生成AIを使って他人の記事を要約し、それを自分の記事として公開する。こうした発信のあり方をめぐり、プログラマーの中島聡氏のnote記事が議論を呼んでいる。
問題となったのは、中島氏がnoteに投稿した、キオクシアの光SSD技術を紹介する記事だった。
元記事は専門家による技術解説
中島氏の記事の元になったのは、元キオクシアの社員であり「もふもふ不動産」として情報発信しているもふ社長による解説記事だった。
【参照リンク】キオクシアの光SSDとは?PCIeをそのまま光に変える技術のすごさを元キオクシア研究開発者がわかりやすく解説 もふもふ不動産
もふ社長はソニーや東芝メモリ(現キオクシア)で半導体の研究開発に携わった経験があり、その専門知識をもとに光SSD技術やデータセンターへの影響を解説していた。
中島氏の記事には元記事へのリンクは貼られていたものの、著者名が明確に示されていないように見える点が問題視された。また、記事の大半が元記事をAIで要約した内容で、中島氏自身の見解については有料メルマガ「週刊 Life is beautiful」へ誘導する構成になっていた。
もふ社長は、元記事へのリンクだけで著者名が分かりにくいこと、要約部分と中島氏自身の文章の区別が曖昧なこと、独自のコメントが有料メルマガ側に置かれていることなどを問題点として指摘した。
さらに、中島氏が同様の方法で多数のnote記事を投稿していたことから、「AIを使って他人の記事を大量に要約しているのではないか」という批判も広がった。
批判を受け記事を削除
こうした指摘を受け、中島氏は問題となったnote記事を削除した。
その後、中島氏は「紹介記事を書くことは著作権違反なのか?」という趣旨の記事を投稿し、自身の考えを説明した。
【参照リンク】紹介記事を書くことは著作権違反なのか? 中島聡 note
中島氏の主張は、記事の「表現」には著作権があるが、記事に書かれた「情報そのもの」には著作権はないというものだ。他人の記事から得た情報を、自分の言葉で紹介すること自体は違法ではないという立場を示した。
そのうえで、元記事へのリンクを付けて紹介する現在のスタイルについては、今後も基本的に変えない考えを示している。
「リンクを貼ればいい」のか
確かに、ニュースや技術情報といった事実そのものを誰かが独占することはできない。他人の記事を参考にして、自分なりに解説や論評を加えることも一般的に行われている。
一方で、今回の問題は「情報に著作権があるか」という一点だけではない。
著作物を引用する場合には、引用部分と自分の文章が明確に区別され、出典を示し、自分の文章が主で引用が従となっていることなどが重要になる。
AIを使えば、元記事の内容を短時間で要約できる。その結果、元記事を読まなくても内容がほぼ分かる記事を大量につくることも可能だ。
しかも、無料部分では他人の記事を要約し、自分独自の見解は有料メルマガに置くのであれば、「他人がつくったコンテンツを集客に利用している」と批判されても不思議ではない。
AI時代ほど出典を明確に
今回の騒動で最も問題だったのは、AIを使ったことそのものさることながら、中島氏の対応の稚拙さだろう。元記事の著者名を分かりやすく示さず、AIによる要約を中心に記事を構成し、批判を受けると削除。その後も「情報そのものに著作権はない」とかなり無理な正当化をした。
しかし、問われていたのは著作権法の条文だけではなく、他人の専門知識や労力を利用して発信する際の作法である。著名な発信者であればなおさら、出典を明確にし、元の著者への敬意を示すべきだった。
今回の一連の対応は、AI時代の情報発信をめぐる引用の線引きの難しさ以上に、中島氏自身の危機管理と発信姿勢の稚拙さを印象づける結果となってしまった。













コメント