AIやSNS時代こそ「コミュ力」が必要になる理由

黒坂岳央です。

「AIが発達すれば、人間同士のコミュニケーションは必要なくなる」「SNSが普及したのだから、対面で話すのが苦手でも問題ない」と考える人は少なくない。しかし、筆者はむしろ逆だと思っている。

AIやSNSが普及したからこそ、コミュニケーション能力の重要性は上がる、と考えている。

無理に逆張りで言っているのではなく、本当にそうなる力学が存在する。8月21日のAbema Prime「#アベプラ ②”コミュ障”と思いこまないで…社交不安症の苦悩」に出演してこの件について持論を述べた。

番組では伝えきれなかったことを書きたい。

そもそも「コミュ力」とは何なのか

ここで、コミュ力という言葉の定義を考えたい。筆者は職場におけるコミュ力を、「仕事の共通語」だと考えている。

家族なら、「これやっといて」で通じる。友達ならタメ口でもいい。だが仕事では、初対面の人、年齢の違う人、立場の違う人と一緒に仕事をする。そのとき、誰が聞いても同じ意味になるように伝える必要がある。そこで必要になるのがコミュ力だと思うのだ。

仕事の共通語は慣れればむしろ、雑談より簡単で筆者はビジネスで仕事の話をするのはそこまで苦手ではない。だが、まったく初対面で雑談を振られるとうまく話せない。前者はルールや手順が明確で、後者はルールがないからだ。

「コミュ力」は誤解されている

世の中の人は「コミュ力」を誤解している。

多くの人がいう「コミュ力」とは、飲み会で場を盛り上げたり、初対面の人とすぐ仲良くなったりする能力のことだが、社会人に求められているのはそんな「ノリの良い学生」のようなトークではない。もっと地味で、もっと実務的な能力だ。

そしてコミュ力は「よくしゃべる能力」ではない。むしろ、自分の話ばかりする人は、仕事ではコストが高い。いや日常生活の雑談もそうだ。なぜなら相手の時間を奪うだけで、必要な情報が増えないからだ。逆に、無口でも報告がきっちり来る人は、「物静かだけど無駄がない」と評価される。

相手に正確に情報を伝え、相手の話を正しく理解する。必要なことを報告し、認識をすり合わせる。最も簡単な事例が「報・連・相」だ。これは職場における敬語のようなもので、場数とスキルで誰にでも再現性高く身につく。

「自分は能力がないので敬語が身につかない」などと悩む人がいないのと同じく、仕事場で必要なコミュ力は誰でも身に着けられるし、なんなら外国人だって上手にやっている。まずは認識を改めることがファーストステップなのだ。

AI時代ほどコミュ力が必要

AIを使えば、文章も画像もプログラムも、以前より簡単に作れるようになった。これは非常に大きな変化だ。だが、全員が同じようなAIを使えるようになれば、当然ながら「AIを使う」だけでは差別化しにくくなる。

では、どこで差がつくのか。それは「なぜここを直したのか」「この案や資料を営業で出すべき理由」を相手に説明し、承認を取るところだ。この相手に根拠を説明し、説得する部分は人間の仕事である。

むしろ、ここを否定するならコミュ力云々以前にその仕事はAIエージェントすべて置き換えるだろう。だが、対人コミュニケーションを通じた信頼構築や情報伝達の合理性が担保できるコミュ力があれば、そのフロンティは守ることができる。

だから筆者は、AI時代にはコミュ力の価値がむしろ上がると考えているし、むしろそればできないと生き残りは難しいと考える。

SNS時代だからこそテキストコミュ力が必須

「SNSがあるのだから、対面で話せなくてもいい」という意見もある。だが、筆者はこれも逆だと考える。

SNSでは、相手の表情も声色も、その場の空気も見えないため、文章だけで自分の意図を伝えなければならない。SNSだからといってタメ口で話しかけたり、「困っているのですぐ助けて。もちろん、無料で」みたいなテイカーな姿勢全開でアプローチすれば、通るお願いも通らなくなる。

これが対面なら「根はいい人で言葉遣いを知らないだけ」と寛大に解釈される余地があるが、テキストコミュニケーションはそれが見えないので文字通り、「言葉だけ」ですべてを評価される。テキストコミュニケーションこそ、コミュ力が必要だ。

「合う場所を選べばいい」でもコミュ力は必要

「コミュ力が苦手なら、自分に合う環境を選べばいい」という意見もある。

これはその通りだ。本当に自分にあった場所を見つければそこまでコミュ力不足は決定的な弱点にはならないかも知れない。

だが、合う環境を選んだとしてもコミュ力は必要になる。なぜなら仕事は基本的に競争だからだ。同じ能力を持つ人が2人いたとして、「この人に頼めば一回で話が通じる」という人と、「報・連・相がないのでいちいち確認しないといけない」という人がいれば、前者の方が求められる。

だから「普通の人」ほど、コミュ力を鍛える意味は大きいのだ。

世の中には色んなスキルがあるが、コミュ力ほど再現性高く、誰にでも伸ばしやすい技術はなかなかない。しかも時代が変わってもコミュ力が無駄になることは一切ない。コミュ力は鍛えれば伸びるのだから、伸ばさない理由などどこにもないと思うのだ。

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Z世代を甘やかすな」(著:黒坂岳央)

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働き方・キャリア・AI時代の生き方を語る著者・解説者
著書4冊/英語系YouTuber登録者5万人。TBS『THE TIME』など各種メディアで、働き方・キャリア戦略・英語学習・AI時代の社会変化を分かりやすく解説。

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