは知らなかった」ということは理屈の上ではあり得る。

しかし、それならなおさら、「サナエトークンを知らなかった」という結論だけを繰り返すのではなく、事務所と事業者がどこまで話をし、高市氏はどこから先を知らなかったのかを説明すべきだ。

いまだに事実関係は不明

結局、今回の投稿を一言で翻訳するとこうなる。

「政策で嫌われることは恐れない。しかし疑惑のために国民から信用されなくなるのは困るので、私の説明をもう一度読んでほしい」

しかし政治家への信頼は、「私はやっていない」「私は知らなかった」と何度繰り返しても生まれるものではない。第三者から見ても確認できる事実を積み上げ、疑問点に一つずつ答えることで生まれるものだ。

今回の投稿では、約1200字を費やして従来の主張を改めて説明したが、事務所と関係者の接点について新しい事実が示されたわけではない。高市首相が本当に説明すべきなのは政治家としての「矜持」ではなく、何が起きたのかという事実関係である。

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